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奇形児でも見るような、嫌悪と恐怖の光を宿した親の瞳。 珍しい動物でも見るような、畏怖と興味の光を宿した研究者たちの瞳。 奈落へと続くかのような底無しの暗闇からわき出てくる、吐き気のするような黒、黒、黒、黒、白… 『ッ!! 白…?』 夜の闇を飲み込んでいく日の光のように、その眩しいほど輝かしい白は、目を背けたくなるような混沌とした黒を塗りつぶしていく… 「……」 少年の目覚めは、数年ぶりに爽やかなものだった。 脳に雲でもかかったかのような、モヤモヤとした、寝てるのか起きているのかはっきりとしないような曖昧な起床ではなく、まるで、快晴の青空のような、高原の澄んだ空気のような、爽やかで、清々しい目覚めだった。 『…で、今回はどんな実験をすんだァ?』 少年は畏怖と興味で醜く化粧した研究者たちの顔を探し、拘束具で縛られた身体でまともに動かせる数少ない部位、色素の抜けた悪魔のような白い瞳を動かす。 だが、その視線の届く範囲には誰もいなかった。 反吐の出るような醜悪な研究者たちも、そのゴミのような研究者たちに連れてこられた哀れな実験動物(モルモット)も、何一ついなかった。 ただ、ただ、無機質な白い壁があるだけ。 『あァ? これは一体全体どういうことだァ?』 少年にとっては実に不可解なこの事態に、彼は異常なまでの薬物投与の結果、色素が薄くなり病的な白に変色したその手で、同じく薬物投与の結果真っ白になった毛で覆われた頭を掻こうとする。 だが、その動作は少年の毒々しい白とは対象的な、この白で形成された空間では一種の安心感さえ与えてくれる黒色をした、ベルトのような拘束具にによって阻まれた。 「チッ」と少年は心底いまいましそうに舌打ちする。 空気の流れすら止まっているように感じられる、封鎖されたその空間の中で、その音は不気味なほど響く。 と、そこで少年はあることに気付いた。 何故研究者たちがいないのか、何故こんなにも頭の中がすっきりとしているのか… そして、色素が薄まるほど繰り返された異常なまでの薬物投与… パズルのピースが綺麗にはめ込まれていくように、少年の頭の中にある一つの答が浮かぶ。 「ヒャハ」 それはあくまで仮説でしかなかったが、少年はその仮説は事実なのだと確信できた。 「ヒャハハ」 その仮説とは、異常なまでの薬物投与の結果が色素の減少だけではなかったということ。 つまり、過度な薬物投与によって薬への抵抗ができたということ。 そして、その抵抗により薬物の効き目が弱まり、研究者たちの予想もしないタイミングで自分が目覚めたというものだった。 「ヒャハハハハ、ヒャハハハハハハ」 そのとき、少年はこんなチャンスをくれた神に、人生で2度目の感謝をした。 『この邪魔な拘束具を、焼き切りたい』 歪んだ笑みを浮かべ、少年はそう【願った】。 そして、その願いに反応するかのように、バチバチと青白い稲妻が拘束具全体に纏わりつくように発生した。 【願うだけで雷や稲妻を発生させ、操る力】。 始めこそ、いきなり目覚めたその力に少年は驚き、恐怖したが、直にその気持ちは神への感謝へと変わったものだった。 「さーて、まずは……」 久しぶりに動かす身体の感覚を確かめるように、少年は焼き切れた拘束具から少しずつ身体を出していく。 「これまでお世話になった研究者どもにお礼でもしにいくかな」 心底おもしろそうな、そして見たものを心の底から恐怖させる笑みを浮かべ、親に捨てられ姓を捨てた少年【リジェン】は、ゆっくりと立ち上がった。

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