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目次

インターバトル2「誤情報」


「…………」
ぱかぱか。
「ま、マスター、どうですか……?」
ぱかぱか。
マスターは一瞬頭の中が真っ暗になり、立ちくらみを起こして倒れそうになった。

「まったく……」
「ご、ごめんなさい」
 椅子に座り腕を組んで渋い顔をしているマスターの前の机の上で、アーンヴァル「マイティ」は恥ずかしさと申し訳なさと自分のバカさ加減に顔を真っ赤にして小さくなっていた。いや、もとから小さいのだが。
「シエンちゃんが、こうすればマスターが喜ぶって」
「奴の仕業か……」
 マスターの言う「奴」とはハウリン「シエン」のことではなく、そのオーナーのことである。
「ココちゃんも、言ってましたよ」
「…………」
 かの魔女っ子神姫ドキドキハウリンのことである。
 マスターは大きなため息をついた。
 シエンのオーナーは確信犯だろうが、ココのほうはおそらく実践する前に教えたのだろう。今頃どうなっているだろうか。
「ともかく、情報の真偽を見極めるのは試合でだけでなく、日常生活でも大事なことだ」
「はい……」
「まあ、今回は状況的に実践しなければ分からなかったからいい。実践して取り返しがつかない場合は大変だぞ」
「すみません……」
「……もういい。顔を上げろ」
「はい?」
 なでなで。
 いつのまにか頭をなでられていて、マイティは面食らった。
「あ、あの、マスター?」
「今回は俺の監督責任もある。もう落ち込むな」
「……はい」
 マイティはマスターの指を抱きしめる。温もり。

◆     ◆     ◆

 ぱかぱか。
「ご、ご主人様。こうですか?」
「そう! そうだ! いいぞシエン! できればもうちょっと開脚しろ!」
「は、はい」
 ぱっかぱっか。
「す、凄まじい破壊力だぜぇ……」
 ケンは鼻血を素手でぬぐいながら、シエンの太ももを見つめていた。
「あの、ご主人様。そ、そんなに見つめられると恥ずかしい……」
 ガチャ。
「ケン、次の試合の段取りが決まったよ」
 控え室に舎幕が入ってくる。
「……二人とも、何してるの?」
「おゥ……」
「はうっ!?」
 気まずい雰囲気がまたたくまに部屋内に広がった。





インターバトル3「エルゴより」


「ほら、着いたぞ」
 マスターはコートの胸ポケットの中で終始俯いているマイティに呼びかけた。
「本当に、直るんですか……?」
 沈痛な声色でマイティは主人を見上げる。
「ここの店長は確かな腕を持っている。大丈夫さ」
 マスターは右手に提げた紙袋を揺らした。中にはマイティの愛車、
1/12ヤマハV-MAXが入っている。
 二人はホビーショップ・エルゴに来ていた。
 マスターの行きつけのショップである。
 マイティを迎え、V-MAXを買った場所だ。

◆     ◆     ◆

 河川公園のラジコンコース。日曜日の昼、晴れた日には、マイティはここでV-MAXを走らせるのが日課となっている。
 天使のマークがプリントされた専用のフルフェイスヘルメットをかぶり、愛車にまたがるなりマイティはエンジンを始動。クラッチペダルを踏み込み発車する。小気味よくスロットルを回し、エンジンを吹かしてゆく。
 小さなライダーが小さなコースを軽快に疾走する。ミニチュアエンジンの甲高い回転音がコースに響き渡る。1/12と言ってもV-MAXの最大の特長であるVブーストシステムはきっちり再現されている。縮小ゆえ構造の簡略化は致し方ないが、スケール換算するならばその挙動は間違いなくV-MAXだった。
 エンジンの回転数が6000回転を突破する。6500回転を超えてからVブーストの本領が発揮される。小さなライダーを見に来たラジコン愛好者たちは固唾を呑んだ。
 が、その時。
 ばすんっ!
 異音がした。直後V-MAXのマフラーから煙がもうもうと吹き出し、スローダウン。マイティは異常に気付き何度も後ろを確認しながら停車。安全のためバイクから離れる。
「マイティ、大丈夫か」
 煙を上げる愛車を、メットをかぶったまま見つめるマイティの元へ、マスターが駆け込んでくる。
 やっとマイティはヘルメットを脱いだ。不安の色を隠せていない。
「マスター……」
 声を出した途端に、マイティは耐え切れず泣き出してしまった。

◆     ◆     ◆

 自動ドアを開けると、入れ違いに大勢の神姫とオーナーたちがぞろぞろと帰るところだった。
「やあ、いらっしゃい」
 店長、日暮夏彦がマスターを見つけ挨拶する。店長と呼ぶには若い。三年前に父親の後を継いでこのホビーショップを切り盛りしているのだった。
「店長、ちょっと頼みたいことがあるんだ」
 マスターはオーナーたちの端っこを通りながら、カウンターへ近づく。
 カウンターの横に設けられた1/12の教室の教壇に、胸像だけのヴァッフェバニーが鎮座していた。
「あら、こんばんはマイティ」
「こんばんは、うさ大明神先生……」
 マイティもこの神姫の学校で学んだことがあった。
「どうしたの? そんな浮かない顔しちゃって」
「あ、その……」
「これなんだが」
 マスターは紙袋からV-MAXを取り出し、カウンターへ置いた。
「こりゃ、うちでお買い上げいただいたV-MAXじゃないですか」
 店長はV-MAXを持ち上げる。
「何か、あったんですか?」
「前の日曜にいつもどおり走らせていたんだが、急に煙を噴き出してな」
 詳しくは彼女から訊いてくれ、と、マスターはマイティをカウンターへ立たせた。
「落ち込んでいても仕方がない。彼に話してくれないか」
「はい……」
 マイティは、6000回転を超えたあたりから変な破裂音がして、止まってしまったことを話した。
「ははあ」
 店長はそれでだいたいの見当がついたようだった。
「たぶん、バタフライバルブ関連ですね」
「バタフライバルブ?」
「Vブーストシステムの要の構造です。エンジンの回転数が6000回転を超えるとだんだんと開き始めて、8500回転で全開になってエンジン構造がツインキャブに変化するんです」
 マスターは中盤からの強烈な吹き上がりを思い出した。
「おそらく、バルブのパッキンか何かが吹っ飛んで、燃料の混合気がいきなり大量にエンジンに入っちゃったんだと思いますよ」
「人間の過呼吸みたいなものか」
「良いたとえですね」
 店長は作業台へV-MAXを乗せると、エンジンを外し始めた。
「直りますか?」
 マイティはおそるおそる尋ねた。
「部品を交換するだけですからね。たしかバルブの予備はあったから、すぐ済みますよ。……あ、そうだ」
 店長はマイティのほうへ振り返った。
「せっかくだから、メンテナンスのやり方、教えてあげるよ」
「えっ?」
「愛車は自分でいじりたいだろ?」
「あ、ありがとうございますっ!」
 マイティは涙をぬぐって、作業台へ向かった。うさ大明神様ことジェニーも調整助手として作業台へ置かれる。
「部品飛ばさないでくださいよ。よけられませんから」
「わかってるよ」
 店長はエンジンを取り出し終え、今度はエンジンそのものの分解に入る。
「さて、俺はどうするかな」
「あ、そうそう。神姫パーツの新製品、入ってますよ」
「そうか。見せてもらうよ」
 マスターは神姫パーツの棚へ向かった。
 棚の手前に新製品の台があり、そこに小さな箱が平積みされている。
 うさぎさん仮装セット、黒ぶちメガネ、サイズ変更用バストパーツ、etc……。
 むう、ほとんどが愛玩用のパーツじゃないか。
 マイティに対して、このような愛玩用部品を買い与えることは全く無かった。マイティが欲しがるところを見たことが無かった。言わないだけかもしれないが。
 そういえば、戸田静香嬢の作った服を着てみたいとは言っていたな。今度会ったときに頼んでみようか。
 考えながら見ていると愛玩用でないパーツを見つける。
 ストラーフ用らしき鎌に、白と黒、色違いの翼である。
 マスターは白い翼を一箱取る。
 一見仮装セットやメガネのような愛玩パーツの類に見えるが、裏を見るとれっきとした飛行機能をもつ背部パーツであることが記載されていた。
 アーンヴァルの高速巡航性能を持つウイングバーニアとは違う、曲線で機動的な飛行が可能らしい。翼面への武装は出来なくなるが、その軽さは非常に良好な出力重量比を出す、と、かいつまんで言うならこういうことが書いてあった。
「ほら、こいつが問題のバタフライバルブさ。ここんところが割れてるだろ……」
 カウンターではちょうどエンジンを分解し終えたらしく、店長の説明にマイティは熱心に聞き入っている。
 とりあえず白い翼のみをカゴに入れて、マスターは対戦端末の方へ行く。
 ここではランキングに関係のない対戦か、大多数のオーナーが所属しているサードリーグの対戦しか出来ない。
 マスターはサードのランキングを参照する。検索キーワードに「片足 片脚 片輪 隻脚」と入力し、検索。
 すぐに「該当なし」の答えが返ってくる。いるいないに関わらず、オフィシャルで二つ名は検索出来ないようだった。うろ覚えの名前を思い出して、今度は
「ルーシー」、そしてタイプに「ストラーフ」と入力してみる。
 あいまい検索を使ったので該当名は102件。マスターはしらみつぶしに参照し始めた。

「終わりましたよ」
 カウンターから声がかかり、マスターは端末を閉じる。102件の神姫の中で、目的のストラーフは見つけられなかった。片脚装備のストラーフはいるにはいたのだが、そのどれもが偽者、というよりはただの「まねっこ」でしかなかった。 
「これを頼む」
 マスターは白い翼のパーツを置く。
「はい。マイティちゃん、すごいですね。飲み込みが早くてびっくりしましたよ」
 店長が元通りになったV-MAXをカウンターに置く。
「ついでにオーバーホールもやっちゃいました」
「ありがとう。いくらだ」
「あ、いや、いいですよ。翼のだけで」
「いいのか?」
「ええ。久しぶりに楽しかったし」
 マイティはにこにこしている。
「……そうか。ありがとう」
「いえ」
 マスターはすこし考えて、訊いた。
「一つ尋ねたいんだが」
「はい?」
「片輪の悪魔、もしくは、片脚の悪魔という二つ名の神姫を知らないか」
「…………」
 店長はしばらく黙っていたが、
「それって、オーナーも左足が無いやつ、ですか」
「そうだ。すこし前、サードだった頃に戦ったことがある」
 変に重そうな空気を察して、マイティはマスターのコートにもぐりこんだ。
「たぶん今は戦えませんよ。だって彼、今ファーストランカーなんです」
「なんだって?」
「知らないんですか?」
「ファーストのセンターには行かないからな」
 ランキングの参照は、プライバシー云々とかいう面倒な理屈でセンターでしか参照できず、またそこではセンターの取り扱うランク以下のものしか見られない。ファーストのランクを調べるには、ファーストのセンターへ行くしかないのだ。
 そしてファーストのセンターは、例外なくリアルバトルのための大規模な施設がある、スタジアムのようなところである。
「ともかく、いま彼はファーストです。破竹、って言葉がぴったり当てはまるほどの勢いでのぼり詰めましたから。時期的に見て、サードで戦ったのはたぶんあなたが最後ですよ」
「そうか」
 マスターは驚く風でもなく、そうとだけ答えた。
「いろいろありがとう。それじゃあ」
「ありがとうございました。また来てください」
「またね、マイティ」
「さようなら、うさ大明神先生」
 そうしてマスターはホビーショップ・エルゴを後にした。

「マイティ」
「はい?」
 雪がしんしんと降る帰り道。マスターはマイティに言った。
「お前は、……ファーストに行く気はあるか」
「どうしたんですか? 急に」
「いや。もし行けるとしたら、の話だ。リアルバトルがほとんどの、危険な所だ。お前はどうしたい」
「うーん……」
 マイティはすこし考えて、答える。
「マスターがそうしたいのなら、私はそれで」
 テンプレートのような回答。神姫が本来答えるような。
 だが言葉は同じでも、マイティはそれを自分の意志で言ったのだ。
「私も、あの片脚の悪魔ともう一度戦いたいです」
 だからマイティは、そう付け加えた。
「そうか――」
 マスターは安心したとも落胆したとも取れる微妙な、表情をして目をつぶった。たぶんそのどちらでもあり、マイティはそのどちらでもある悩めるマスターが好きだった。
「明日晴れたら、もう一度バイクを走らせに行こう」
「はい」
 白い空がだんだんと暗くなり、夜が訪れる。







「固執」


 仰向けに寝ながら、神姫スケール換算地上千メートルを、高速巡行するマイティ。
 手足には軽量で対実弾防御力のあるカサハラ製鉄ヴァッフェシリーズのプロテクターを着込み、クリティカルな胸部には同根装備のアーマー、頭にはヘッドセンサー・アネーロをかぶる。
 右手はミニガンではなく、アルヴォPDW9。アーンヴァルの実弾射撃武装はどちらもケースレス方式をとっている。飛び出した薬莢が飛行機動を阻害する恐れがあるためだ。とくに高速移動時にその弊害が見られ、だからミニガンは飛行時に正面へ撃つことができない。
 背中のウイングユニットには、ありとあらゆる推進装備がくっつけられている。エクステンドブースター、ランディングギア。そしてヴァッフェシリーズのスラスター。融通の利く動きはほとんどできないが、一方向に集中したノズルは莫大な推進力を生み出す。アラエル戦のバトルプルーブを経て、各パーツの配置が一新され、よりパワーロスが少なくなった。
 翼の一方に、バランスの低下を承知で、LC3レーザーライフルを搭載していた。この装備方法では飛んでいる方向にしか撃てない。巡行武装だと割り切っている。
 ここはホビーショップ・エルゴの対戦ブースである。このたびの大改装でセカンドリーグにも参加できるようになり、マスターは二駅をまたぐ必要がなくなったのだった。
 スペースでは対戦相手がいない場合、こうして一人でテストモードが出きる。トレーニングマシンが普及してから使われなくなった機能だが、現在でも律儀に入れられている。
「どうしてトレーニングマシン、使わないんです?」
 店長が訊いた時、
「実戦に使われるフィールドの方が役に立つ」
 とマスターは答えた。
 確かにトレーニングマシンと実際に試合に使用されるフィールドには若干の差がある。しかしそれは本当に若干なもので、だから皆将来的な経費が押さえられるトレーニングマシンを買うのである。
 マスターの家にも無論、トレ-ニングマシンはある。
「マイティ、どうだ」
 バーチャル空間の中を飛び回るマイティに話し掛ける。
『やっぱり空気の重さが違います。マシンでできたような無茶な機動が、たぶん出来ません』
 バトルスペースのマシンパワーに、やはりトレーニングマシンはかなわない。戦闘中はだいたい高速で動く神姫には、この差は場合によっては致命的な差となる。
 マスターもマイティも、今、一種のマンネリを覚えていた。
 バトルの成績は悪くはない。ファーストへの昇格はいまだ高嶺の花だが、それでも順当に戦えている。
 バトルのアクセス料金、マイティの武装代、メンテナンス料金、武装神姫というカテゴリにかかる料金はすべて、いわゆるファイトマネーでまなかうことが出来た。
 余談ではあるが、この「勝てばそれなりに報酬がもらえる」という制度が実現したことが、武装神姫の世界的な発展につながった一翼を担っていると言っても過言ではない。実現にあたっては「ゲームがけがれる」とか「ギャンブルだ」などという辛辣な批判ももちろんあった。
 しかし結果として、良い方向に実現した。
 第三次世界大戦も起こらなかったし、宇宙人の侵略もなかったのだ。ゲームに報酬が設定された所で、なんのことがあろうか。と、人々が思ったかどうかは分からないが。
 閑話休題。
 ともかくそれでも、何か初期のキラキラした感覚が鈍くなってきていることは、お互いに分かっていた。
 その対処法が分からない。
 結局問題は棚上げで、今に至る。
『Here comes a new challenger』
 ジャッジAIが挑戦者を告げる。
 テストモード中はオンラインオフラインに関わらず、対戦受付はオープンにしてある。当たり前だがシャットアウト機能は無い。対戦スペースにいるのはすべからく対戦許可とみなされるのだ。
 相手はオンラインからだった。
『よろしくお願いします』
 当り障りの無い挨拶。女性らしい。
「よろしく」
 マスターは適当に答える。
 相手はセカンド。大体自分と同じような戦績。いや。
 最近特に伸びてきている。
 マイティがいったん待機スペースへとリターン。
『どうします?』
「例の機能を使ってみようと思う」
『じゃあ、初期装備はこのままですね』
「なるべく広いフィールドの方が良いが、狭くてもすぐ対応できる」
『分かりました』
 マイティ、準備完了。
 すぐに周囲のポリゴンがばらばらになり、フィールドが再構成される。

『バトルスタート。フィールド・地下空間01』

 広大な空洞。高さもあるが、下は一面湖だった。所々に浮島があり、またいたるところに石の柱が立っている。
 一方の入り口から、マイティが巡行飛行状態で入場。
 もう一方から入ってきたのは、ストラーフタイプだった。
 かなり軽装である。
 ヴァッフェシリーズのブーツを履き、大腿と手首には同根装備のスパイクアーマーをそれぞれ取り付けている。胸部はハウリンの胸甲・心守。
 頭部にフロストゥ・グフロートゥ、二の腕にフロストゥ・クレインを装備しているが、あれでは武器を使用できない。アクセサリーと割り切っているのだろうか。
 主武装が新装備のサイズ・オブ・ザ・グリムリーパーと、二体のぷちマスィーン、肆号とオレにゃんしかなかった。プチマスィーンはどちらも射撃用のマシンガン。
 何よりも特徴的なのは、メガネをかけていることだった。
「軽装備……?」
 それに装飾が過ぎる。
 マイティは疑問に思った。
『何か仕込んでいるのかもしれない。気をつけろ』
「了解」
 そのまま巡航で近づく。ためしにレーザーライフルを二、三発撃ってみる。
 ストラーフが消える。
「!?」
『光学迷彩だ。センサーをサーマルに切り替えろ』
「は、はい」
「はっずれ~♪」
 真上から声が聞こえた。背筋が一気に凍りつき、マイティは慌てて後方にマシンガンの
銃口を向けようとする。
 がごんっ
 胸部をしたたかに打たれ、マイティは失速。落下した。
「な、なに?」
 マイティは何が起こったのか分からず混乱した。姿勢を制御するのを忘れる。
『マイティ、機体を起こせ!』
 はっ、と気づいてフラップを最大限に傾ける。
 水面すれすれでマイティは水平飛行に移る。水しぶきが上がる。
 胸部アーマーがべっこりとひしゃげていた。ストラーフは鎌の背でなく、刃で打った。アーマーが無ければ負けていた。
「マスター、今のは!?」
『分からん。瞬間移動に見えた。今解析している』
『調べても無駄よ』
 相手のオーナーが言った。
『本当に瞬間移動ですもの』
『何?』
 マスターのモニターに相手の画面が現れた。眼鏡を掛けた黒髪の女性。
『公式武装主義者(ノーマリズマー)のマイティに会えて嬉しいわ』
『もう二つ名がついているのか。光栄だな』
『セカンドながらあの鶴畑を倒した実力派ですもの。神姫に入れ込んでいる人間なら、だいたい知っているわ』
『さしずめそちらは特殊装備主義者(スペシャリズマー)というわけか。マイティ』
「は、はい」
『装備Bに切り替える』
「分かりました」
 マスターがコンソールを操作する。
 マイティはウイングユニットを丸ごと切り離すと、浮島の一つに着地。シロにゃんにコントロールが移ったウイングユニットは、ランディングギアを浮島に落とす。
『サイドボード展開。装備変更』
 マイティの脚からブーツが消え、代わりにランディングギアが瞬時に装着される。肩と大腿のプロテクター、そしてひしゃげた胸部アーマーがポリゴンの塵と化し、ふくらはぎのアクセサリポケットが肩に移動。
 武装にも変更が加えられた。アルヴォPDW9が消失し、カロッテTMPが出現。
 左手首のガードプレートが、右手首同様ライトセイバーに代わる。
 予備武装としてランディングギアにバグダント・アーミーブレードを装備。
 最後に、天使のような翼が背中から生える。「白き翼」だ。
『飛び方は覚えているな』
「はい。さんざん練習しましたから」
『よし、行け』
 ひと羽ばたき。それだけで、マイティは相手のストラーフの立つ浮島へ急速に接近した。
 バララララララ
 接近しつつTMPを撃つ。
 ストラーフはまたもや消失。真左に反応。
 左を向いて確認する隙も惜しんで、マイティは反射的に左手のライトセイバーをオン。そのまま切り付ける。
「おっと」
 ストラーフは、上、に避けた。
 間違いない。こいつは飛べるのだ。
どうやって?
『原理は不明だが瞬間移動が主な移動手段だ。姿勢制御による若干の移動を、頭と二の腕
のブレードと手足でやっている』
 マスターが解析した。
 なんて飛び方!
 後方からがっちりと拘束される。
「おしまいね」
 ストラーフがくすっ、と笑う
 鎌が首筋に当てられようとする。
 マイティは両肘で相手の腹を打つ。
「やばーん!」
 飛び去りながら、ストラーフが叫ぶ。
「うるさいっ」
 マイティはTMPを精密射撃。
 しかし鎌をくるくると回転させ盾にされる。
 二体のぷちマスィーンズが反撃の連射。
 マイティは白い翼を前方で閉じる。
 翼の表面に銃弾が当たる。が、ダメージは無い。翼は盾にもなるのだ。
「ばあ」
 翼を開いた途端、目の前に舌を出したストラーフ。瞬間移動だ。
 ガキンッ!
 突き出された鎌を、TMPで受ける。TMPは壊れて使い物にならなくなった。
 ライトセイバーを伸ばす。ストラーフはあろうことかぷちマスィーンを盾にして後退。マスィーンズは爆砕。ポリゴンになって消える。
「マスター、瞬間移動のパターンは!?」
『今のところ直線距離でしか移動していない』
 つまりいきなり後ろに回り込まれることは無いということ。だが、横に移動した後、後ろに、と二段階を踏めばそういった機動も出来てしまう。
 あまり意味が無い。
「そうよ、この瞬間移動は自由自在なのよ」
 マイティの懸念を見透かしたかのように。ストラーフは笑った。
「しかも」
 真横。
「何度も使えちゃう」
 真後ろ。
「くうっ……!」
 マイティは宙返り。ランディングギアでオーバヘッドキックを浴びせる。
「きゃんっ!?」
 頭に命中。ストラーフは急速に落下する。マイティはアーミーブレードを両手に装備。
「やったわねぇっ」
 浮島を蹴り、目の前に瞬間移動。
 予想通り!
 マイティはブレードを振り下ろす。f
 瞬間移動した直後は瞬間移動できない。当てられる!
 しかし、ストラーフは消えていた。
「予想通り」
 頭上から声。姿勢制御による限定機動!
「お返しよ♪」
 頭をぶん殴られ、マイティは一瞬気を失う。
 屈辱。殴られるのは一番そう。これは人間も神姫も変わらなかった。
「シロにゃん!」
「にゃーっ!」
 いつのまにか接近していたウイングユニットがストラーフに体当たりを仕掛ける。
「そんなハッタリ無駄!」
 ズバッ
 鎌で一刀両断。ウイングユニットは消えてしまう。
『主義と固執は違うのよ』
 ストラーフのオーナーが言う。
『何を……』
『通常装備だけではおのずと限界がある。あなたも薄々感づいているはず』
『何が言いたい』
 マスターは苦虫を噛み潰したような顔をした。
『あなたの実力ならファーストには行けるでしょう。でも、ファーストでは固執は許されないわ。認められたあらゆる手段を使わなければ勝てない場所よ』
『アドバイスのつもりか』
『あなたがあの片足の悪魔と戦いたいのなら、ね』
『……!!』
 その名前が出てきたことに、マスターは驚きを隠せなかった。
 モニターから嫌な音がした。
 ストラーフの鎌が、マイティの額を刺し貫いていた。
 驚愕に目を見開くマイティ。ポリゴンの火花を撒き散らして、消滅。

『試合終了。Winner,クエンティン』
 マスターは初めて、相手の神姫の名前を知った。

 マスターはしばらく、コンソールに手をつきながら前を見つめていた。
 ハッチの開いたポッドに座り込みながら、マイティはおどおどするしかない。
「帰るぞ」
 唐突にそういわれたので、マイティは立ち上がる際転びそうになってしまう。
 ねぎらいの言葉を掛ける店長も無視して、マスターは足早に店を出た。





「戯れ」 ※For adult only


ぱかぱか。
「うーむ、やっぱり何度見ても素晴らしい……」
 ぱっかぱか。
「ご主人様、口調が変わってます」
 股を開いたり閉じたりしながら、私、犬型MMSハウリン『シエン』は言った。
 あれからご主人様は、毎晩のように私にこの、……その、「ぱかぱか」をさせる。
 正直に言って何度やっても恥ずかしくて仕方が無いのだが、ご主人様が喜ぶなら,と、私は拒否しない。まあ、そもそも、やれと言われれば神姫に拒否権など無いのだけれど。
 それに、これを始めてから一向に気になってしょうがないものがあるのだ。
 ご主人様の股間部の、ふ、ふ……ふくらみだ。
 私のこの行為でご主人様が欲情しているというのは、役に立っているところは嬉しいのだが、素直に喜べない所は、ある。
 それにご主人様はあそこを大きくさせるだけで,行為に及ぼうとはしない。こんなことを言うのも悪いが、躊躇無くやるような外見をしているというのに。こんなこと考えるのは神姫としてありえないことだろうか。バグが発生しているのかもしれない。ずっとATに乗って揺さぶられて戦っているから、ノイズか何かが拡大しているのかもしれない。少なくとも今は、定期的にスキャニングしても何も出ない。
 いたって正常。
 でも……。
 私はついに思い立つ。
 ぱかぱかをやめて、座る。
「ん、どした? もう嫌か?」
 私はテーブルを降りて、迷うことなくご主人様のふくらみの前に降り立った。ぽす、と座布団が小さな音を立てる。
「すみません。動かないでいてください」
「お、おい!?」
 声をあげるご主人様を無視して――無視できるということはやっぱりバグってるのかもしれない――、私はズボンのファスナーを下ろす。そして中のトランクスをずらした。
 ぼろん、と、ご主人様の巨大な一物が私の前に躍り出た。べち、とぶつかってしまって、転んでしまう。
「し、シエン……」
「大丈夫です。楽にして、差し上げます」
 私は起き上がって、両手で彼のモノを抱きかかえる。雄の臭いが嗅覚センサーを刺激す
る。嫌な臭いじゃ、ない。ご主人様の、ニオイ。
 好き――。
 私は恍惚状態に落ちながら、小さな舌を竿に這わせる。
 ちゅっ、ちゅる……ぺちゅ、れるれる。
 淫猥な音が部屋に広がる。食物を消化できる神姫は、唾液だって分泌できる。人間のそれとは大きく成分が違うが……、こういう用途に関しては、効果は一緒だ。
「ぐ、うぅ……」。
 ご主人様が耐えられず、横になる。
 私は彼の上に乗って、足も彼の肉棒に絡みつかせる。
 熱くなっているのが分かる。彼のモノも、私自身も。
 全身から分泌される汗、冷却液さえ、潤滑油にして満遍なくまぶす。
 これくらいでいいでしょう。
 私は全身を使って、ご主人様のものをしごき上げる。なめることも忘れない。
くちゅっ、ぷちゃっ、ぢゅにゅっ、ぬちっ
 さらに激しく水音が響く。
 もう彼の臭いが私に移っちゃっているかもしれない。
 でも、損なのは気にならない。むしろうれしい。
 カリの裏側を、舌でねぶり、手でこする。男の人はここが気持ちいいのだ。どこで知ったかって? それは秘密。
「うおぉ……」
 気持ちよさそうにご主人様がうめく。とろとろと先走り汁がにじみ出てきて、私の体を汚していく。
 私の中から快感の波がやってくる。神姫だって気持ちよさを感じるプログラムはある。アングラの愛玩用素体など使わなくたって。
「あぁ、はっ、ふうう……」
 声を漏らしてしまう私。こんなにエッチな声が出せちゃうんだ。
 さらにトリップしつつ、動きを激しくする。
ぢゅ、ぐちゅっ、ずちゅ、むぢゃっ
「ご主人様、気持ちいいですか、はうっ、気持ちいいですか?」
 私の声はご主人様には届かない。彼は快楽に身をゆだねているだけだ。私だって、もう何を言っているのか分からなかった。
 一物が一段と大きく膨らみ、根元から熱いものがこみ上げてくるのが分かった。
 あ、そろそろ、イきそう。
「だめだ、シエンっ……そろそろ、出ちまう」
「いい、ですよぉっ……。出してっ、ください。わ、私に、かけてくださいっ!」
「ぐおぁっ!」
びびゃっ!
 精液がてっぺんから勢いよく飛び出した。
びゅぐるるっ、びるびっ、びゅるっ、びるるぅっ!
「ああっ、熱い! こんなに、いっぱいぃ!」
 大量の白濁液が、真上から私に滝のように降り注ぐ。
 一段と濃いオスの臭いが私のボディの上から下まで染み付いてゆく。
びゅびぅっ、びゅるぐっ、ぶびゅるっ、ぶゅるるるっ!
「ご、ご主人様、ごぼ、おぼれちゃい、ますぅ……」
 彼の液体に浸かりながら、私は気を失った。

 それからどうしたかって?
 どうもしませんよ。私たちはいつもどおり、ATに乗って戦って、ファイトマネーをもらって食べていってます。
 ただ私は、毎晩体を洗うのが日課になりましたけれど。







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