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クラブハンド・フォートブラッグ
ホワイトファング・ハウリングソウル
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ウサギのナミダ
アスカ・シンカロン
引きこもりと神姫
キズナのキセキ
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えむえむえす ~My marriage story~

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悪魔に憑かれた微駄男
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えむえむえす ~My marriage story~

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深み填りと這上姫
キズナのキセキ
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類は神姫を呼ぶ
浸食機械
引きこもりと神姫
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白濁!? 阪高神姫部
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アスカ・シンカロン
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車輪の姫君
樫坂家の事情!
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おまかせ♪ホーリーベル
戦うことを忘れた武装神姫
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
PRINCESS BRAVE
神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

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せつなの武装神姫
双子神姫
鋼の心 ~Eisen Herz~
犬子さんの土下座ライフ。
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Memories of Not Forgetting
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2008年

武装神姫のリン
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戦う神姫は好きですか
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妄想神姫
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武装神姫~ストライカーズ・ソウル~
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クラブハンド・フォートブラッグ
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ホワイトファング・ハウリングソウル
ハウリングソウル
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 柔らかな湯気の立つキッチンに響いたのは、似つかわしくない鞘走りの音だった。
「……参ります」
 ちゃき、と刃を冷たく鳴らし。作り付けの調理台の上、白い影が疾走する。小さいながらも人型のそれは、左右の手にその身ほどもある長い刃を一振りずつ掴み、最初から全速力。
 レースのあしらわれた衣装をなびかせ、ふた振りの長刀を構え走るその姿は、さながら地を駆ける飛鳥の如く。
 だが、いかに身長十五センチの身とはいえ、巴荘の調理場は全力疾走するには手狭に過ぎる。相手の姿を捉え、最速に達したときには既に次の段階へ。加速を剣速に置き換えるべく、足の動きを疾走から斬撃の準備形へと切り替えている。
 まな板の上で強く踏み込み。
 スカートの裾が、進む方向にひるがえった。
「……斬」
 小さく呟くその刹那。大きく広げられた白刃の翼は、二条の銀光に姿を変える。
「……終わりました、鳥小」
 そう言った時には、双翼の長刀は既に背中の鞘の中。
「ん。ありがと、ベル」
 与えられたのは、労いの言葉。
 その成果とは……。

 千切りにされた、一瞬前まで大根だったものの姿だった。


マイナスから始める初めての武装神姫

その2 前編



 放り込んだ唐揚げは、サクッという音を立てて口の中で崩れていった。後に残るのは、鶏肉のぷりぷりした食感と、それを包むたっぷりの肉汁と……。
 ええい、いちいち説明するのがめんどくさい!
 要するに、だ。
「……美味っ! 鳥小さん。これ、すげー美味いッス!」
 それだけ言って、俺は白いご飯を口の中に詰め込んだ。
 うめー! 白米うめー!
 美味い唐揚げでご飯が食えるこの幸せ!
 日本人に生まれてマジ良かったぜ!
「あら、嬉しい」
 テーブルの向かいに座る鳥小さんは、そう言ってにこにこと笑ってる。
「千喜ちゃんはどう?」
「あたしは鳥小さんの料理、大好きだよー」
 鳥小さんの隣に座ってる千喜も、俺ほどの勢いじゃないけどかなりのハイペース。
 さすがにご飯の間は、頭の上に神姫を乗せてない。
「良かったわねー、峡次。ホントなら、今日はコンビニ弁当のはずだったんでしょ?」
「ああ、全くだぜ……」
 イヤミったらしい千喜の言葉も、この時ばかりは腹も立たない。
 俺の部屋に収まるべき家具達は、いまごろ運送会社のトラックの上、高速道路をひた走っているはずだ。要するに俺の部屋には、家具どころか毛布一枚ないわけで。
 近くのコンビニの場所を聞いて弁当でも買うか……とか考えてたんだけど、見かねた鳥小さんが「せめてご飯くらい食べて行きなさい」って夕食に誘ってくれたわけだ。
 ありがたいとは思ったけど、まさかこんな美味いご飯が出てくるとは思わなかった。


「おかわりっ!」
 空になった茶碗を、勢いよく突き出す俺。
「ちょっ!」
 それを遮ったのはこの202号室の主、鳥小さんではなくて。
「アンタ、少しは遠慮ってモンを考えなさいよ?」
 彼女の隣に座ってる、小柄な女の子だ。
「……っていうか、何でお前が偉そうなんだ? 201号室に帰れよ」
 千喜の部屋は家具もちゃんと揃ってるし、ご飯の支度だって出来るだろうに。だいいち何でコイツが鳥小さんのご飯食べてるんだ?
「お前って言うな! 千喜さんでしょ!」
「……なんで同い年にさん付けなんだよ」
 そう。
 千喜のヤツ、鳥小さんとも随分と馴染んだ感じだったから、俺より年上かと……小柄なコイツがとてもそうは見えないが……思っていたら、何と俺と同い年。今年から東条学園の高等部に入るのだという。
「少なくとも巴荘では先輩だもん」
「たった三日のどこが先輩だよ!」
 そのうえこの巴荘にも、ほんの三日前に越してきたばかりというからたまらない。
 馴染みが早いとかいうレベルじゃない。コイツの場合は、単に馴れ馴れしいだけだ。
「ほらほら。ご飯の時くらい、ケンカしないの」
 テーブルを挟んでいがみ合ってる俺達を遮るように、鳥小さんは俺の茶碗を受け取って。
「ご飯はまだあるから、いっぱいお代わりしてね」
 ありがたいことに、そんな事まで言ってくれるのだった。


 ……へぇ。
「……どうしたの? 峡次クン」
「いえ……」
 何となく目に留まったのは、鳥小さんの傍らだ。
「神姫って、ホントにご飯食べるんだな、と思って」
 そこにあるのは、テーブルの上に乗せられた小さなテーブルだった。土台と同じく四人掛けのそこでは、メイド服を着込んだサイフォスと、こちらも薄手のシャツを着たジルダリアが、仲良く料理をつついてる。鳥小さんのベルと、千喜のプシュケだ。
 俺の視線に気が付いたのか。ベルがこちらを見て、小さく首を傾げた。
「わたし達の食事、珍しいですか?」
 騎士型なのに、彼女は小さな箸を器用に使ってご飯を食べている。
 さっき背中に背負ってたのはどう見ても刀だったし。着てる物こそ洋風だけど、騎士型っぽいのは外見だけで、中身はどう見ても侍型だ。メイド服が騎士っぽいかはこの際置いておこう。
 この辺りも、CSCで設定された『個性』なのかねぇ。
「……まあな。俺、神姫持ってないからさ」
 ファミレスにでも行けばいつでも見られるんだろうけど、中学生の財布に外食は相当な負担だ。戦っている神姫はちょくちょく見てたけど、正直、ご飯を食べてる神姫をじっくり見るのは初めてだった。
「峡次クン、東条の工業科なのよね?」
「ん? そうですけど」
 茶碗を受け取りながらの俺の答えに、鳥小さんは小さく眉をひそめる。
「千喜ちゃんは普通科だからいいとして……確か、工業科だと神姫絡みの授業もあるはずよ? 神姫がなくて困らない?」
 もちろん、入学要項でその事は確認済みだ。というか、大学部で神姫の勉強をしたかったから、高大一貫の東条学園を選んだわけで。
「おじさんが入学祝いに送ってくれるって言ってたんですけど……」
「まだ届いてないんだ?」
 千喜の言葉に、首を縦に振る。
「ここの住所で送るって言ってたから。部屋が片付いた後に着くようにしてるのかもしれないし」
 入居日は今日とも言ってあるから、たぶん着くのは明日以降だろう。俺としては実家にいる間に送ってくれても困らなかったんだけど……そうなると引っ越しの支度が滞るの確実だったし、まあ、おじさんの判断は間違っちゃいない。
 母さん辺りが入れ知恵したのかもしれないけど。
「なるほどねぇ。……はむ」
 唐揚げをかじりながら、千喜は小さく相槌。
「荷物が届くのは、んむ、明日だっけ?」
 こちらもお茶をひと口飲んで、鳥小さん。
「はい」
 今日は何もない部屋で寝て、明日の引っ越し屋さんの到着に備えることになる。春だからもう暖かいし、コートは一応持ってきてるから、風邪ひいたりはしないだろ。
 さすがに、女の人の部屋で一晩お世話になるほど無神経じゃないぞ。
「そっか。私か倉太クンが手伝えればいいんだけど……私、明日はバイトがあるのよね」
「倉太はしばらく研究室で帰れないって言ってたよ」
「倉太さんって……俺のお隣さんだっけ?」
 俺の102号室の隣、101号室の住人らしい。
 二階の201号室は千喜、202号室は鳥小さん。このアパートは四部屋だから、この倉太という人が巴荘の最後の住人ってことになる。
「だよー。大学部の研究室に入ってるから、学校で会う方が早いかもね」
「そうなんだ……」
 とりあえず、この二人が普通に接してるって事は、そんなに変な人じゃないんだろう。
「じゃ、明日はベルを置いていくから、分からないことは彼女に聞いてもらっていい?」
「いいんですか?」
 神姫を使うバイトってのは聞いた事がないけど、ベルにスケジュールの管理なんかも任せてるんだったら、鳥小さんは不便じゃないだろうか。
「鳥小様はしっかりしてるから、大丈夫ですわ。ね、マスター」
 テーブルの上のテーブルに頬を突いて、ベルじゃなくてプシュケがひと言。見上げた視線は……。
「何でこっち見るのよ、プシュケ」
「別にぃ」
 何となく、言いたいことは分かる気がする。
「……アンタも何でこっち見てるのよ」
 いや、まあ、なぁ。
 何となく、プシュケの気持ちが分かるというか何というか。
「私は心配しなくても大丈夫よ。ベル、頼むわね?」
「承知しました、鳥小」
 かたん、と箸と茶碗を置いて、ベルは静かに一礼する。
 やっぱりこの子、ホントは紅緒なんじゃないか?
「お願いします、ベル」
「ええ。こちらこそ、峡次様」
 とはいえ、巴荘のことをよく知ってる人が色々教えてくれるのはありがたい。これで、明日の引っ越しも順調に進みそうだ。


「じゃ、明日はそういうことで大丈夫ね」
 箸と茶碗をテーブルにおいて、鳥小さんは小さく手を合わせる。案外小食なんだな、鳥小さんは。
「残しても仕方ないから、おかずは二人で全部食べちゃってね」
 うわ。何ですかそのありがたいセリフ!
「はいっ!」
 それじゃ、ラストの唐揚げも遠慮なく、いただきま……。
「む!」
 唐揚げの最後の一つの右側を挟んだのは、俺の箸。
「あ!」
 唐揚げの最後の一つの左側を挟んだのは、千喜の箸。
 左右を箸に挟まれて、掲げられるように持ち上がる最後の唐揚げ。
「……これ、俺が先に取ったんだけど」
 俺が引っ張っても、千喜が唐揚げを譲ってくれそうな気配はない。
「……どう見てもあたしのでしょ」
 千喜も唐揚げを引っ張るけど、俺だって譲る気は全然ない。こんな美味しい唐揚げ、早々食えるもんじゃないぜ。
「むむむ……」
 これだけ引っ張っても離さないなんて、コイツの箸の持ち方、一流じゃねえか!
「ぐぐぐ……」
 そして、両端から引っ張られても崩れる気配のない、鳥小さんの唐揚げもまた一流。味も加えれば、文句なしの超一流だ。
「むぅぅ……いい加減、諦めなさいよ……っ!」
「誰が……っ!」
 向こうも本気。
 こっちも本気。
 だから、気が付かなかった。
「……ふぅ。ベル」
 鳥小さんが、小さくため息をついた事に。
「御意」
 その瞬間、俺の箸と千喜の箸の間に、銀色の光が迸った。
「へ……っ?」
 ふいと消えた手応えに、思わず唐揚げを落としそうになり……慌てて箸で掴み直す。
「ひゃ……っ!?」
 そこにあるのは、ちょうど真ん中で二つに断ち切られた、唐揚げの姿。
 柔らかくサクサクな衣も、ぷりぷりの鶏肉も、崩れることなくキレイに真っ二つ。切り裂かれた断面に至っては、今頃になってたっぷりの肉汁があふれ出す始末だ。
「食べ物でケンカなんかしないの。二人で半分ずつにしなさいね」
「はぁーい」
「……」
 鳥小さんも千喜も平然と流してるけど、俺は鶏肉の断面を見て言葉もない。どんな鋭い包丁で切っても、こんな綺麗な断面にゃならないぞ……。
 それに加えて、支えのない空中でこの仕事。一体どうやったんだ?
「あまり浅ましいのは、お仕えする神姫として恥ずかしいのですけれど。マスター」
「……うるさいわね」
 って、プシュケもそっち方面はスルーかよ。
「あの、ベルさん?」
「何か?」
 そして、その離れ業をやってのけたであろう本人は、既に鳥小さんの傍らに戻って平然とお茶なんか飲んでいる。
「今の……」
 鳥小さんの大太刀は、神姫の身長くらいある白鞘の長刀だ。それはいいんだけど……。
「お気になさらず。ただの、居合です」
「ただの……」
 使ってる武器といい、居合なんてものを使うことといい、やっぱりベルさん、起動する神姫を間違えてるんじゃないだろうか。
「人には危ないもの向けないように躾けてあるから、気にしないで。アシモフ・プロテクトも外してないし」
 ああ、人に危害を加えないように設定してあるのは良いことですね……って!
「でも、普通の神姫用の武器ってそんな切れ味あるものなんですか?」
 アーンヴァルのライトセイバーみたいな光学武器や、工業用の単分子ワイヤーみたいな原理的に凄い切れ味がある物ならともかく、実体武器の日本刀でこれの切れ味って、ちょっと想像が付かない。
「どうなのかしらねえ。ベルが欲しいって言った個人ディーラーの商品だから、よく分かんないのよね」
「別にいいじゃない。唐揚げおいしーし。細かいことグチャグチャ言ってると、モテないわよ」
「……まあ、そうか」
 それは一大事ではあるわな。

 とりあえず唐揚げ美味しいし、それで良いことにしとくか……。





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