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思考迷路」(2009/04/02 (木) 16:49:11) の最新版変更点

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考えてみると不可解である。 気づいてみると不思議である。 解ったときには――非日常である。 ……いや、否。 解ってしまった、か。 私は駅のホームにいる。 隣町に在る、おばあちゃんの骨を訪ねるのだ。 季節は晩冬。 風が強かった、寒くはなかった。 こちらのホームには私以外に、(私が確認できる限り)老人が三人。対して向かいのもう一つのホームには、老若男女、人が沢山立っている。当然のことだが私と同じように、機械的に淡々と走るあの鉄の塊を待っているのだろう。 「…………」 そういえば。 人は何故死ぬのか、生きるのか、居るのか――存在するのか。 そのどれもが不可解な問題――疑問。 それらについて真剣に考えていた時期がある。 といっても、それは私が昔小学生のときに思った事であったので――所詮、飽きやすい子供。結局結論は出なかった。 今考えれば、所謂若気の至りなのか――だが、それよりも、私は何故いまさらそんな思い出を思いだしたのかが、不思議でならない。 しかし少なくとも、それは何となくではないと気づく。 向かいのホーム。 何時の間にか、電車は通過していたらしく、人は綺麗に消え去ってしまっている。 あれだけの人数を一瞬にして持ち去ってしまうのだ。 恐ろしくてたまらない。 不可解で、たまらない。 だから思い出したのだ、私は。 そしてそれは、突発的に、刹那に。 「……ならば」 生きるって、何だ。 死んだら――解るか? と、思った瞬間。 私は一歩、一歩、一歩――! 歩く。 進む。 暗い、横穴へ。 知りたい。 知りたい。 どうしようもなく知りたい! この世の森羅万象を余すことなく解りたい! 足の裏が盲目者のための黄色いブロックにつく。おそらく、あと大股で二歩。確か電車はもうそろそろで――。 「……私は、さっき何て思った?」 多分、いや、確実に。 森羅万象、と。 お墓参りを何故するのか、死んだ人の御加護を望むためか。 風は何故吹かなければいけないのか、自然が生み出す副作用なのか。 解らなかった。 答えは、出なかった。 そして同時に、解ってしまった。 私は――無知だと。 何が――森羅万象だ。戯言も絵空事もいいところじゃないか。 しかし。 だけど、そういうことだと、どうだとしても。 今私がが立っている場所は、きっと一種の境界線。 「――私は、そうか」 まだ死にたくない、のか。 と。 目の前をビュンと横切る――私の死神。 折角来ていただいて申し訳ないのですが。 君の役目はありません。 君に御用はありません。 お騒がせしました、御免なさい。 「…………」 先ほど私は、『これ』を恐ろしいといったけれど、躊躇無く乗ってしまった。自分でも矛盾した行動だとは思う。そう、自分で思っただけで――何故矛盾が生まれたかは、解らない。 「私は、死にたいよ……」 けどそれは、この世の全てを知ってからにしておこう。 嗚呼、死が待ちどうしい。 死んだら全てが解りそう。 根拠は無いけど――解らないけど。 どうしようもなくそう思った。 これが私の生きる理由。 これが私の生きる言い訳。

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