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「タイムリミット 3」(2009/02/19 (木) 18:02:41) の最新版変更点
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<div> クレアにとって最後の夏が終わる。<br />
そして、クレアも。<br /><br /><br />
【タイムリミット-3-】<br /><br /><br />
「あーあ、ドクターも嘘なんてつかなくてもよかったのに」<br />
「へ?」<br /><br />
絶望に強いられている心に呆然としながら、俺は素っ頓狂な声を出した。<br /><br />
「余命のことよ。そう長くもたないって、もう自分でわかってたのにね」<br />
「……そう、なのか」<br />
「うん」<br /><br />
ごほごほと咳を大きくするクレア。もう、限界のようだと俺でもわかった。<br /><br />
「大丈夫か?」<br />
「平気って言えば平気だけど……ちょっと、苦しいかな」<br />
「そっか……。……治りたいか?」<br />
「そりゃあ、治せるものならね。でも、もう……」<br />
「もう……?」<br />
「もう、ダメみたい」<br />
「……! そ、そんなこと言うなよな!」<br /><br />
クレアはコップを手に取り、口に含む。呆然としていた俺は止める事すらままならず、ただ<br /><br />
「ぁ……」<br /><br />
と呟く事しかできない。<br /><br />
クレアが重い口を開く。<br /><br />
「だってほんとだもの。段々、体が重くなってきてる」<br />
「……そんな……」<br /><br />
「ね、グレイ?」<br />
「なんだよ」<br />
「わた……っ」<br /><br />
咳き込むクレア。服が少し赤く染まるのを見て、俺は愕然とした。<br /><br />
「……っ。私がいなくなっても、ランやクリフくんたちと、がんばって生きていってね」<br />
「あ…ぅ……」<br /><br />
なんで、俺はしどろもどろしてしまったんだろう。<br />
なんで、何も言えなかったんだろう。<br /><br />
「バイバイ……グレイ……」<br /><br />
目を閉じ、息を吐いたクレア。<br />
そしてもう動かなくなった体を見て、俺はただ一言つぶやいた。<br /><br />
「…っ……クレア…」<br /><br />
二度と、クレアが目を開けることはなかった。</div>
<div> </div>
<div> </div>
<div><br />
俺は、何もできなかった。<br />
何も言えなかった。<br />
力になんて、なれなかった。<br /><br />
クレアを抱き寄せ、ぎゅっと抱きしめる。力のないその抜け殻は、冷たかった。<br /><br />
「クレア……クレア……っ」<br /><br />
ただそれだけを言い続ける。一体どのくらいそうしていたのだろうか。<br />
目尻から流れる、一筋の涙。それはフローリングの床に、乾いたシーツに、小さな染みを作って、消えた。<br /><br />
クレアにとっての最後の夏は、クレアと共に、終わりを告げた。<br />
月の光が、クレアを照らした。</div>
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