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日本の主構成である4つの島、その内一番西南に位置する九州。都心とはかけ離れていながらもその北部は工業により発展し、今や地方都市と呼ばれるまでになっている。かと言って田舎の方がそうでもないかといえば嘘になり、この話は、その田舎のとある出来事から始まる。【 Endless game. 2 】「……何やってんだ、お前」 ジュースとお茶を買って戻ってくれば、この様か。俺はため息をついた。 八月十四日の今日、夏真っ盛りの夜七時。ここは家近くの公民館前の公園で、何をやっているかと言えば、それはもう俺の夏のメインイベント、夏祭りである。見てて暑苦しいぐらいに人がごった返し、屋台代わりのテントの下ではバンダナをつけた子供会の親達がせわしなく動いている。 「何って、見ればわかるでしょ」 そう言って伸びをする目の前の女子は如月翠(きさらぎ みどり)、俺の幼馴染、且つ、クラスメイト。恋仲ではないし、そういう感情すら持っていない……はず。ショートカットの茶髪を揺らして、如月はペットボトルに手を伸ばす。その横に誰かが立っている事から、多分、迷子を見つけて案内しようとしたとかそんなところか。 お茶を渡しながらちらりと見てみる。百五十センチあるかないか位のそいつは、染めたのか地毛なのか知らんが見事な栗色の毛をしている。背中まで伸びたそれは緩いウェーブがかかっていて、目はと言うと猛獣のようにつり上がった真紅。童顔だが目鼻立ちは割りとすっきりしている。体型は妖しげな黒いマントに隠れて分からない。 「……まさか、こんな怪しげなやつの道案内しようとしたとか言うなよ」 隣で一気飲みしていた如月に聞く。半分以上を空け、如月はようやく蓋を閉めた(というか、そんなに喉渇いてたのか)。「妖しげな、って失礼でしょ。それに、迷子じゃなくて人探しみたい」 人探しねぇ、と呟いて、俺は再びその女子……いや、少女? ……とにかく、その子を見る。すると、「うわっ」 その少女が俺を鋭く睨んでいて、俺はつい気圧されて一歩後ずさってしまった。「な、何だよ……?」 つり目のせいもあるかもしれないが、物凄く睨まれているように感じる。しかし、そこに見えるのは憎悪や畏怖じゃなく、どちらかといえば……俺を品定めしているような感じだ。
「…………」「…………」 ……と、10秒にも満たない、しかし長く感じる沈黙が続く。途端、少女が口を開いた。"I confirm an aim and confirm a player registration document.(目標を確認、プレーヤー登録証を確認する)"「……は?」 突然湧いて出た言葉に二の句が告げない。今のは何だ? ……英語?
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