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妖精界立第一高等学校。 いわゆる、エリート高校である。 ここに通う4人の妖精、すなわち、 意外と積極的なのに、照れ屋なアルター・チェイン。 冷静沈着、しかし恋愛は苦手なクルー・アポト二ティー。 元気はつらつ、明るさ爆発なハートピア・ティー。 クールで何かと友達思いなベル・レンシー。 の、仲良し4人組は現在。 『喫茶店 紅葉』と書かれた看板が入り口に置かれている、1年A組の教室で、ところせましと駆け巡っていた。 +++ 「ちょっと! ダージリンがなくなってるけど!」 「ティー、少し待っていてくださいよ。今淹れている最中です・・・」 「クルー! そんなこだわるな! 客のまわりが悪くなるだろ!」 「しかし、皆さんに喜んでいただけるためにも、美味しく淹れなくては・・・」 「チェイン、そんな怒鳴んないで。僕が淹れといたから」 「あぁ、レンシーありがとな」 「オーダー入ったよ! ショートケーキ4人分お願い!」 「「「4人分?!」」」 「ちょうど今さっき切れたばっかりなんですけど・・・」 「それに、まだ生地を作っている段階だよ・・・」 「代わりにシフォンケーキとか、クッキーとか出しとけ!」 「じゃあお客さんにそう言っておくね!」 「お願いします、ティー」 「ねぇ・・・」 「あ! 外に行列できちゃってるよ!」 「本当かよ?!」 「とりあえず、早く作ってしまいましょう」 「同感」 「ねぇ・・・ちょ」 「わわわ・・・チェイン! そんなに傾けたら紅茶がこぼれるでしょ!」 「分かったから耳元で叫ぶなよティー・・・」 「ねぇ・・・ちょっと・・・チェ「ショートケーキできましたよ!」・・・ちょ・・・」 「そうか! なら早く客に・・・」 「ちょっと! 人の話聞いてよ!」 大量の言葉が飛び交う中、そう叫んだのはオレンジ色の髪を持つ少女。 「あ・・・タイニー・・・」 少女は仁王立ちで、 「チェインが来いって言ったんだからな」 頬を膨らませて言った。 +++ 喫茶店が開店して約2時間。 最初の休憩時間が近付き、店内の客の数もひと段落した。 そして、最後の客が教室のドアをくぐりぬけた時、クルーはドアの窓に[Close]と書かれた張り紙を貼って、ドアを閉めた。 「まったく、ここの学校はどうかしてるよ!」 タイニーは腕を組みながら言った。 「部屋の数が多すぎて、こっちは迷子になってたよ! 外来者にとってここは地獄だね」 「まぁ、いちおうエリート校だし、それなりに設備はあるから・・・。」 レンシーが遠慮がちに言うと、タイニーはきっぱりと、 「ここってエリート校なのかい? ここの問題チェインに借りたけど、あんなの小学生でも解けるじゃないか!」 ――いやいやいや、それは小人である君だけだよ・・・。 4人は同時に同じことを思っていた。 +++ ローテーションの時間になり、自由な午後の時間を手に入れた4人は、 タイニーを引き連れて出し物や模擬店に立ち寄ったり、演劇部主催の劇を鑑賞した。 路地裏でずっと住んでいたタイニーにとって、そのどれもが星のように輝いたものであった。 そんな少女を見て、チェインは改めて、ここにタイニーを誘っておいて良かった、と感じた。 途中、ティーが教室に戻ったので、何事かとついて行ってみると ティーは自分の鞄から何かを取り出した。 彼女が手に持っていたのは、一輪の赤いバラだった。 クルーはそれを見て顔がほのかに赤くなっていたが、 その理由は、本人とレンシーしか知らない。 +++ 「さーて、ここは高校生らしく別行動でもしますか?」 外に出ていた4人に向かってティーが突然そんな提案をしたので、レンシーはすかさず、 「あぁ、いいですよ。私はチェインとタイニーさんの三人で廻ってますから」 「え、あの・・・レンシー?「じゃあ、二人とも行きましょうか!」ま、待って・・・」 クルーが引きとめようとするも、三人はもうすでに人ごみの中だった。 ――レンシー・・・今の気遣いは逆効果ですよ・・・。 「なんだよクルー。そんなに私といるのが嫌なの?」 「そんなわけはありませんが・・・」 ティーはその言葉を最後まで聞かずに、クルーの手をとった。 「え、ティー?」 「クルーにバラのお返しをしてあげるよ」 少女はそう言い、ニッコリと笑いながら隣で真っ赤になった少年を見つめて、 「これから私とデートしよ」

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