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──遥か上空、地上からは決して見えることのない高度に、あるものが存在している。それは決して人工衛星でも飛行機でもない。大地を抉り取ったかのように、それは地面を露出したまま浮かんでいた。 その最北部に、荒れた溶岩の山があった。しかし、その場所に火山は無い。まるで他所から運んできたかのように、1mを優に超える溶岩が集まり、高さ10m弱の山を成している。 その頂上、浮遊している存在で言えば大地の一番端であり、山でいえば切り立った崖がそびえる、その場所に、一人の女性が立っていた。 女性と呼べるのかは分からない。腰まで届く艶やかな金髪や、確固たる決意を思わせる碧眼はまだ異邦人として通じるのだろうが── ──背中から伸びる白磁の翼は、どう考えても人類の持ち得る物ではなかった。"……Then I begin a game." ふっくらとした唇がその言葉を紡ぎだす。そして地を蹴り、浮遊中のそれから飛び降りた。 高度が高度だ、重力に身を任せ落ちていくうちに、そのスピードは加速度的に増す。見る見るうちに高度を落としていくと、やがて太平洋に浮かぶある島国の横、東シナ海にダイブした。
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