デパート一階の隅にあるアイスクリーム店。
そこにある二人がけのテーブルにクルーとリビーは向かい合って座っていた。
店内はシックな色で飾られており、天井に内臓されたスピーカーからクラシックが流れている。
クルーとリビーの他にも、家族連れや男女の客が何組かいた。
「んー! 美味しいですね!」
リビーはストロベリー味のアイスを一口食べて、感想を漏らした。
顔は、これ以上ないくらいに幸せそうだった。
「リビー・・・・良かったんですか? 自分だけ買えばよかったのに・・・・」
と言うクルーの手には、バニラ味のアイスがあった。
ちなみに、まだ手をつけていない。
「いいんです。いいんですよ。いいに決まっているんです。愛しのアポトニティー様のためでしたら、230円くらいどうってことは無いです」
230円がどのくらいの価値なのかは分かりませんけど、と言って、リビーはもう一口、アイスを口に運んだ。
「そうですか。それでは、お言葉に甘えて・・・・」
そして、クルーがアイスを食そうとした瞬間。
そこにある二人がけのテーブルにクルーとリビーは向かい合って座っていた。
店内はシックな色で飾られており、天井に内臓されたスピーカーからクラシックが流れている。
クルーとリビーの他にも、家族連れや男女の客が何組かいた。
「んー! 美味しいですね!」
リビーはストロベリー味のアイスを一口食べて、感想を漏らした。
顔は、これ以上ないくらいに幸せそうだった。
「リビー・・・・良かったんですか? 自分だけ買えばよかったのに・・・・」
と言うクルーの手には、バニラ味のアイスがあった。
ちなみに、まだ手をつけていない。
「いいんです。いいんですよ。いいに決まっているんです。愛しのアポトニティー様のためでしたら、230円くらいどうってことは無いです」
230円がどのくらいの価値なのかは分かりませんけど、と言って、リビーはもう一口、アイスを口に運んだ。
「そうですか。それでは、お言葉に甘えて・・・・」
そして、クルーがアイスを食そうとした瞬間。
何故かアイスに深々とナイフが刺さっていた。
「なっ・・・・!」
「きゃっ!」
リビーが小さな悲鳴をあげた。
クルーが急いで周りを見渡すと、店内にいた客達が皆武器――包丁。ナイフ。バット。スタンガン。エトセトラエトセトラ・・・――を持って、こちらを向いていた。
否。
店内に限らず、入り口近くにある窓の外にある廊下にも、その類の人間がいることを、クルーは確認する。
どうやら、アイスに刺さったナイフは誰かが投げたものらしかった。
「リビー、まずいですね」
「うわわわわわどどどどどうしましょー!!」
「慌てないでくださいよ。何故こんな状況なのかは分かりませんが、とにかく――」
言いながらクルーは、背にある羽に手を伸ばした。
「貴方は私が守ってあげます」
「きゃっ!」
リビーが小さな悲鳴をあげた。
クルーが急いで周りを見渡すと、店内にいた客達が皆武器――包丁。ナイフ。バット。スタンガン。エトセトラエトセトラ・・・――を持って、こちらを向いていた。
否。
店内に限らず、入り口近くにある窓の外にある廊下にも、その類の人間がいることを、クルーは確認する。
どうやら、アイスに刺さったナイフは誰かが投げたものらしかった。
「リビー、まずいですね」
「うわわわわわどどどどどうしましょー!!」
「慌てないでくださいよ。何故こんな状況なのかは分かりませんが、とにかく――」
言いながらクルーは、背にある羽に手を伸ばした。
「貴方は私が守ってあげます」
+++
クルーが剣を持って防衛している頃。
三人はのんきに気楽に平和に歩いておりました。
そこで、アブソーは隣のチェインに聞く。
「そういえば、あちらではどのくらいの時が経っているのでしょうか?」
「あちらって、妖精界のことか?」
「はい」
「けどよ、タイニーに聞かないと分かんねぇし。それによ、聞くにも植物が無ぇから」
「あ、そういえば・・・・」
周りには雑草すら、無い。
緑がまるで無かった。
「大丈夫でしょう。もしも間に合わなかったらここが崩壊してる」
未来、といっても、あくまで人間界ですから。
エドワードは言って、さらに歩を進めた。
そこで、アブソーは隣のチェインに聞く。
「そういえば、あちらではどのくらいの時が経っているのでしょうか?」
「あちらって、妖精界のことか?」
「はい」
「けどよ、タイニーに聞かないと分かんねぇし。それによ、聞くにも植物が無ぇから」
「あ、そういえば・・・・」
周りには雑草すら、無い。
緑がまるで無かった。
「大丈夫でしょう。もしも間に合わなかったらここが崩壊してる」
未来、といっても、あくまで人間界ですから。
エドワードは言って、さらに歩を進めた。
補足をいれよう。
この時のエドワードの頭の中にはリビーのことしか無かった。
そのことが、この後起こる事件に少なからず影響を与えてしまうことに、本人はまだ気付いてはいない。
この時のエドワードの頭の中にはリビーのことしか無かった。
そのことが、この後起こる事件に少なからず影響を与えてしまうことに、本人はまだ気付いてはいない。
+++
そして、一分後。
エドワードを見失った。
エドワードを見失った。
アブソーとチェインは、灰色の都会の真ん中に、ただずんでいた。
そもそも、トウキョウにはさっき来たばかりという状態だったので、無闇に動いたらそれこそリビーの
、またはエドワードの二の舞だった。
という事情により、とりあえず二人は立っていた。
「あの、チェインさん。これからどうしますか? ずっとこのままというわけにはいかないですし」
「まぁそれは正論なんだけどよ・・・・」
そして、お互いがそれぞれで今後の行動について思案している時に。
チェインはそれを聞いた。
微かな、ほんのわずかな音だったからこそ、戦いの場を踏んできた彼にしか聞こえなかった。
「どうしました?」
少しだけ身にまとう空気を変えたチェインにアブソーは訊いた。
彼は答える。
「いや、なんか悲鳴みたいのが聞こえたんだけど・・・・」
そもそも、トウキョウにはさっき来たばかりという状態だったので、無闇に動いたらそれこそリビーの
、またはエドワードの二の舞だった。
という事情により、とりあえず二人は立っていた。
「あの、チェインさん。これからどうしますか? ずっとこのままというわけにはいかないですし」
「まぁそれは正論なんだけどよ・・・・」
そして、お互いがそれぞれで今後の行動について思案している時に。
チェインはそれを聞いた。
微かな、ほんのわずかな音だったからこそ、戦いの場を踏んできた彼にしか聞こえなかった。
「どうしました?」
少しだけ身にまとう空気を変えたチェインにアブソーは訊いた。
彼は答える。
「いや、なんか悲鳴みたいのが聞こえたんだけど・・・・」
+++
「きゃああ!! アポトニティー様ぁあ!!」
リビーがそう叫んで視線を向けた先に、彼は立っていた。
体のところどころから血を流したままで。
足はふらついたままで。
目もどこか虚ろなままで。
リビーがそう叫んで視線を向けた先に、彼は立っていた。
体のところどころから血を流したままで。
足はふらついたままで。
目もどこか虚ろなままで。
彼は、立っていた。
「もう止めてください・・・・私は平気ですからぁ・・・・」
泣きながら言うリビーをチラリと見て、そして、クルーは目前の集団を見た。
いくらクルーが剣術の達人とは言え、前回のマグマとは違い、今度の相手は人間。それも尋
常じゃない人数がいた。
最初よりも数は半分以下には減っているものの、まだまだ少ない人数とは言えなかった。
泣きながら言うリビーをチラリと見て、そして、クルーは目前の集団を見た。
いくらクルーが剣術の達人とは言え、前回のマグマとは違い、今度の相手は人間。それも尋
常じゃない人数がいた。
最初よりも数は半分以下には減っているものの、まだまだ少ない人数とは言えなかった。
――血を、幾分か流しすぎましたか・・・・私としたことが、少し油断しましたね。
頭のなかではあくまで冷静に状況分析すると、再度剣を構え、目を閉じた。
呼吸を整え、そして、目を開き、彼は敵に突撃した。
呼吸を整え、そして、目を開き、彼は敵に突撃した。
+++
「・・・・オカシイよな。あきらかに」
「罠、のようにも見えますが」
チェインが悲鳴の発信源へと向かい、目の前にあったのは高いビル。
そして、その入り口部分に、黒い制服を着た人間が列をなして並んでいた。
「チェインさんが悲鳴をここから聞いたのなら、行かないわけにはいきません。困っている人は助
けないといけませんし、あの悲鳴の持ち主はリビーさんかもしれません」
アブソーは言うと、颯爽と入り口へと向かう。
「まてまてまてって。絶対に通す感じじゃねぇぞ、あれは」
「確かにそうですが・・・・じゃあどうするんですか? チェインさん」
ははは、よくぞ聞いてくれた、と大袈裟に言って、
「一つ、策があるんだ」
「罠、のようにも見えますが」
チェインが悲鳴の発信源へと向かい、目の前にあったのは高いビル。
そして、その入り口部分に、黒い制服を着た人間が列をなして並んでいた。
「チェインさんが悲鳴をここから聞いたのなら、行かないわけにはいきません。困っている人は助
けないといけませんし、あの悲鳴の持ち主はリビーさんかもしれません」
アブソーは言うと、颯爽と入り口へと向かう。
「まてまてまてって。絶対に通す感じじゃねぇぞ、あれは」
「確かにそうですが・・・・じゃあどうするんですか? チェインさん」
ははは、よくぞ聞いてくれた、と大袈裟に言って、
「一つ、策があるんだ」
+++
「あの、チェインさん?」
「何だ」
「それって、策、というほどでもないんじゃないですか?」
アブソーとチェインは、ビルの裏に向かう途中、策について話していた。
裏に行けば行くほど人数は少なくなっていったので、人混みばかり見ていた二人にとってそ
の光景は少し不気味に見えた。
「何だ」
「それって、策、というほどでもないんじゃないですか?」
アブソーとチェインは、ビルの裏に向かう途中、策について話していた。
裏に行けば行くほど人数は少なくなっていったので、人混みばかり見ていた二人にとってそ
の光景は少し不気味に見えた。
まるで、誰かが人を追い払っているような、そんな不気味。
そして、アブソーは怪訝そうな顔をして、
「チェインさんが『変化』の力でビルの壁を紙にするなんて、あまり『策』とは言わないじゃない
んですか? どちらかというと、方法というか・・・・」
「そんな細かいことをいちいち考えなくたって良いだろ? ・・・・さて、ここら辺でいいか」
チェインは歩みを止めると、おもむろに壁に手をついた。
そして、手が光りだす。
「チェインさんが『変化』の力でビルの壁を紙にするなんて、あまり『策』とは言わないじゃない
んですか? どちらかというと、方法というか・・・・」
「そんな細かいことをいちいち考えなくたって良いだろ? ・・・・さて、ここら辺でいいか」
チェインは歩みを止めると、おもむろに壁に手をついた。
そして、手が光りだす。
+++
その頃。
クルーとリビーは窮地に立たされていた。
クルーとリビーは窮地に立たされていた。
二人はそれぞれ人間達の手によって紐状のもので拘束されていた。
勿論、クルーとリビーはすでに武器を持っておらず、クルーにいたっては血を流しすぎたのか、
意識が朦朧としていた。
「リビー・・・・すいません、貴方を最後まで守れないようです」
力なく、クルーが言った。
「あの・・・・アポトニティー様。私思ったのですけど、この人達、どこか不自然なんですけど」
「不自然・・・・」
リビーの言葉にある可能性をおぼえたクルーは、目を閉じ、人間達の思想を視た。
「・・・・・・? アポトニティー様、どうしたのです?」
リビーが心配そうにクルーに問いかけた瞬間、クルーは目を見開いて、
「これも、これもファントの仕業なんですか!!」
誰かに怒鳴るように、彼は叫んだ。
「あ、アポトニティー様、ファントってもしかして――」
勿論、クルーとリビーはすでに武器を持っておらず、クルーにいたっては血を流しすぎたのか、
意識が朦朧としていた。
「リビー・・・・すいません、貴方を最後まで守れないようです」
力なく、クルーが言った。
「あの・・・・アポトニティー様。私思ったのですけど、この人達、どこか不自然なんですけど」
「不自然・・・・」
リビーの言葉にある可能性をおぼえたクルーは、目を閉じ、人間達の思想を視た。
「・・・・・・? アポトニティー様、どうしたのです?」
リビーが心配そうにクルーに問いかけた瞬間、クルーは目を見開いて、
「これも、これもファントの仕業なんですか!!」
誰かに怒鳴るように、彼は叫んだ。
「あ、アポトニティー様、ファントってもしかして――」
ドゴッ。
と。嫌な音がした。
リビーの向かいにいるクルーの背後に、バットを持った、少年がいた。
そして、少年は言う。
「さぁーて。悲劇の幕開けだよ」
リビーの向かいにいるクルーの背後に、バットを持った、少年がいた。
そして、少年は言う。
「さぁーて。悲劇の幕開けだよ」
+++
あの赤く染まった公園で、私の両親は死んだ。
私のもとへ帰ってきた時、彼らはすでに人間の形をとどめてはいなかった。
私とリビーと一緒に駆けてくれた脚も
私とリビーを抱いてくれた腕も
私とリビーを撫でてくれた手も
私とリビーの涙をふいた指も
私とリビーが好きだった顔も
私とリビーと同じ色の眼も
愛していたのに。
全てを全ては全てが全てに、絶望だった。
私とリビーと一緒に駆けてくれた脚も
私とリビーを抱いてくれた腕も
私とリビーを撫でてくれた手も
私とリビーの涙をふいた指も
私とリビーが好きだった顔も
私とリビーと同じ色の眼も
愛していたのに。
全てを全ては全てが全てに、絶望だった。
今私の城にいるのは、何人かの召使と執事、そして、私とリビーだけだった。
ぽっかりと穴が開くとは、こういうことなんだと、実感した。
ぽっかりと穴が開くとは、こういうことなんだと、実感した。
私はその痛みを忘れはしない。
もうその痛みを味わいたくはない。
もうその痛みを味わいたくはない。
だから私はリビーを守ると、心に誓った。
今となっては唯一の血の繋がった人を、失いたくは無いから。
今となっては唯一の血の繋がった人を、失いたくは無いから。
もう二度と、もう二度と――。
+++
「さて、ここはどこだろう」
エドワードはチェイン達とはぐれた後、己の勘を頼りに歩いていたのだが――勿論そんな歩き方をすればもっと迷うことは明らかだ――見知らぬ場所に出てしまっていた。
「いや、ここがどこかは関係ない。早くリビーを探し出さないと……変な人にひっかかってしまっては大変だからな・・・・」
エドワードは顔面蒼白になりながらも、必死に目を動かしていた。だが、相変わらず見えるの
は灰色の建物や人混みだけだった。
そして、エドワードは眼鏡を手で押し上げて、一旦自身を落ち着かせる。
「・・・・仕方が無い。可愛い妹のために、少し仕事をしなければ」
疲れるのは嫌なんだけどな、と呟き、唐突にエドワードは目を閉じた。
エドワードはチェイン達とはぐれた後、己の勘を頼りに歩いていたのだが――勿論そんな歩き方をすればもっと迷うことは明らかだ――見知らぬ場所に出てしまっていた。
「いや、ここがどこかは関係ない。早くリビーを探し出さないと……変な人にひっかかってしまっては大変だからな・・・・」
エドワードは顔面蒼白になりながらも、必死に目を動かしていた。だが、相変わらず見えるの
は灰色の建物や人混みだけだった。
そして、エドワードは眼鏡を手で押し上げて、一旦自身を落ち着かせる。
「・・・・仕方が無い。可愛い妹のために、少し仕事をしなければ」
疲れるのは嫌なんだけどな、と呟き、唐突にエドワードは目を閉じた。
彼の周囲の空気が、蠢いた。
しかし、それは微々たる動きだったので、気付くものは誰もいなかった。
しかし、それは微々たる動きだったので、気付くものは誰もいなかった。
+++
少年は笑っていた。
とてもとても可笑しそうに、狂ったように、嬉しそうに、この状況を楽しんでいた。
その姿にリビーは、どうしようもないような恐怖を覚えていた。
何の躊躇もせずに、まるでそれが当たり前のように、クルーを殴ったこの少年に。
とてもとても可笑しそうに、狂ったように、嬉しそうに、この状況を楽しんでいた。
その姿にリビーは、どうしようもないような恐怖を覚えていた。
何の躊躇もせずに、まるでそれが当たり前のように、クルーを殴ったこの少年に。
形は子供なのに、 中身は悪で満たされているような。
そんな有得ない不一致に、彼女はただ怯える。
そんな有得ない不一致に、彼女はただ怯える。
「ねぇ、何でそんなに震えてるのぉ? おねーさん」
「あぁ・・・あ・・・・ぁ」
「口がガタガタ言ってるよー。あ、もしかして、ボクが怖いのぉ?」
少年はリビーに近付いて、顎を手でつかみ、自分の顔へと向かせた。
「ほら、こんなに可愛い男の子なのに。おねーさんおもしろーい」
「貴方は――!!」
リビーは叫ぶ。
「貴方はファントなのでしょう!! どこが可愛い男の子ですか!! アポトニティー様を平気で殴ってしまうなんて・・・・貴方は最悪な男です!!!」
「待ってよ、私がファントだという指摘は半分しかあってないよ。それに、そんな言いがかり困るよ。こっちも仕方なくやってるんだから、さ。」
そして、少年はそばにいた人間からナイフを奪うようにとって、どこか誇らしげに、
「なんたって、私は『絶望的に強大な魔力の主』なんだからね――観客に絶望を与えるのが、私の務めだろう?」
そして、少年――ファントは。
躊躇も無く迷いも無く後悔も無く慈悲も無く意思も無く――希望も無く
真っ直ぐに、ナイフを振り下ろした。
「あぁ・・・あ・・・・ぁ」
「口がガタガタ言ってるよー。あ、もしかして、ボクが怖いのぉ?」
少年はリビーに近付いて、顎を手でつかみ、自分の顔へと向かせた。
「ほら、こんなに可愛い男の子なのに。おねーさんおもしろーい」
「貴方は――!!」
リビーは叫ぶ。
「貴方はファントなのでしょう!! どこが可愛い男の子ですか!! アポトニティー様を平気で殴ってしまうなんて・・・・貴方は最悪な男です!!!」
「待ってよ、私がファントだという指摘は半分しかあってないよ。それに、そんな言いがかり困るよ。こっちも仕方なくやってるんだから、さ。」
そして、少年はそばにいた人間からナイフを奪うようにとって、どこか誇らしげに、
「なんたって、私は『絶望的に強大な魔力の主』なんだからね――観客に絶望を与えるのが、私の務めだろう?」
そして、少年――ファントは。
躊躇も無く迷いも無く後悔も無く慈悲も無く意思も無く――希望も無く
真っ直ぐに、ナイフを振り下ろした。
刹那。
確かに、微かに、遠くから、声が聞こえた。
「止めろぉおおおおおぉおお―――!!!」
チェインの、声だった。
チェインの、声だった。
「ん?何?」
折角のクライマックスなのに、と少年は振り返る。
目の前に回転しながら飛んでくる金色に輝く剣があった。
「うおぉお!!?」
即座に身をかわす。
そして、少年の後ろにいたリビーの後ろにいた人間に、一撃を食らわせた。
「あぁあああ!! チェインさん、何て事をするのですか!!」
「え、いや、まさか避けるとは思わなくて・・・・。第一、あいつら敵だろ?」
「敵だから傷つけてもいいなんていう道理はありません!!」
アブソーは叫んで、リビーのところへ駆け寄る。
チェインは剣を拾って、少年に切っ先を向けた。
「お前のお相手はクルーに代わって俺がしてやるよ」
「・・・・ふふふ。面白いですね、しかし、悪くは無い」
少年は、ナイフを構えて、目の前にいる金髪の青年へと目を向けて、
折角のクライマックスなのに、と少年は振り返る。
目の前に回転しながら飛んでくる金色に輝く剣があった。
「うおぉお!!?」
即座に身をかわす。
そして、少年の後ろにいたリビーの後ろにいた人間に、一撃を食らわせた。
「あぁあああ!! チェインさん、何て事をするのですか!!」
「え、いや、まさか避けるとは思わなくて・・・・。第一、あいつら敵だろ?」
「敵だから傷つけてもいいなんていう道理はありません!!」
アブソーは叫んで、リビーのところへ駆け寄る。
チェインは剣を拾って、少年に切っ先を向けた。
「お前のお相手はクルーに代わって俺がしてやるよ」
「・・・・ふふふ。面白いですね、しかし、悪くは無い」
少年は、ナイフを構えて、目の前にいる金髪の青年へと目を向けて、
「さぁ、アンコールの時間です」