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あの戦からひと月俺の怪我も治り、痕こそ残ったものの問題なく、通常通りの生活を送っている親也様が日の本を平定してからあの親子はバタバタと忙しく、日々を過ごしている天下が納まり、戦乱の世が去り忍としては商売あがったりだだが、この泰平を楽しむのも悪くない風貴様が城主になって以来来てなかった蔵伊里家の墓所竹林が静かに風に揺れる「…お久しぶりです。上総様…」親也様に渡された酒を2つの杯に注ぐ一つを名が刻まれた石の前に置き、もう一つを一気に煽った「貴方様が望んだ…泰平の世です…民も苦しむ事はない…」青く突き抜ける空を見上げ緩やかに円を描く鷹を眺めた「貴方にも、この泰平を見せたかった…」この穏やかな世を見て貴方はきっと、微笑んだだろう誰よりも喜んだだろう「…屋敷の隅にある桜木が、花を付けたんですよ…小さな花ですが…満開なんです」返事など、期待はしてないただ、流れる時間に身を任せていた「上総様、俺は…幸せですよ。上総様に拾ってもらえた事…あの雪の日に生きててよかった…初めてそう、思いました」残りの酒を石にかけ、庭で見つけた遅咲きの椿をそっと添えた「…俺は…夜叉の名を捨てます。この泰平に夜叉はいらない。貴方がくれたこの名で、風貴様に仕える『弥助』として生きていきます」もう一度空を見上げ小さく笑った「…ご武運を」頭を下げ、ゆっくり歩き出した『弥助!よくやった!大儀であった!』振り返る事はもうない…屋敷への道をゆっくり歩いた見上げた空が優しく笑った
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