次の日、桜鬼を呼びつけて
江戸城に登城する旨を伝えた
「わかったわよぅ!忠秀様に伝えておくわ」
桜鬼が去った後をしばらく見送り俺と吉祥は部屋へ戻った
部屋に戻り、吉祥が手にしていたのは俺の刀…
妖刀-紅蓮-と対の刀
聖刀-睡蓮-だった
もとは、二対一体となるこの銘刀達をそれぞれ
一刀ずつ持っている
銘刀と言われるだけにこの刀達には意思がある
紅蓮を持つ俺に睡蓮は過剰反応し、触ろうものなら
暴れるじゃじゃ馬
逆に睡蓮を持つ吉祥が紅蓮に触ると機嫌を損ね
触れたものの自我を喰らい始める
だが、こいつらと俺らが組めば互いに共鳴して互いを高め合う
「十数年ぶりか…」
吉祥が睡蓮を鞘から抜くとスラリと輝く刀身
錆びる事なく、あの時のまま
低く唸る睡蓮に紅蓮が共鳴するように唸り始めた
「もう一度…要を葬る…」
「あぁ」
「次こそ、仕留める」
呟かれた一言に返事をせず
部屋を出た
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数刻後、店の奴らに留守を
預け、もう一人の幼なじみ…
忠秀のいる江戸城へ向かった
江戸城の門の前まで着くと桜鬼が待っていた
「旦那!御前!こっち!」
そのまま桜鬼に連れられ江戸城の大広間に案内された
「久しぶりよのぅ、穏、吉祥」
「だいぶ老けたな」
「年はお前らと変わらぬわ。うちの桜鬼が迷惑かけた」
「いつもの事だろうが」
呆れながらもため息をつく吉祥に忠秀が笑った
「ガキの頃が懐かしいわ…ところで穏、吉祥」
至極真面目に話を始めた
「桜鬼から聞いたか」
「あぁ…」
「…月夜叉、月満ちる夜に現れ人を殺め…残酷な手口…夜叉の仮面に金糸の髪、月の如く金色の瞳」
煙管をふかしながらどこか遠くを見ながら吉祥が話始めた
「間違いなく、要だろう」
「…誠か、吉祥」
「穏の情報に偽りはない」
忠秀も黙って下を向いた
あの時から壊れた俺ら4人
「吉祥、穏…すまない。主らしか…要の顔をしらん。わしも生きたいのだが…城主になった以上、城から出れぬ。頼んだぞ」
「報酬は300両で手をうとう」
「…数倍用意しておく…本当にすまない…」
【300両のさよなら】
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