書きフライ☆wiki支部

5月31日付 『冷徹』

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shousetsu

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人間というものは実に「冷徹」である。
われわれヌイグルミ(あくまでヌイグルミを通す)はそのような冷徹さはない。ただあるのは、「無力な毛だらけ」である。

私は、ボロアパートの前にいた。
アパート内部、男の割りにきれいに整っているやたらと女々しく産気付いた男の部屋がそこにはあった。1話でも説明したとおり、彼女、シルヴィアはとある手違いでこんなボロアパートに、しかも野獣と同居で「束縛されている」。もっとも、某V系の意思などを組む必要性は私にはこれっぽっちもないのだがね!!

整えられた部屋、さわやかな風がカーテンを揺らし、テーブルの一輪の名も無き花は淡い微笑みを奏でる。
まぁ、私からしたら「ボロアパートを必死で着飾って、土手からひっこぬいた雑草を花瓶にぶっさしている」ようにしか思えないんですけどね!!

V系は、ゲームセンターに来る前に買い込んでいた荷物の整理を終え、家計簿に頭を悩ませ始めた。V系は何故かスプレー缶で落書きされたようなタンクトップ
を脱ぎ捨て、上半身裸になったあと、テカテカ真っ黒ジャケット上に来た。どうやら、コヤツにとっては、これが、「女子が家に帰ったらジャージに着替える現象」と同じ事に当たるらしい。
この格好で家計簿とは、誠に滑稽である。

かという、私は、500回も渡来して、一度も当たらなかったシルヴィアたんに鼻をつかまれていた。

「ナー。」
シルヴィアは「ナー」を棒読みした。さぞ「呼び鈴」の代わりのように私の鼻をつかみ、長い胴体をプラプラさせている。
頭を抱え、家計簿の数字を縦に見たり横に見たりし、電卓をパコパコ打って、髪をクシャらせ、冷たい汗を噴出している、まぁなんともとてつもない血相をかいたテカテカジャケット男がそれを聞いて、反射的に生返事をした。彼の目玉は渦を巻いていた。メモをとらないのは、彼の謎の意地である。いるよね、こういうやつ!

「コイツをサ、今流行の携帯ストラップにしていいか!?」
シルヴィアは、勇人に相談を持ちかけた。

「え゙」
勇人は、にごった返事をした。


それもそのはず、作者はここにきて言う羽目になったが、モフライスは体長30cmもある長胴長なのだ。もっとも、ヘビがどこから胴というように足が無いモフライスもまた、どこまでが胴なのかはわからない。
「だって、でかいっすよ…それ。」
勇人はボソリとつぶやいた。

そのにごった返事に、シルヴィアは急に戸惑う。
「ダメ…なのか…?」

この言葉に焦りを覚えた勇人は必死にフォローにかかる。
「い、いや、でもでも!みんなやってるしね!い、いいんじゃないかな!落としてもすぐにわかりそうだし、う、うん!そうだよ!好きにしなよ!」
いるよね!こういうやつ!

安心しきったシルヴィアは早速裁縫箱を取り出した。
そして、私のケツの先に針を入れた。

ん゙ん゙お゙ぉぉぅん!!!!!あー!!!オー!!!ア゙ー!!!!

そうなのである!
人間にとっては、針の直径など気に…オ゙ー!!しなィィイインイイ゙!!!ものだンがああああああ!!!ヌイグルミィィィイインィイイ!!!!のサァアア゙イズにとってはこの「針の太さ」は、まっしぐらに「開発」される穴の大きさなのだアアアアあああああああああああああああああああ!!…おふぅ。

……ああ、
クセになりそうだ…
そうして、私の目の前に真っ白な世界が広がっていった。

気がついたときには、丸っこい携帯からブランブランつるされていた。

そう、今日からようやく、我が観察日記が始まるのである。

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