「上総様…出かけて来ます」
「…仕官するのか…」
「…アナタの下以外で働く気はありませんよ」
「そうか…無事に帰って来い」
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数刻前、上総様から許しをもらい
陽樹殿と共に親也様の城へと
向けて走っていた
「お前っ馬より早いって無しだろ!」
「忍はこんぐらいが普通」
しばらく走っていると陽樹殿の気配とは別に
ちらほらと不穏な気配が出始めた
「弥助…付けられてたな」
「あぁ…敵はおおよそ、3…4…5人。下忍だと思うが…」
「なら俺が片付ける」
陽樹は背中に背負う長刀を抜くと
馬の手綱を手放した
二、三ほど左右に振ると、後ろでドサッと音がした
振り返れば先ほどの気配の主であろう男達の
細切れの破片が落ちていた
「(風を刃にしたか…おっかねぇ武人だ…)走ったまんまなのによくやるな」
「ざっとこんなもんよ」
長刀を背中の鞘に戻し、馬の速度をあげた
「あと少しだ。急ぐか?」
「そうだな…早く城に戻りてぇ」
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しばらく走れば親也の見事な城が見えて来た
で門番に止められる事なくすんなり城の中に入った
応接間に通され出された茶を飲みながら
親也が来るのを待っていた
しばらくして親也が上座に現れた
「弥助か。我に仕官するきになったか?」
「俺はそれを断りに来た」
「それほど上総がよいか…何故、上総につく」
「…理由があろうと無かろうと俺の主は上総様だけ。ゆえに親也様に仕官は致さぬ所存」
「…仕方ない…か。上総もよき家臣を持ったものよ。しばしゆるりとして行け」
「そのお言葉ありがたく…」
親也様が上座から立ち上がった時、天井を見上げた
すると一つの影が降りて来た
「夜影…」
「親也様、無粋な所より参上つかまつった事お許しを。長に緊急の連絡が…」
「どうした」
「先日の戦での敵方、千木家の残党により…蔵伊里家が急襲されております!お早くお戻りを!!」
「!…っ今すぐ戻る!お前も至急戻り上総様をお守りしろ!」
「はっ!!」
俺のいない時を狙いやがって…!!
あの下忍も残党かっ…!
「親也様…緊急ゆえ、失礼!」
急いで城を出て、帰路を駆け抜ける
間に合え…間に合えっ…!!
上総様っ…どうかご無事でっ…!!
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