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「現実と架空の接点part4」(2009/06/02 (火) 21:20:04) の最新版変更点
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架空の世界には架空だけでなく現実が入り混じる――
――それを語るのを許されたのは我ら語り手のみ
***
とある街の外れに一人の若い男がいた。
男は画家だったが絵はまったく売れず、金がつき、外れに追い出されたのだ。
つまり、現実世界で言うホームレスの状態であった。
けれど男は街が好きだった。あの賑わいが彼の心を落ち着かせた。
男は今日も街中に入り、その賑わいを絵に描こうと一本の鉛筆を取り出した。
そして流れるように、街の風景をスケッチブックの中に収めていった。
ニ枚目を描き終えたときであった。
八歳ぐらいの子どもが二人、男の絵に顔を寄せた。
「「お兄ちゃん、絵、うまいねー」」
二人は声を揃えて言う。
顔はそっくりで、髪とランドセルの色しか違っていなかった。
きっとこの二人は双子なのだろう。
男はそう思いながら、二人ににこりと笑ってみせる。
そして二人にこう言った。
「よければ二人の絵描いてあげるよ」
「「本当!!!??」」
二人は大喜びして飛び跳ねた。
カチャカチャとランドセルの蓋が鳴る。
男は微笑ましそうにその様子を見て、こう付け足した。
「ただ、放課後だよ?二人とも早く行っておいでよ」
「あ!本当だ!急ごう、――」
黒髪の子が腕時計を見る。時間がギリギリだと悟ったのだろう。
聞き取れはしなかったが、白髪の子を急かし手を引っ張っていった。
「「お兄ちゃん!約束だよ、絶対放課後、絵、描いてねー」」
男はこくりと頷くと、スケッチブックに顔を戻した。
……そこで夢は覚めた。
男――ウェクハは目を擦り、無垢なカンバスに目を向ける。
ウェクハは世界有数の画家となっていた。が人物画を描いたことがなかった。
彼の脳内には、二人の姿が鮮明に映し出されていた。
「……約束、今果たそうか」
彼はそう言って笑い、カンバスに向き合った。
***
――夢は時空を捻じ曲げ時空を繋げ不確かなものを見せる
男はその中の約束も全てを果たそうと夢をカンバスに描きこむ――
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