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空高くに舞い上がる鳥達。
ついこの前まで私が住んでいた場所。愚かな人間どもに捕らえられ、翼を切り落とすまで、私が存在した故郷。今はもう、飛ぶことなんてできないけれど。代わりにこの足で大地を駆ける。無残に切り取られた翼はズタズタで、まだ傷も痛むけれど。それでも、この道を歩むと、誓った。貴方と共に。「……まだ、傷は痛むか?」不意に、そう聞かれて羽がズキリと痛んだ。慣れない、痛み。こればっかりは本当にどうにもならなくて、結構辛かったりする。けど、そんなことを言ったら貴方に心配をかけてしまうから。私は気丈に笑う。大丈夫だと言いながら。「……慣れない嘘はつくな。すぐにわかる」けれど、私が笑うと余計に辛そうな顔をされる。そんな顔をさせるために笑うのではないのに。貴方は、自分自身を責めてしまう。貴方のせいではないのに。寧ろ、貴方がいたから私は生きられるというのに。「……だい じ ょう ぶ だ から 」貴方のために覚えた言葉を精一杯言霊に変える。大丈夫、大丈夫だから。だからそんな顔をしないで……――。けれどそんな私の願いを、多分叶わない。あぁ、なんて、酷いのだろう。助けてもらったのに、これではまるで私が責めているようではないか……――。「だいじょうぶだから。ほんとうにだいじょうぶだから……」もどかしさが涙となって頬を伝った。
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