"しっかりしなよ"
そう言ってくれた君は、もういない。
今、後を追うよ。
【タイムリミット-4-】
カチャン、と受話器を置く音だけが響く。再び静寂が訪れ、時計はまもなく3時を指そうとしていた。
真っ暗な部屋の中、一人たたずむ青年。一応はミネラル医院にかけた電話も、どんな会話を交わしたかさえ覚えていない。それほど、今の彼には生気がなかった。
「クレア……?」
丁度よく差し込んだ月光に照らされ、クレアは笑っていた。顔は青白いものの、口元にはわずかながら笑みがのこされている。
それが、彼の目にはどういう風に映ったのだろうか。置いてあった、あの水。青酸カリが入ったそれを一気に飲み干すと、彼は少ししかめっ面をした。
すぐにさっきまでの悲しい表情に戻ると、ベッドに上がり、クレアの横に座る。クレアの抜け殻を自分の肩にもたれ掛けさせると、グレイは目を閉じた。
その刹那、グレイの意識は失われる運びとなる。その後、電話を受けあわてて駆けつけたドクターとエリィが2人の元に駆け寄ったのだが、それはもう、すでに時遅しだった。
しかし、もたれ合う2人は、体こそ冷たいものの、笑っていた。
そして、握られた手から温もりが消え去っていった……
そう言ってくれた君は、もういない。
今、後を追うよ。
【タイムリミット-4-】
カチャン、と受話器を置く音だけが響く。再び静寂が訪れ、時計はまもなく3時を指そうとしていた。
真っ暗な部屋の中、一人たたずむ青年。一応はミネラル医院にかけた電話も、どんな会話を交わしたかさえ覚えていない。それほど、今の彼には生気がなかった。
「クレア……?」
丁度よく差し込んだ月光に照らされ、クレアは笑っていた。顔は青白いものの、口元にはわずかながら笑みがのこされている。
それが、彼の目にはどういう風に映ったのだろうか。置いてあった、あの水。青酸カリが入ったそれを一気に飲み干すと、彼は少ししかめっ面をした。
すぐにさっきまでの悲しい表情に戻ると、ベッドに上がり、クレアの横に座る。クレアの抜け殻を自分の肩にもたれ掛けさせると、グレイは目を閉じた。
その刹那、グレイの意識は失われる運びとなる。その後、電話を受けあわてて駆けつけたドクターとエリィが2人の元に駆け寄ったのだが、それはもう、すでに時遅しだった。
しかし、もたれ合う2人は、体こそ冷たいものの、笑っていた。
そして、握られた手から温もりが消え去っていった……
宿屋のポストに挟まっていた、1通の封筒。
その手紙の送り主は、もういない。
受け取るはずだった人も、もういない。
その手紙は、いつまでも、いつまでも、彼の机の上に置かれ続ける……
グレイへ
グレイがこの手紙を読んでいる頃、私はもう、死んでいるでしょう。
もしかしたら、グレイも私の後を追って死んでいるかもしれない。
そんな馬鹿がやるようなことはあって欲しくはないけど、
でもグレイならするかもしれないね。
この1年間、グレイと寝食を共に出来て、多くの会話を交わすことができて、
そして、グレイと恋人でいれて、とても嬉しかったです。
私がいなくなっても、グレイはグレイで、ランやクリフくんと
楽しく過ごしてください。
グレイの日々が、より一層楽しくなることを願って――
クレア
fin