昼食を終え、いつものように
吉祥の仕事部屋…
の端で昼寝
パタパタと動き廻る店の奴らと
その指示を狂いなく仕切る吉祥を観察
『旦那様、着物問屋の…』
「それは右端三段目の棚の奥」
『若、昨日の卸しの件なんですが…』
「帳簿の平八に聞け」
仲居さんに出して貰ったお茶と大福を食べながら
欠伸を一つ
それと同時に煙管と扇子が飛んで来た
それをなんなく受け止め、また欠伸を一つ
「貴様、働け」
「…はい、大人しく寝てます」
軽く伸びてから寝る体勢になった時
店からバタバタと夜霧が駆けてきた
「旦那様!御前!」
「おー…夜霧、どうした」
「お役人が!昨日の波田屋の件で聞きたい事があると!!」
あぁ…袂の数人は波田屋の奴らか…
「穏…」
「…すんませんした」
「面倒な事連れてきやがって…」
いや、吉祥さんの言う通りで
「今行く…夜霧は下がれ。穏、行くぞ」
「へーい」
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「えぇい!津神屋吉祥はまだか!」
『だ、旦那様でしたら…』
「遅くなってすまないね。おや、お奉行…如何なされた」
暖簾をくぐり、後ろで緩く縛った長い髪を
揺らしながら、天下の津神屋、吉祥様ごとーじょうってか
その後ろに続き、一番近くにあった柱によりかかり
黙って町奉行とのやり取りを見る事にした
「…昨日、波田屋の五禄と店のもの数名が行方を眩まし、今朝…妙高橋の袂で発見された」
「ほぅ…それはそれは…して、お奉行…我が津神屋になんのお話で?」
「津神屋になんら関係はないかと聞きたい」
「ある訳がなかろう」
周りの空気を凍らせる程、冷たい瞳と声
店のものでさえ、怯えている
「おのれっ…それがお奉行への態度か!」
勇気を出したであろう、役人の一人が刀を抜いた
「…哀れな」
確かに哀れだよな、吉祥。
俺に喧嘩売る奴がいやがった…
その喧嘩…高値で買ってやる
「ばっ…!!やめろ!!」
町奉行の声と共に俺は
刀を抜いた
【売られた喧嘩は高額買取】
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