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タイムリミット 4」(2009/02/19 (木) 18:10:17) の最新版変更点

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<div> "しっかりしなよ"<br />  そう言ってくれた君は、もういない。<br />  今、後を追うよ。<br /><br /> 【タイムリミット-4-】<br /><br /><br />  カチャン、と受話器を置く音だけが響く。再び静寂が訪れ、時計はまもなく3時を指そうとしていた。<br />  真っ暗な部屋の中、一人たたずむ青年。一応はミネラル医院にかけた電話も、どんな会話を交わしたかさえ覚えていない。それほど、今の彼には生気がなかった。<br /><br /> 「クレア……?」<br /><br />  丁度よく差し込んだ月光に照らされ、クレアは笑っていた。顔は青白いものの、口元にはわずかながら笑みがのこされている。<br />  それが、彼の目にはどういう風に映ったのだろうか。置いてあった、あの水。青酸カリが入ったそれを一気に飲み干すと、彼は少ししかめっ面をした。<br />  すぐにさっきまでの悲しい表情に戻ると、ベッドに上がり、クレアの横に座る。クレアの抜け殻を自分の肩にもたれ掛けさせると、グレイは目を閉じた。<br /><br />  その刹那、グレイの意識は失われる運びとなる。その後、電話を受けあわてて駆けつけたドクターとエリィが2人の元に駆け寄ったのだが、それはもう、すでに時遅しだった。<br /><br />  しかし、もたれ合う2人は、体こそ冷たいものの、笑っていた。<br />  そして、握られた手から温もりが消え去っていった……</div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div><br /><br />  宿屋のポストに挟まっていた、1通の封筒。<br />  その手紙の送り主は、もういない。<br />  受け取るはずだった人も、もういない。<br />  その手紙は、いつまでも、いつまでも、彼の机の上に置かれ続ける……<br /><br /><br /><br />  グレイへ<br /><br />    グレイがこの手紙を読んでいる頃、私はもう、死んでいるでしょう。<br /><br />    もしかしたら、グレイも私の後を追って死んでいるかもしれない。<br /><br />    そんな馬鹿がやるようなことはあって欲しくはないけど、<br /><br />    でもグレイならするかもしれないね。<br /><br />    この1年間、グレイと寝食を共に出来て、多くの会話を交わすことができて、<br /><br />    そして、グレイと恋人でいれて、とても嬉しかったです。<br /><br />    私がいなくなっても、グレイはグレイで、ランやクリフくんと<br /><br />    楽しく過ごしてください。<br /><br /><br />    グレイの日々が、より一層楽しくなることを願って――<br /><br />                                                 クレア<br /><br /><br /><br /> fin</div>
<div> "しっかりしなよ"<br />  そう言ってくれた君は、もういない。<br />  今、後を追うよ。<br /><br /> 【タイムリミット-4-】<br /><br /><br />  カチャン、と受話器を置く音だけが響く。再び静寂が訪れ、時計はまもなく3時を指そうとしていた。<br />  真っ暗な部屋の中、一人たたずむ青年。一応はミネラル医院にかけた電話も、どんな会話を交わしたかさえ覚えていない。それほど、今の彼には生気がなかった。<br /><br /> 「クレア……?」<br /><br />  丁度よく差し込んだ月光に照らされ、クレアは笑っていた。顔は青白いものの、口元にはわずかながら笑みがのこされている。<br />  それが、彼の目にはどういう風に映ったのだろうか。置いてあった、あの水。青酸カリが入ったそれを一気に飲み干すと、彼は少ししかめっ面をした。<br />  すぐにさっきまでの悲しい表情に戻ると、ベッドに上がり、クレアの横に座る。クレアの抜け殻を自分の肩にもたれ掛けさせると、グレイは目を閉じた。<br /><br />  その刹那、グレイの意識は失われる運びとなる。その後、電話を受けあわてて駆けつけたドクターとエリィが2人の元に駆け寄ったのだが、それはもう、すでに時遅しだった。<br /><br />  しかし、もたれ合う2人は、体こそ冷たいものの、笑っていた。<br />  そして、握られた手から温もりが消え去っていった……</div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div> </div> <div><br /><br />  宿屋のポストに挟まっていた、1通の封筒。<br />  その手紙の送り主は、もういない。<br />  受け取るはずだった人も、もういない。<br />  その手紙は、いつまでも、いつまでも、彼の机の上に置かれ続ける……<br /><br /><br /><br />  グレイへ<br /><br />    グレイがこの手紙を読んでいる頃、私はもう、死んでいるでしょう。<br /><br />    もしかしたら、グレイも私の後を追って死んでいるかもしれない。<br /><br />    そんな馬鹿がやるようなことはあって欲しくはないけど、<br /><br />    でもグレイならするかもしれないね。<br /><br />    この1年間、グレイと寝食を共に出来て、多くの会話を交わすことができて、<br /><br />    そして、グレイと恋人でいれて、とても嬉しかったです。<br /><br />    私がいなくなっても、グレイはグレイで、ランやクリフくんと<br /><br />    楽しく過ごしてください。<br /><br /><br />    グレイの日々が、より一層楽しくなることを願って――<br /><br />                                                 クレア<br /><br /><br />   fin</div>

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