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「ちょっと待って下さい!」サキアは声を張り上げて抵抗した。「私はこの都市に勉学をしに来ただけでこの都市に武術を習いに来たわけじゃありません!それに、私はアステカを出る前に父に他の都市では武術をするなと誓約を立てています。王を裏切ることなど、知識の玄人にあってはならないことです!」「でも、この都市の場所が問題なのは君にもわかるだろ?エアフィルターが昔より発達したからと言っても、我々にはプロトを避ける力はない。」「・・・・」「この世界の食物連鎖に君臨するのは汚染に勝ち残った汚染生物とプロトのみだ。汚染生物は下手に領域を荒らさなければこちらに害はない。問題はプロトと呼ばれる生物たちだ。彼は都市外追放という名の死刑を受けた者のなれの果て。特に汚染のひどい場所に集まってくる。この都市は彼らにとっては格好のえさ場だ。」「でも、私は・・・・」「その辺は君の父上に言って配慮して貰った。」「え・・・・?」「遠慮はいらんよ。」女子更衣室で着替えているサキアの頭のなかで木霊する。そして、それを行った時の顔も一緒に。この都市にいる間はこの事を忘れないだろう。「反則だよ・・・。あんなの断れる訳ないじゃん・・・?」着終わった制服に違和感を感じた。小さいのではなく、ピッタリなのだ。サキアは年の割には背が高いため、平均的な身長に合わせると、どうしても小さく感じるのだがこの制服にはない。しかも、長い間武術を続けていたため、腕が気にならない程度に長い。でも、袖の長さに変化はない。「ま、まさか・・・そんな父様が、仕組んだ?」そう考えると、話が突発的だったのも説明が付く。だが、何故、アステカを出る時に緊急事態以外は実力を出すなと命じたのだろうか?父は謎多き人ではあるが、娘の自分でもサッパリである。知らぬが花という言葉通り、知らぬ方が良いことなのだろう。「(この事は忘れてしまおう。)」そう思い、鞄を持って自分の教室に向かった。そして、教室へ向かうサキアを影があることをサキアはまだ知らなかった。
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