第六間幕。
ぱっと差し込むスポットライト。どこかの廊下であろうか。白衣に身を包んだ小幡だけが立っている。
ぱっと差し込むスポットライト。どこかの廊下であろうか。白衣に身を包んだ小幡だけが立っている。
小幡「はじめまして、皆様。小幡 紗枝と申します。神姫でもない私だけが、このように間幕に立つ事、お許しくださいませ」
肩を竦めて少し笑う。
小幡「2036の風・・・第六幕をご覧頂き、まことに有難うございます」
小幡、一礼。遠く響く風の音。ライト、朝を思い出させる青い色。
小幡「この幕をもって、第二編を終了。全十二幕の内、前半六幕を終了した事になります。このように、一種異質の作品をお読み頂いている皆様には感謝の言葉もございません」
スポットライト消灯。廊下全体を柔らかい日差しのような光が包み込む。
小幡「・・・それは少し前の昔話。ゼリスの身体がパーツ化された時でした。人の臓器提供や移植とは、全く別の事である彼女の遺志。僅かでも皆様に届けば幸いです」
思い出すように、遠い目で天井を見上げる。
小幡「・・・2036の風は、全十二幕それぞれがメッセージ性を含みながらも、他の十一幕と絡み合うショート集として構成されています。どこかで聞いた台詞。どこかで聞いた質問の答え・・・それぞれの神姫の『心』を聞いて頂ければ、これ以上の幸せはありません」
ライト、ゆっくりと夕焼け色に。
小幡「フェスタ、ヴィネット、ボタン、ルクス・・・。ゼリスの身体を受け継いだ姉妹の物語。それぞれが受け継いだ遺志。それぞれが紡ごうとする未来。それぞれが『神姫』として求めようとする答え。 それを・・・『人』として見つめるマスター達。神姫として生きようとする彼女達・・・。それを私は、ゼリスと共に見守ろうと思います」
小幡、微笑を浮かべて両手を胸の前で合わせる。
小幡「『貴方の心に、誰がいますか?』」
風の音が強くなり、ライト、少し暗く。
沈黙。小幡の表情が僅かながら暗くなる。
沈黙。小幡の表情が僅かながら暗くなる。
小幡「・・・。後半の第一幕となる次幕・・・『最後の姉妹』が登場します」
手を広げると、そこには・・・一つの小さな『種』。
ふと。風が吹き、種を飛ばしてしまう。追う事もせず、小幡はまっすぐこちらを向いた。
ふと。風が吹き、種を飛ばしてしまう。追う事もせず、小幡はまっすぐこちらを向いた。
小幡「私は、神姫もまた、きっと。未来を紡げると信じています」
その目にうっすらと浮かぶ、柔らかな涙。
ライト、更に暗く。
ライト、更に暗く。
小幡「それでは皆様、失礼致します。
末妹。彼女が開ける後半の幕も、お読み頂ければ幸いです」
末妹。彼女が開ける後半の幕も、お読み頂ければ幸いです」
小幡、礼。
第六幕、了。ライト消灯。