〔§key↓〕
【プロローグ】
--しづかにして
よく聞いてみなさい
「お゙ぉ゙ーぅ、あぁ! イ゙ーー」
-ママ、あの声は何?
--あれは魔王の遠吠えだよ
「ィークゥーー!! ふぅ、やっぱ妹同人誌はイケるわ」
-ママ、あれは何してるの?
--こら、見てはいけません!
「?」
事は1年前、極東に位置する魔王の城ラビュタはその日も変わる事なく浮いていた。この世界から空を見上げれば、太陽や月と並んでまず目につく程大きくて高いラビュタは容易には攻め込まれないという事に関してはこれ以上とない程の城であったが、それは過去の話。銃火器が往来する昨今ではもう的でしかない。
結局の所、魔王の城は羞恥の視線に晒されているだけであった。
しかし、その日をもって魔王は本格的に動き出す事となる。
魔王オーナーが城に戻ると、彼を出迎えたのは武彰であった。
「これはこれは魔王様、土地代を2年程滞納してらっしゃってますが、支払いのめどはついたのでしょうか」
〔ゅ~すヶ↓〕
「部長すまないおwwwww今日も同人誌と魔王城の武装を整えるのに使ってスッカラカンなんだおwwwwwKITA超戦の噴射式筒型観測機を僕のティウンティン(砲台)で沈めてやるんだおwwwww」
「ならせめて、滞納料だけでもお支払い下さい」
「だからwwスッカラカンだってイッテルビウムwwww0なんだよwww0と書いてノーマネーなんだおwwwwだからこの使用済みの妹系同人誌やるから、これで勘弁してくれお」
おや、武彰から何やら不穏な空気が漂い始めました。某銀髪日本刀厨二患者すらも怖気づいて思い出の中に帰ってしまいそうな程の強い怒気が、城をどよどよと包み込んでいきます。
「そうですか、ならば今日中に荷物をまとめてこの城から出て行って貰いましょう、異論は認めん」
「ちょwwwwごめりんこwwwいやごめんなさいwwww大丈夫! 大丈夫だから! お金が入る目処は立っているんだから///」
そういうと、魔王オーナーは懐から何か粘性のある液体の匂いのする妹系同人誌を取り出しました。
「おっと、間違えた。サーセン」
同人誌をしまい、再び取り出したのは、小さな金の塊と、この世界の地図でした。
〔§key↓〕
武彰は金を手に取ると、まじまじと見つめ……
「これいかに。見事な真ん丸ですなぁ。金色の玉、略して――」
「おっとwwそれ以上は駄目だぉww本題はこっちだぉwww」
床に広げられた地図を二人で覗きます。床なのは家具等の財産は全て武彰が滞納賃金として持って行ってしまったから。
「ふむ、これは世界地図ですね。5つ程の地域を丸く囲んでいるのは何故ですか?」
「クリスタルの位置だぉww僕のティウンティン砲であぼーんするぉww」
「そんな話ではなくて、家賃を――」
「出世払いだぉ」
「ほぅ、どのようにして出世を?」
魔王の座に居座るオーナー、しかも他の魔王をも従える魔王の中の王なのだ。これ以上の出世はあるのか、と武彰は指摘します。
「クリスタルを破壊する…そして、
僕は新世界の神になる!」
何を言い出すかと思えば、と武彰は嘆息。と同時に、ある意味当然の結論だとも考えていました。
魔王の上となれば神であろう。だが、新世界とは、と武彰は問います。オーナーのそばにあるドアが開くのを横目に見据えながら。
すると彼は一喝。
「シスコン界の神になる!」
そんな時にドアから顔を出したのは魔王の妹ロジー。武彰はあらら、とオーナーの心配。
オーナーはロジーに気がついたのか、おおはしゃぎだった顔に目一杯の汗を溜め込みます。
「ロ、ロジタソ……」
「近寄るな☆」←超笑顔
こうなれば武彰は蚊帳の外。そっとしておこう、と城を後にしました。
「ロジタソ、僕はやるぉww南の魔王クロウにも伝えておくれww」
「自分でやれ♪」
聖剣ナオの刃をオーナーに向けるロジー。ただでさえ魔力でオーナーを凌駕しているのに最近は素振りまでしている世界最強の妹をオーナーは危惧しています。
「ムムム、仕方ないぉ。では、極秘電話を――」
「クロウさんの所電話ありませんよ☆」
「なら、メールを――」
「そもそも電気通ってません☆」
「www手紙を書くから速達でwww」
「自分でポストまで行けよ♪」
「wwwwww」
さて、魔王は野望を叶える事が出来るのでしょうか。
クリスタルとは一体。
そして、それに選ばれた戦士達とは!?
【プロローグ終】