|新しいページ|検索|ページ一覧|RSS|@ウィキご利用ガイド | 管理者にお問合せ
|ログイン|

-5-

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

あの月夜

あの涙

揺れる金糸…

後ろに浮かぶ下弦の月…


-----------

桜鬼が現れてから
吉祥の様子がおかしい。

いつもなら店を閉じ、夕餉と風呂を済ませて
なんの色気もなく寝るって云う29歳にしちゃ
随分、枯れた生活をしている吉祥なのだが…

最近、酒を煽る姿をよく見る
それも月が出てる日に限り
部屋の前で、静かに呑んでる


「穏…要が生きてるそうだ」

「あぁ…桜鬼が言ってたな」


風呂上がりの俺には肌寒い
夜風に揺れる髪


「要が…帰ってくるんだ」

「おい…」

「また、三人で笑えるんだ…」

「吉祥…」

「ねぇ、穏…かなめ」

「吉祥っ!!」


ビクッと揺れる肩
その儚い背中に俺はとどめを刺した


「…アイツは…お前の愛した要じゃねぇっ!!俺とお前が葬ったっ!『月夜叉』なんだよ!!」


雲に隠れていた月が
再び顔を出し、静かに泣く
吉祥を照らした


「吉祥…俺はあの時から…離れねぇって決めたんだ。お前が答え出せ。要を…月夜叉をもう一度、狩るのか狩らないか」


虚ろな目をした吉祥の肩を掴み、視線を合わせた
しばらくの沈黙ののち
吉祥が俺の手を握った


「穏…一緒に死んでくれる?」

「…ガキの頃からこの歳まで一緒なんだ。今更だ。」


三人で笑ってたあの頃


「宮雅の御前様や」

「なんだよ、津神屋の若旦那」


どこで狂ったのか


「今日は付き合え。明日は店を休みにするから」

「久しぶりに俺に構えよ」

「調子に乗るな。……気がむいたらな」


いつか戻ると信じてた


「しばらく忙しくなるな」

「俺には丁度いいけど」

「浪人だからだろうが」

「あ。散歩できなくなる…」


たまには忙しいのも悪くない




【月が知ってる涙】