架空の世界には架空だけでなく現実が入り混じる――
――それを語るのを許されたのは我ら語り手のみ
「ロア、ロアってば起きて」
とある小さな町の、とある小さな一軒家から溢れた最初の朝の一言。
その声は温もりに溢れているようで、けれど何処か呆れと怒りが混じった声だった。
その黒髪の声の主は何度呼びかけても反応がないのを確かめると、
唐突に布団をひっくり返す。ドスっという音と共に落ちた布団からは、
白髪の主――ロアネール(ロア)が顔を出す。
その声は温もりに溢れているようで、けれど何処か呆れと怒りが混じった声だった。
その黒髪の声の主は何度呼びかけても反応がないのを確かめると、
唐突に布団をひっくり返す。ドスっという音と共に落ちた布団からは、
白髪の主――ロアネール(ロア)が顔を出す。
「もぉー、ユウリってば毎回こんな風に起こさないでよー」
ユウリと呼ばれた黒髪の主――ユウリス(ユウリ)は彼女と同じ顔に
困ったような苦笑を浮かべると、冷たく、けれど熱の籠もった毒舌を彼女に吐き出す。
困ったような苦笑を浮かべると、冷たく、けれど熱の籠もった毒舌を彼女に吐き出す。
「大体ロアのが悪いんだよ?僕に毎朝、朝食掃除洗濯その他の仕事させてるくせに
君を起こせと?体は一つしかないんだよ?わかる??」
「私は夕方の仕事だってしてるじゃない。それに体が一つしかない事だってわかるわよ」
君を起こせと?体は一つしかないんだよ?わかる??」
「私は夕方の仕事だってしてるじゃない。それに体が一つしかない事だってわかるわよ」
ロアはいきなりの言葉攻めに反論する。が、ユウリの言葉には毎朝ノックダウンしてしまう。
「僕だって夕方、それに夜してるよ?それにわかってるなら、僕を使わないでよ、ね?」
「ぅー……」
「ぅー……」
今日の朝もユウリの勝ち。6連勝。ロアは唇を尖らせると、もぞもぞと布団から這い出る。
それが二人の日常、顔そっくりな二人の始まりの朝。こうも似ているのに違う二人の違い。
それが二人の日常、顔そっくりな二人の始まりの朝。こうも似ているのに違う二人の違い。
――この食い違い血の繋がりあろうとも
全てが似るわけではないまして双子であろうとも――
全てが似るわけではないまして双子であろうとも――
end