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私は貴方様の役に立とうと努力をしてきたというのに、ほんの少しのご褒美を求める事さえ許されないのでしょうか?罪なのでしょうか?冷たい。寒い。恐い。痛い。額の熱だけが、私を繋ぎとめる。「シオン、今すぐに大臣の候補を。」「承知いたしました。」時間がないんだ、僕には。こんな痛み忘れ去りたいんだ、今すぐにでも。「こちらが候補のリン様、ケイト様。そして、アンジェ様です。」そこに並んだのはまだ幼い、見た所十歳にも満たないだろうと思われる、小さな女の子と二人の男の子が並んでいた。「はじめまして、リンと申します。私は主に経済を担当します。」「僕はケイトです。騎士団の管理を担当します。」まだ小さな子供の口から発せられる、その丁寧な言葉遣いには違和感があった。そして、これがユメビトなのかと改めて理解した。これ以上悲しい運命を背負ったユメビトは、生んではいけない。そう実感した。「君は?」「…アンジェです。よろしくお願いします。」フードを被った小さな少年はそう言い、小さくおじぎをした。見た所、三人の中では一番年下だろう。まだ慣れないのだろうか。「初めまして、ルカです。早速ですが、君達にはしてもらいたい事があります。」手に持った計画書を配る。シミュレーションするのに許された時間は、眠りが続くまでだ。いつ終わるか分からない。私には時間が無いんだ。―「そうですか、魔物からの被害も最小限といった所ですね。」この計画の成果は上々だった。あとは、元の世界に戻って実行するだけだ。こんな世界すぐにでも去りたい。頭がおかしくなりそうだ。「シオン、そろそろ眠るよ。」「お疲れ様です。ルカ様。」ベッドに倒れ込む様に私は眠った。手に微かな熱を感じながら。
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