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えむえむえす ~My marriage story~

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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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  暗い部屋。精錬した部屋。狭い部屋。穴のような部屋。その中央に座する人影は、パソコンのディスプレイに1つの兆しを見る。ボイスチャット。
「・・・お呼びですか、会長?」
『ああ。昨日の会議の首尾を聞こうと思ってね』
「何も、滞りなく。しいて言えばヒメガミ神姫センターの方から飲食コーナーが赤字続きである事と、逆に『プチトマト』の売上が予想外に多く生産が追いつかない、という報告があった程度です」
『飲食が赤字、それは商店街が活発だという事だろう? それならばコーナーは無くしても構わないな。館内飲食自由にして持ち込んでもらおう。ただし衛生面管理を強化する事。神姫用服飾の方は、まあ無闇に労働力を増やせる訳でもないから現状維持でいい』
「了解。私と同じ見解ですね」
『・・それは、嫌味か?』
「いえ、単純に同意見なのが嬉しいのですよ、我が主」
『・・・やっぱり、嫌味じゃないか』
 画面から響く闇は、少し、微笑む。

『ところで副社長、社長は、今居るのか?』
「社長でしたら、今日は来ませんよ」
『・・・そうか』
  揺らぐ背景。カーテンの、囁き。いつの間にか開け広げられた窓からは、夕の木漏れ日と、風。
「何だ、いらして居たのですか」
  其処に、佇む闇が有る。影を張る衣。座する者。小さな姫・・・
「来ちゃ悪い? 自分の会社に」
「それなら、例え“神姫”であっても、正面からいらして下さい、我が主」
  副社長は、その闇に、微笑む。


   ・・・其処にあるのは雛人形。

「・・・・は?」

「うっわ~、こんな初歩的なテにひっかかるなんて」
「・・・会長?」
  真横からの声で、彼はようやくその姿を見つける。今度こそ、今度こそ神姫。
「それにしても寒かったわね、今の『例え“神姫”であっても、正面からいらして下さい、我が主』だって~。うぷぷぷぷ」
「・・・何を、なされているのですか」
「そりゃまあ忍者らしく、変わり身の術。趣味で」
「趣味の時点で忍者ではありません」
  ・・まあ、口は悪いが、一応、神姫。
「相変わらず給与査定を気にしないツッコミよねえ。それともMなの?後ろの穴準備してるの?」
「穴とか後ろとか言わないで下さい」
  ・・・・いや、きっと自信は無いが、まあ、神姫・・・
「それに、いらっしゃるのでしたら、わざわざチャットするだけの為にハッキングをしかけて来ないで下さい。毎度の事とは言え、ネットハッカーとしても著名な会長にあんな事をされると警備部が面食らうのですから」
「忍者らしい趣味でいいじゃない。警備には抜き打ちテストだとか言っておきなさいよ」
「それも趣味のカテゴリに入る行為ではありませんし、公私織り交ぜている時点で忍者らしくもありません」
「会長にツッコミ入れるのは公私混同じゃないの?」
  ・・・。

「全く、会長。せめて上司らしくするか神姫らしくするかどちらかにして下さい」
「あたしは、どっちだっていいのよ。細かい事気にしてるとハゲるわよ?」
「・・・私の役職は細かい事を気にする為にあります。ほら、会長があまりに馬鹿な真似を連発なさるから、ナレーションさんも閉口してしまったではありませんか」
「うわそれあたしのせいにする? 冷静に考えたら、ノリノリで『我が主』とかクっサいセリフ言ってる方がおかしいでしょ? と言う訳で以降解説やりなさい貴方。やらないとマジ減俸」

  ・・・ご指名を頂いてしまいましたので、僭越ながら私が紹介をさせて頂きます。私の名前は火神基生。ヒノカミコーポレーション副社長を務めております。そしてこの先程より暴言と公私混同の限りを尽くす忍者型神姫が、御恥ずかしながら我が『ヒノカミコーポレーション』会長です。信じられないでしょうが本当です。社内でも極秘事項ではありますが。
「あ、ちなみに会長職も趣味だから」
「・・・私の祖父たぶらかしてその地位を得ておいて、趣味ですか・・・」
「え~、ちゃんと独力で稼いだ分もあるわよ」
「それはハッカーとして違法に稼いだ資金であるとか先日言っておりませんでしたか?」
「ちゃんと企業利益にも貢献してるでしょ?」
「“神姫パートタイマー”ですか」
  神姫パートタイマーは、会長の考案した、会社や学校に通う神姫オーナーの為の『預かり所』を我が社が設置し、其処に預けられた神姫の中で希望者にパート労働をさせるシステムです。我が社の系列店舗への派遣や『プチトマト』等系列店に卸す神姫用服飾衣類の生産など、人件費も安く上がる事もあり数々の実績が上がっております。ただし・・・
「あれは割に合いませんし、どちらにしろ違法です」
  現状のMMS国際法では経済情勢に影響を与えてしまうこのような形での神姫の労働は禁止されています。其処は神姫への給与を『ないしょのおこづかい』として神姫に口止めを行い、オーナーも含め情報漏洩阻止を徹底して対処しています。しかし、そもそも神姫へ労働賃金を支払う義務自体無いのですが。
「いいじゃない、だから趣味なんだし」
「・・・人を巻き込まないで下さい」
「巻き込んでるのは神姫でしょ?」
「私の事です」
 何と言っても、その事実を知るのはほぼ私だけなのですから。


「・・・それはともかく、会長、どうしてヒメガミを避けているのですか? 会いたがっていましたよ」
  ヒメガミというのは私の妹、ヒノカミコーポレーション社長火神天姫の事です。実質社長職は私と会長で半分以上受け持っているのですが。
「それは、“会長”にじゃなくて“あたし”にでしょ? 実はヒメガミちゃん、会長の正体を探ろうとしてたのよ。それでもう探らせまいと悪戯しちゃったから、顔合わせづらくて・・」
「・・・もしかして、鋏の言っていた大迷惑神姫をヒメガミの護衛に送り込んだのは会長ですか」
「あれ? あなたもハサミと知り合い? 奇遇ねえ。あたしはハッカーの方で知り合い」
  鋏と言うのは私の腐れ縁の私立探偵の事です。腕は確かな方ですが、昔から法に触れる事と女性が好きな厄介な奴でしたよ。
「ともかく、まだ、あたし=会長って知られたくないからね、悪いけれど」
「それは教えていなかったからでしょう?」
「だって~、仕事だからってついヒメガミちゃんには辛く当たっちゃったりしてるもの。今更言えないわよ」
「仕事って・・・先程と言っていることが違います」
「あたしはどっちだっていいのよ」
「良くありません。それに、それだけではないでしょう? ヒメガミに嫌われる理由は」
「じゃあ何よ?」
「決まっています・・・」
  そう、会長が神姫と知ればそれはごく“当然”の事。何故ならば・・・

「普通、好きで神姫に仕えようとする人間なんて居ないのですから」

「・・・うっわ~、あたしの事ほぼ唯一会長って知ってて、尚且つその下で働いてる癖にそういう事言うの? 変態?」
「はぐらかさないで下さい。それから何気に人を変態呼ばわりしないで下さい」
「主従逆転して何とも思わない人間なんて、変態以外の何者でもないでしょ?」
  会長は相変わらず毒舌で私をあしらう。いつもであれば、私はここであきれ返る。しかし、もう騙されない。これは、会長の、テストだ。
「・・・私は、“自分の認められる人物以外”の元で働きたくはありません。それが単に会長だったと言うだけです」

「・・・全く、その失業保険の手続き方法を気にしない口の利き方というか、ヘンに融通の聞かない真っ直ぐさと言うか」
「こういう、性分です」
「嘘が無い事くらい判っているわよ、最初から」
  誠意を持って見据えた闇は、私に微笑を返す。どうやら、テストは合格のようだ。
「・・・怖かったの、ですね?」
「まあね。あたしの気に入ってる子があたしを罵倒したり、あたしの前から居なくなったり、そういうのって、やっぱりこたえるもの」
「それでも、続けなければならないのですか、こんな事を」
「こんな事って、仮にもあんたの家族引っ掻き回されてるんだからもう少し大事にしなさいよ」
「私にとってはそうですが、会長にとってはそんなものでしょう? 何しろ、事が公になれば会長はおろかすべての神姫が脅かされるのですから。そこまでして得られるメリットがあるとは私には思えません」
「趣味って言ったじゃない?」
「趣味なのですか?」
「・・・違うわよ」
  闇が、少しくすむ。

「では、聞かせて頂けますか。誰にも認められない道でありながら、そこまでして、会長でいる、理由を」
「・・・まあ、あなたになら、そろそろ言ってもいいかもね」


「・・・あなたは、あたしの事、何者だと思う?」
  闇が揺れる。何処からか、会長は大きな・・私には小さなカードを取り出し、切り始める。
「・・・武装神姫です」
「そうね」
  その中の一枚、それが突然飛び出し、私の手元に届く。描かれているのは、会長と同じ型、忍者型MMSフブキ。
「あたしの、心は? 神姫?」
「・・・判りません」
「正直ね。でも・・そういう、事よ」
 会長は、手を止め、そのカードの束を伏せる。


「人間は、神姫の“心“を正しく認識出来ない」
  会長は、暗くも無く、重くも無く、唯佇む闇のように、言い放った。


「考えてみれば簡単な事よ。人間はそもそも自分達の“心”を解析し切っていないのよ? あなただって自分の心が全部判るって訳でもないでしょ?」
「そうですね」
「・・・意外と冷静ね。結構ヒドい事言ってるわよ?」
「今更です」
「あはは~、それもそうね。ま、つまり、そんな現状なのに人間は神姫にも“心”があるって言っちゃったのよ。だったらそれが“神姫の心”をちゃんと認識しているとはお世辞にも言えないでしょ?」
「では、人間の“心”から想像された神姫の“心”も、人間のそれと同じという事ですか?」
「それはちょっと早とちりかな。言っちゃえば、人間の“人間”という認識は今思いっきり拡大しちゃっている所なのよ。神姫とか人間とか、それ所じゃなくね。だって例えば、犬にも人間の感覚を適用して考えちゃうでしょ?」
「・・・なるほど。それは、犬の“心”も人間の“心”と同意に置いているとも言えますね」
「犬どころじゃないわ。猫だろうと蟻だろうと映画のエイリアンだろうと、この足元の地球サマすら人間は自己と同位に置いちゃう事があるでしょ? そしてその可能性を否定し切れない」
「何故ですか?」
「“拒絶”されてないからよ。されているとしても、明確に意思疎通が出来ないからそれを認識できない。つまりはそれが自分と同位存在か否定しきる事が出来ないって訳」
「・・・哲学的な話ですね」
「割と真実よ。だって実際“違う”って言い切ることが出来ないじゃない? だけど“それが人間と同じ心を持つかもしれない”という選択肢は、思考し続ける限り拡大する。つまり現状、人間には世界の全てが自分たちと同じ“心”を持っているかもしれないって思っているのよ」
「・・・暴力的な、話ですね」
「・・・聞きたいって言ったのあなたじゃない」


「つまりはね、人間は未だ神姫の心が何処まで自分達と違い、何処まで自分達と同じか決定的な判断は出来ないの。例えるなら・・そうね、同じアパートのお隣さんくらいしかわかんないのよ。そこに、“創造者”と“被造物”の関係は意味を成さない」
「・・・神姫は初めから、人間の、“創造者”の“設定”を無視しえるのですか」
「そういう事」
  会長は、カードの山かを捲る。一番上にあった図柄は、騎士型サイフォス。 
「だから、与えられた“設定”を神姫が拡大解釈や勘違いする事だってある」
  次に現れたのは、マーメイド型イーアネイラ。
「与えられた武装の“設定”された用途を無視し、より良い使用方法を見出してしまう事もあり得る」
  3枚目、黒き翼。天使型アーンヴァルB。
「与えられた“設定”を神姫が拒絶する事もあるわね」
「・・・ですが、神姫らしい神姫も居る筈です」
「あっ! こらちょっと!!」
  私は会長の手を遮り、2枚のカードを引き出す。絵柄は砲台型フォートブラッグと、建機型グラップラップと無骨なモチーフの組み合わせ。
「“設定”を神姫が無視するのではなく、オーナーである人間が無視し、そぐわない改造を行ったり、武装の違う用途を強制したりするだけではないのでしょうか?」
「それにしたって神姫と人間の意思疎通が出来て無いって事じゃないの。それなら・・・」
  会長は私から山を奪い返すと、また1枚捲る。鮮やかな赤、サンタ型ツガル。
「人間がその“設定”から神姫にコンプレックスを植え付けることもあるでしょ? 勿論自分でそれを克服する事も出来るし」
「・・・そうですね」
  説き伏せられた私にもうその気はないにしろ、今度は私の手元も警戒しながらカードを捲る会長。次なるは、雄々しき赤、寅型ティグリース。
「そして、人間に“設定”された“絆”まで否定してしまう事もあるでしょうね」
  其処まで捲ると、会長は残った山をもう一度切り始める。丁寧に。

「更に、神姫が凌駕し得るのはそれだけじゃない。人間自身の“能力”も、時には飛び越えちゃうわ」
  改めて整頓され置かれたカードの山。小さな腕がまたひとつ、新しい絵柄を見せる。白き力。悪魔型ストラーフW。
「例えば、運転や調理技術、神姫の技能が人間のそれを超えてしまうかもしれない。その“能力”も、それを望みえる“心”もある」
  間髪置かずに、今度は愛らしく、種方ジュビジー。
「そうであれば、神姫がその技能を人間に教える立場にだってなり得るわよね。その“能力”だって望めば有るもの」
  猛しく、犬型ハウリン。
「神姫が商店でも経営して、人間と同位の経済活動に参加することも可能よね。その“能力”も望める。人間よりも適材な時もあるかもね」
「・・・それは、会長が出資しておられる『ペットショップオシイ』の事そのものでは?」
「あ、バレた?」
  おどけながら捲る色彩。艶やかな、花型ジルダリア。
「・・・それで、まあちょっと言いづらいけれど、神姫が人間を殺し得る“能力”だってあるのよね。毒薬でも作ればいいんだし」
「言い辛いなら言わないで下さい」
「でも言っておかないとキモチ悪いし。あ、あたしはそんな物騒な真似までしないわよ?」
「・・・今の時点で十分物騒です」

「そして、人間より人間臭い“精神”の神姫だって居てもいいわよね。例えば金にがめつい奴とか、Sな奴とか。あ、Mは論外ね。主従関係って基本マゾ臭いから」
「・・・先程から聞いていれば、SMなんて連呼しないで下さい、はしたないですよ」
  言いながら捲られたのは、丑型ウィトゥルース。そして猫型マオチャオ。
「はしたなくて悪かったわね。でもはしたない所じゃなく、人間を利用しちゃう神姫もきっと居るわよね。それから、『脅し』や『お願い』で人間を操縦しちゃう、そんな図太い“精神”の神姫も居るかもしれない」
「先程から聞いていれば・・・それは全て、会長にも当てはまりませんか?」
  そう?とでも言いたげに意地らしく笑って捲られたのは、侍型紅緒、それと兎型ヴァッフェバニー。
「・・・考えたくありませんが、人間の意思決定を担ってしまう神姫や、それを容認し委ねてしまう、そんな“精神”の人間まで居てしまうのでしょうか?」
「・・優柔不断な奴なら、そんなのもあり得るんじゃないの?」
  手招きされて、1枚ずつ捲ったカードに描かれていたのは、見事に対の天使型アーンヴァル、悪魔型ストラーフ。

「まあ、その代わり神姫と人間の“心”が明らかに別物の可能性だってあたしは否定しないわよ。なんて言っても身体構造が違うのだし、絶対に相容れない部分もあるでしょうね」
  その言葉とともに一枚がはじき出される。手元に寄せれば、写っていたのはイルカ型ヴァッフェドルフィン。
「それならむしろ、人間と神姫、お互いがその“心”を別視する事で、人間が神姫をちゃんと認識出来るようになるのかもしれないけれど」


「・・・こんな風に、これだけの可能性を神姫の“心”は内包している。けれど、神姫が自由に生きるにはまだ難しい世界よね。・・そう、だから、“心”の自由さに気付いた神姫が、“居てもいい”為に手助けをしたい」
  会長は全てのカードを戻しながら締め括る。とても優しくて、儚い、理想。
「そして“隣部屋の隣人”にも理解して貰いたい。あたしや、そんな子達が居る事を」
「その為には、力が、必要と?」
「そうね。回りくどい事するには色々と、ね。それが、あたしがこんな馬鹿やる理由かな」
  そして、最後に、少し崩れて笑う。


  会長は涙を流さない。神姫であるからです。しかし、そんな笑みの意味を私は知っています。だから、こんな時、私は・・・
「・・・今自分で馬鹿だと認めましたね?」
「ナニそれ? 今までも馬鹿だって思っていたって言うの!! 馬鹿だって思う奴が馬鹿なのよ!!」
「大体良く聞いていれば、どっちつかずで、神姫も人間も引っ掻き回すような理屈ではありませんか」
「う・・・だったらあなた1人の胸にでもしまっときなさいよ!」
「毎度の事ながら、無理難題を言わないで下さい。それで、会長は神姫と人間、どちらの味方なのですか?」
「あら、そんなの、あたしはどっちだっていいのよ」
「またそれですか。あなたの“部下”は本当に、疲れます」
  私は、一番私らしい“信頼”の言葉で返す。

「・・・まあ、許してあげる。何だかんだ言って、あなたの事結構気に入ってるのよ? 今まであった男の中で3番目くらい」
「微妙に嬉しくありません。会長とはアパートの隣人程度で十分です」
「あら、つれないわねえ」
  そうすれば、“このひと”はまた微笑む。知っている、それも。



「・・・あ、そう言えば」
「まだ何かあるんですか?」
「神姫だろうと人間だろうと、運が悪いのだけはどーにもならないわよねえ?」
「それはそうでしょう。ラプラスの悪魔とでも契約しない限りは」
「・・・それも嫌よね」
  その時、いつの間にか踏んでいたカードに気付いた。落ちて、いたのは・・・
「あ! そのエウクランテのカードに足跡つけたわね!! 弁償よ減俸よ!!」
「不可抗力です」

  最後(?)もやっぱり、ちゃんちゃん。




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