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翌日、上総様の葬儀が行われた一日中…雨が降り続く、静かな日だった----------葬儀は厳かな雰囲気の中、静かに時を流しながら、行われた親也を始め、大老衆や部下達が出席し城は悲しげな声で溢れていたその最中、親也は辺りを見回しいるはずの姿を探した「…夜影、水無月…」「「お呼びで、親也様」」「…弥助はどこにいる」その言葉に夜影と水無月は顔を見合わせ言いづらそうに言葉を紡いだ「長でしたら…」「おそらく…天守の屋根の上に…」「…そうか」その言葉を聞き、親也は雨の降りしきる庭を静かに見つめた-----------いつから…俺はここにいるのだろう…雨も…だいぶ降っている…「上総様…」目を閉じれば、上総様が俺を呼ぶ声と、城中を駆け回る足音が…聞こえてくるようで、ただ雨に身を委ねた上総様が息を引き取った後傷を負った軍医が来た何もかもが遅くて…どうする事も出来ない悲しみで壊れそうだった「弥助…随分、濡れたな」「親也様…」ぼんやりとしていたせいか親也様の気配にすら気づかなかったそれがまた情けなくて、冷えた腕に爪を立てた「降りて…こぬのか?上総が…土に還るぞ…」「…ここからでも…見えますから」俺らはそれっきり何も話さなかった「のぅ…弥助…主はこれからどうする」「さぁ…ね。」あぁ…いっそこの雨に溶けてしまいたい…そうすれば、この悲しみも…消えるだろうか…「なぁ…親也様…俺は…主すら守れなかったよ…」「……。」「情けなくて…自分が憎いのに…八つ当たりで奴を殺っちまった…」夜影に捕らえさせておいた頭だった男と残っていた残党を一人残らず怒りと悲しみに任せ、ただ刀をふるった夜影に止められるまで…すべて息の根を止めてやったそれなのに、血を洗い流すように降る雨があまりにも優しいから…悲しみが止まらない『この心の空洞…埋めてください』
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