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血の雨に打たれる中――鬼神が神風の如く暴れまわった――それは、人が見えるものではない――だが、見てよいものとはまた別のものであった――その変わり果てた形相の鬼神は、幼女の札が指先に触れた瞬間、容赦なく札を奪い取った――――鬼神は、ダイゴであった――ダイゴは、金のことになると、鬼畜の神の如く豹変するのであった!そして、万札の雨をふんだんに浴びて、一枚残らず抱きしめました。幼女は泣きそうになりました。しかし、ちょっとは大人になったと自覚しているのか、必死で泣くのを堪えようとしていました。作者、こういうの大好きです。「お譲ちゃん。」声をかけたのは、福田でした。福田はしゃがみこみ、幼女と同じ目線を保ちました。「いいですか――あなたには素質がある。これに書いてある住所に行けば、モーニング娘。に入団することができますよ?私が推薦します――。」そうやって、尻をベタベタと触りながら福田は言いました。満面の笑みでした。幼女は、そんな猿めのことなど忘れるくらい、すごいことだと思いました。幼女が住所のもとにかけていく後姿を見て、福田は、「フフ…彼女の未来が楽しみです。」と静かにほほ笑みました。黒人が涙を流す…「しばしの別れですよ…」と福田は黒人の肩を叩く――森に平和が戻りました。瀕死になったお父さんを、みんなは忘れていました。お父さんはふらふらと棒以下になった枝にも見えないその足を左右に泥酔したようにのたれました。そして、犬がだんだん森のほうに近づいていく。そして、福田はようやく、その犬に気づいたのでした。「フタエノキワミアーッ!その犬を森の中に入れてはいけません!!!」犬の近場にいた、金を抱き抱え一枚一枚計算しているダイゴは、その言葉を聞き取りましたが、無視しました。黒人はなぜ森に入ってはならないのか、頭に「?」を浮かべましたが、それでもとりあえず走ってお父さんを止めようとしました。――時既に遅し。犬は森の茂みに入ってしまいました。そして、チャッチャラチャ~ン♪という携帯のような音が聞こえ始める――辺りは暗くなり、雷鳴が冴えわたり始め、濃い真黒な雲が押し寄せてきました。今までとは歪すぎる威圧感がこみ上げる。「ああ…エンカウントをとってしまった…」絶望する福田――「…オ母サン…?」黒人が凍った汗を流す――
黒く紫の雷雲が立ち込め、辺りの木々がざわめき、森の動物たちは巣に逃げ隠れしました。風が強い…そして、とんでもない威圧感が一歩…また一歩と近づいてきました。「僕ハ、オ父サン位、スゴク、気ガ読メル人デハ無イデスケド…ココマデ、近ヅイテ来ルト、分カリマス…。」カタコトは、非常に読みづらいです。頑張って読んでください。「私は、気は読むことができませんが、おそらく、そうなのでしょう…あなたのお父さんを森の中に入れると、強い者同士が呼応しあって…猛者が出やすくなります…いやはや困ったものです…」 黒人と福田は絶望しました。ダイゴはようやく万札を数え終わり、福田の家に不法侵入し、トラベルバッグを窃盗し、現ナマを詰め込みました。生々しい血がベットリとついたまま。鈍いダイゴが、ようやく事態に気付きました。一雨来そうだと…「福田さん、そろそろ、雨くるっすよ!家で、現金の山分けの話でもしましょうよ!」と、ダイゴは親指と人差し指で「マネー取引のしぐさ」をしました。「今はそれどころじゃないようです…」福田が恐れをなしてきていました。「くっ…この威圧感ですら、まだ500メートル切ってないんですか…困ったものです…」福田は広い額に指をあてて先を見続けようとしました。「コノ気ハ…!?彩!?ワズカデスガ、彩モ感ジラレマス…」「彩というのは、娘のことですね…なるほど…あなたのお父さんの心を読んだのですがね、彼は『二つの気』がやってきていると予測していましたが、もう一人は誰か分からなかったようでした…今になって分かるなんて…」 メジャー相手を前にした、楽天イーグルスのような無様な姿…必死に福田と黒人はこの威圧感に耐えようとしました…「どうしたんすか?」ダイゴがちょっと病気かげんの二人に能天気に話しかけます。そして、野原の開けた、道から、陽炎があふれ出す…2つの影がぼやけて見える…飛行機が近くで通り過ぎたかのような耳鳴り…押し寄せる、恐怖…福田と黒人の二人は無限の闇に足をつけてしまい、そこから底なしに沈んでいくような感覚を覚えました。何もできない――彼らはヒシヒシと感じ取りました。犬は瀕死で森の茂みにのたれています。そして影は人の形となり、姿を現しました。人知を超える卓越した恐怖とともに可南子が口を開く…「彩…行くわよ――」
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