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〔kurogobou↓〕
「って…安心してる場合じゃない!!」そう言うと青夢は素早く支度すると宿屋を出る。「ロット…どこ行っちゃったんだろう」辺りをキョロキョロ見渡すがロットの姿はどこにもなかった。その代わりにちょうどロットが跳び降りた場所から近くの森へ足跡が続いていた。「これ、ロットの足跡じゃないよね…」足跡を見ながら青夢が呟く。「とにかくこれを辿ってみよう」青夢はそう言って足跡を頼りに森の中へ入っていった。その頃ロットは「フヒヒヒwwww」と下着を片手に不気味な笑みを浮かべながら逃げているモグライスを「待てぇ~~~~!!」と奇声をあげながら追いかけていた。 「速ぇ~wwww!?追いかけてくるの速ぇ~wwww!?」モグライスはロットが追いかけてくる早さに驚く。「私をナメるなぁ~~!!」そう言いいながらロットは高く跳びモグライスに跳び蹴りをお見舞いした。
〔はむはむ1965↓〕
「ブヒイイイイいいいいいいい!!」不気味な悲鳴が世界に響き渡った瞬間だった。そう、見事ロットの跳び蹴りは、モグライスの顔面を直撃したのだ。ずさあっという音と共にモグライスは地面に倒れ伏せる。ロットはそいつの手から自分の下着を奪い取ると、こう言った。「死にさらせやああああああ!!この変態いいいいいいいいい!!」「ヒョオおおっ!?もう、飽きたからっ、やる気しねええええ」「問答無用!!」「フヒーーー!!!もう最終手段だひょーーーー」ドンッ!!と生暖かい温度と酸っぱい匂いのする煙が二人の間に広がる。白い煙は二人を、そしてロットの視界を遮る。モグライスが煙玉を使ったのだ。「くっそ……!待ちやがれ!!!」ロットはそう叫んだが、既に何千メートルと距離を離れたのだろう。モグライスにその叫びが届くことはなく、ロットはただ呆然とそこに立ち尽くすより他はなかった。
〔青夢絵里↓〕
「しょうがない。このまま突っ立ってても無意味だし、戻るか。だけど、あの変態を逃がしたのは惜しかったな……」見るからに不機嫌そうな表情で、ロットはモグライスが逃げていった方を一瞥してから振り返る――が、そこで。「――ん?」何だ、今の?微かに誰かの悲鳴が聞こえたような気が……。「――足跡を辿ってきたはいいものの、迷っては元も子もないですよね」青夢は周りを見て、周辺に木々が密集しているだけということを再確認すると、憂鬱そうに呆れたように溜息をひとつ。「そうだ。大声で歌えば誰かが――もしかしたらロットが、気付いてくれるかもしれませんね」……と。青夢が意気込んでいた時。彼女の背後にはなんと、モグライスがいたのである。モグライスはロットから上手く逃げた後、そのまま真っ直ぐに城へと帰るつもりだったが――なにぶん、殺,されるか殺,されないかという生と死の瀬戸際という状況だったため、逃げる方角までいちいち気にしていなかったのだ。 その結果、モグライスは青夢に一方的な遭遇を果たしたのである。「フヒヒww あの指輪売ったら高そうだなwwwwww」と、モグライスは盗みの獲物を青夢が指にはめている唯一の宝物に定めた。そして。青夢が大きく口を開き、今にも歌おうとした瞬間――「その指輪いただいちゃ――うがっ?!」モグライスは、背後から現れた何者かにまともに攻撃を喰らう。「痛っ、ちょ。容赦無っ! くそう……今日のところは見逃してやるぜい!」モグライスは己の危険を察知して、再び自慢の逃げ足を使い――瞬く間に姿を消した。「…………?」青夢はまだ状況が読めない中で、(どうやら自分を助けてくれたらしい)人物を見る。
〔makkux↓〕
「青夢、大丈夫か?」「あ、デイヴィット先生。私は平気です。でも、ロットが……」「私ならここだよ、青夢。マック」 森の中から、怪我をするでもなくロットが現れた。マックの目に止まらないように、下着をすかさず隠す。マックは裸足で外へと出たロットを咎めるように目を眇め、口を開いた。 「ロット。理由があるなら、聞こうか?」「泥棒が入ったんだよ。下着ドロ」 苦々しげに吐き捨てると、ロットは孤児院『シー・スコーン』への道を歩き始めた。「結界を張っていたんだろう、それなのになぜ?」「私にも分からねぇよ」 無罪を主張するロットに、なおもマックが問い質そうとしたとき、青夢が口を挟んだ。「と、ところでデイヴィット先生! こ、この絵……どうですか?」 おそらく、朝一でマックに見せようと腕に抱えていたのだろう。差し出された絵を見て、マックは感想を述べた。「いいんじゃないか? これは、天国を表現しようとしているのか」「いえ、それは人生のターニングポイントを」 塗りたくられた絵の具が、人生のターニングポイントを表現しているとは思えなかったが、マックはそれを言ってしまえば青夢が傷つくだろうと思い、長い青髪を揺らして微笑んだ。 いつの間にかロットは逃げており、マックは慌ててシー・スコーンへと戻った。「あんなに早く外を出て……危うく青夢まで危険が迫っていたんだぞ!?」「それは……確かにそうだけど。でも、私の下着を盗んだヤツがいたんだよ!」 シー・スコーンへ戻っても、二人の言い争いは激しさを増すばかりだった。「そもそも、どうしてあんなに早く起きていたんだ? また、無断で抜け出すつもりじゃなかったのか?」「んなわけねぇよ」「だったら白状しろ!」 マックが、マホガニー製のテーブルを蹴り飛ばした。「愚者が驕るでないわ!」
〔★小久夜★↓〕
「テーブル蹴るなよ!いつ起きようが私の勝手だろう!」怒鳴りあって、二人とも息が上がっていた。ロットは椅子にドサっと腰をおろし、まだ若干熱を含んだ口調で言った。 「それに私はいつまでも孤児院に居る気は無いんだ。あのクソシスコン魔王を倒して家族の仇をとる。それが今の私生きる意味なんだ。」 「おい、ロット!」 ロットはマックが呼ぶのも無視して院長室を出て行った。一人部屋に残されたマックはソファにもたれて天井を仰ぎ見た。 「本当に酷い魔王もいるもんだな。シスコンでもオーナーのように善良な魔王もいるというのに・・・。」 ロットが言った『クソシスコン魔王』が東の魔王オーナーのことだというのを、マックはまだ知らない。
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