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・白と紅、その2つは相容れぬもの


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ライオンの身体に、血のような不気味な赤みをおびた人面、そして蠍の尾をもつ怪物マンティコアが、その鋭利な歯を見せつけながらルールへと跳びかかって行く。
しかし、ルールはそんな怪物に対してまったく注意を向けず、氷のように冷たい瞳で1人の男性を見ながら、機械のような、感情のこもらない動きでその手に持った拳銃の引き金を引いた。
乾いた銃声に、管楽器のような怪物の悲鳴が重なり、奇怪なメロディーが奏でられた。

そんな風に、表情一つ変えず、何の躊躇もなく人を殺していくルールは、正義の味方や、警察官などにはまったく見えない。
だが、悪人や、狂った殺人犯にも見えなかった。
そう、例えるならば神や、まさしく呼び名の通り 【ルール】 絶対的な法のように思えた。

「オィ、ルール。 そいつは俺が殺るって言っただろが!!」
「仕事は終えた。」とでも言うように、男の死体から背を向けて歩き出したルールの前に、大河がそう言って立ちふさがった。
その手には、さきほどのマンティコアの歯と同じような、鋭利なナイフが握られ、そしてその切っ先はルールへと向けられている。
しかし、ルールは、まるでそれが親の敵だとでもいうように憎しみや怒りを込めクチャクチャとガムを噛む大河や、その手に握られたナイフにおびえる様子などまったく無く、普段と同じ、感情のこもらない冷えた目でジと大河を見つめるだけだった。
それに対し大河は、怒りや殺意をさらに煮つめ沸騰させたかのような、ルールの冷たい瞳とは対照的な瞳で睨んだ。
「・・・・・」
「・・・・・」

「無口で無表情やから・・・」 龍さんの言っていた言葉を俺はフと思い出す。
確かにその通りだった。
俺がこの職に就いて1ヶ月がたち、そしてその間には何度もルールと一緒に仕事に行ったが、1度もその瞳の色が変わったり、その口から声が発せられたことはなかった。
この人は瞬きすらしてないんじゃないかとさえ思える。
それほどまでにルールの表情に変化はなかった。

そして今も、その無表情な氷の仮面が剥がれる事は無かった。

「チッ」
永遠に続くかのように思えた沈黙は、乾いた舌打ちによって破られた。
大河はルールから背を向け歩いていく。
まるで殺せなかった男の代わりだというように、クチャクチャとガムを噛みながら。