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<p class="hgId">「・・・・・・」<br /> 「お、気がついたか?」<br />  俺が目覚めると、声をかけてきた者がいた。<br />  鳳凰 零(ほうおう ぜろ)。本来の名は別にあるらしいが、基本的にこの名を名乗っている、不死鳥の青年である。<br /> 「帰っていたのか?」<br /> 「『大賢者』に、至急もどれって言われてな」<br /> 俺の問いに、零はうなずく。<br /> 「しかし、しゃれにならんことになっているようだな。あんたが止められないなら、ほかの連中じゃ手におえんだろう?」<br /> 「まあな。一部を実体化させたに過ぎない今の状態では、何度やっても結果は同じだろう」<br />  俺は『王』と呼ばれる、『世界』そのものが力の一部を実体化させた存在である。基本的に『王』は自分の『世界』にしか実体化できないが、俺は長年の研究の末に異世界にも実体化させることができるようになったのだ。ただし、普段は霊体で(他の事情もあって竜の守護例をやっていた)、使える力も極端に制限される。<br />  しかし、実体化が維持できなくなるほどダメージを受けたのは予想外であった。<br /> 「それで、奴は?」<br /> 「無差別に街を破壊した後、休眠状態に入る、ということを繰り返しているわ。幸いなのは活動時間が一日のうち5,6時間程度であること。戦闘になればまだ早く休眠状態にできる。ただ、休眠状態では一切の攻撃が通用せず、しかも直前に無作為転移するって問題があるけど」<br />  零の問いに答えたのは、竜の母、天界神 ミナであった。<br />  彼女の姿を見たとたん、零は一歩後退した。ミナも零と同じく不死鳥なのだが、零はミナを苦手としているらしい。『一歩後退』は以前から比べるとだいぶましになっている。<br /> 「いたんですか?」<br /> 「いたわよ」<br />  ミナは一見笑顔だが、目が笑っていない。『一歩後退』は見逃してはもらえないだろう。<br /> 「やはり、止められるのはあいつくらいか。死神たちから連絡は?」<br />  それをあえて見なかったことにして、俺はミナに問いかけた。<br /> 「死神王も動いているけど、まったく見つからないようね。どこかに閉じ込められていると考えていいわね」<br />  死神たちの役目は魂の回収。今回の一件の要因となった、魔女も例外ではなかったのだが、死神が魂の回収に向かった時にはすでに消えていたらしい。以来、行方不明となっている。</p> <p class="hgId">  先ほど俺が言ったように、竜の暴走を止められるとすれば彼女くらいだから、その魂が見つからないのはかなり怪しい。<br />  いや、それ以前におかしいことがある。<br />  死神たちを統括する、死神王は、必然的に人(だけではないが)の寿命を知ることとなる。その死神王が言っていたのだ。<br /> 「彼女はあの場で死ぬはずではなかった」<br />  と・・・・・・。</p>

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