書きフライ☆wiki支部

第3幕

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
その日は土砂降りだった。
人通りの少ない街の路地裏で、幼い二人の子供が横たわっていた。

一人の少女が、この大雨から守るように、目を閉じている少年に覆い被さっている。
少女の方も、目を閉じていてピクリとも動かない。

「・・・お姉ちゃん・・・。重いよ・・・。」

覆い被さる姉の重みに、少年が目を覚ます。
そして、少女に呟いた。

「・・・お姉・・・ちゃん・・・?」

いくら呼びかけても返事がない。
違和感を感じた少年が、力を振り絞り少女を抱き起こした。

「・・・ねぇ・・・ここどこ・・・?ねぇってば・・・。」

動かない。
体を揺さぶっても、大きな声で叫んでも。

「・・・起きて・・・起きてよ・・・。起きて!」

少年の目から涙が零れ落ちる。
そう・・・既に息絶えていた。

「・・・うああ・・・!」

二度と目を覚ます事はない。
そう悟った少年が、その場にうずくまる。
今までにない、大粒の涙を流しながら。

「・・・?」

突然、何かが光った。
少年がそれに気づき、息絶えた少女の横へと目を向ける。

そこにあった物は、黒く、不気味に光る刀だった。

「・・・何・・・これ・・・。」

不思議に思った少年が、黒く光る刀を手に取った。

「・・・うああ・・・うああ・・・うあああああああああああ!」

その瞬間、体の中に何かが入り込んだかのように、少年が叫び声をあげる。
徐々に、徐々に刀の輝きが増していき、そして次第に光が消えていく。

「・・・はぁ・・・はぁ・・・。」

光が消えた頃、少年の涙は消えていた。
そして、全てを把握したように刀を見つめる。

「・・・。」

強い、憎しみの目だった。
さっきまでの涙が嘘のように、消えていた。
少女の方に歩み寄り、今一度抱きしめる。
そして、無言のまま歩き出す。

心を埋め尽くす、憎悪。

今ここに、幼くして復讐を決意する少年が誕生した。



名を、セスタと言う・・・。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー