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知識の賢者と光の賢者の意向により、地上は七つに分断された。火の賢者であるヒュールドランは火龍の山という山の周辺を統治し、水の賢者、ミリスは水龍女の御裾という湖の周辺を統治し、緑の賢者のエノリスは神木の林という森の周辺を統治し、光の賢者のラルノスは光の御木という、草原の周辺を統治し、風の賢者、ヨーゼフは天の頂という山脈の周辺を統治し、地の賢者のベルタは荒れ地を治めた。エルノーヴァは全ての土地の中央に至る土地を治めていた。みな、異議を申さず、統治がうまくいくと誰もが思っていた。そう、誰もが。そのころ、天上の地は争いが一段落した時だった。争いの原因は死の神が天上人を嗾けたからだ。神は永久に死の神を閉鎖された空間に閉じ込めようとした。だが、閉じ込める前に逃げられてしまった。死の神が逃げた先が地上だということを神が知ったのはこれからもっと後の話。さて、地上の賢者たち、特に知識の賢者であるエルノーヴァは敏感な感覚によって、死の神の降臨はすぐに分かった。エルノーヴァは自国ミカリスの王都サヴァリンの城の奥深くで、深い眠りより目覚めた。「なんだ?神の降臨?どうして・・・・・。」神にしては負の生気を持ち過ぎている。降臨した場所はベルタの治める地の国ゼルダだろう。「まさか、人の死を司る死の神が・・・・。」天上人の血の香りが遠く離れたこの地に匂ってくる。まず、間違いないだろう。「伝えなければ・・・。天上に・・・。」エルノーヴァは耳を澄ました。だが、思うように聞こえない。溜め息をついて、自分の無力さを嘆いた。エルノーヴァは窓辺に立って、窓を開けた。「天上の声を妨害できても、地上の声は妨害できまい。」眼を伏せて、歌いだす。知らせ声、歌姫。天上人の者だけに聞こえる歌。唯の歌のように聞こえるが、その歌の歌詞には複雑な暗号が施されている。賢者のみが、歌をひも解き、暗号を解読できる。そして、荒れ地に降り立った黒衣の青年はこの歌を聴いて、「ほぅ、大変な歓迎だな。ま、精々頑張るがいいさ。」と呟き、風とも消えた。これから、七つの国は泥沼に嵌った様に争いの連鎖から逃れられなくなる。
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