何もない、けれど温かい空間の中で一人の少年は笑っていた。
「ふふ……はは、はははははは!!」
少年の目の前にはもう一つの少年。容姿はまったく同じで、ぐったりと倒れている。その少年の顔は蒼くなってしまっていて、片割れの手には凶器――と思われるものが握り締められている。
「ぼ……僕は遂に殺ったんだ!僕自身を殺ったんだ!!」
少年の笑い声はどんどん高くなっていく。声は空間全体に広がり、波のように響き空間を揺るがす。ぐったりと倒れた少年の目には一粒の涙が溜まっていた。
……
ある夜、とある病院で子どもが生まれた。
「お母さん、無事生まれましたよ」
「ほ……本当……です……か?」
「ええ、しかし……」
「どうしたのですか?」
「ほ……本当……です……か?」
「ええ、しかし……」
「どうしたのですか?」
医者の顔は青く、神妙な顔つきをしている。
「実は双子だったみたいなのですが、その片方が死んでいて……」
「ぇ……」
「しかも、死亡原因はへその緒が首に絞まってしまったようなのですが、
そのへその緒を生まれた子がしっかりと持っていたのです」
「ぇ……」
「しかも、死亡原因はへその緒が首に絞まってしまったようなのですが、
そのへその緒を生まれた子がしっかりと持っていたのです」