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「武装神姫のリン」
第6話「決闘、対ルクレツィア」

リンがウチに来てから遂に半年が経過した。

コレまでの燐の戦績は16勝4敗。
今では俺のランクもサードリーグの最上位レベルに達している、次の大会で入賞(もちろん一番良いのは優勝だが)すればセカンドリーグへの参加が認められるはずだ。

リンは今でも普段は可愛いもの好きでとても可愛いヤツなのだが、ひとたびバトルとなると表情が変わる。
敵を見つめる紅い瞳。そこから発せられ、敵を鋭く射抜く視線は敵をそれだけで戦意喪失に追い込むほどだ。
サードリーグのランカーではもうリンの二つ名を知らない者は少ない。
ソレは「黒衣の戦乙女」
なんとも大層なネーミングだ。
もちろんこれは俺たち自身で考えたわけじゃない、ネットの掲示板で"どこかの誰か"が勝手につけたものだ。
それでもネットの力によりこの名は数日の内に広がった。
今ではバトルの入場時に司会が「黒衣の戦乙女の登場だっぁぁぁぁぁ!!」などとコメントするほどだ。

確かに全国規模で通用する二つ名を持つ神姫も存在する。
「隻脚の悪魔」や「ソードダンサー」、初めての大会での優勝で一気にセカンドに飛び級した「銃兵衛」なんてのも聞く。
ストラーフタイプが多いのは俺が参考にストラーフタイプでの高位ランカーを調べるとこういった二つ名にたどり着くことが多いだけだ。
今や「隻脚の悪魔」はファーストの中でも相当の強者であり、その特異なシルエットも相まって知名度は多分日本一だろう。
どうしたらこれほど強くなれるのか、俺たちには想像もつかない苦労や訓練があったかもしれない。

それは置いといて、明日は遂にセカンド昇進か否かという大事な公式大会だ。
俺は試合前日になると決まってリンを1日自由にさせている、訓練をしたとしても1日分でどうにかなるレベルでななくリンに余計な疲労感を与えるだけだ。
なので今リンが何をしているかというと・・・・・・


『ディバイン・・・・バスタァーーーーーーーーーー』
少女の叫びと共に桜色の極太ビーム、いや魔力砲が空を翔ける。
これは「魔法少女リ○カルなのは」だ、先日俺が家を空けたときに偶然TVで放送しているを見てその題名とかけ離れた熱いバトルが気に入ったらしい。
コレを食い入るように見つめているリン。
シーンが変わる。
さきほどの少女とは違う、金髪のツインテールに黒い衣装を身にまとい、斧のような武器を構える少女。
彼女が画面に現れた瞬間、リンの目つきが変わり・・・・
「キャーーーフェイト様ぁ☆」
バトル時の彼女しか知らない人がこの様子を見ればそれまでのイメージが確実に崩壊するであろう黄色い歓声を上げるリン。
何でもフェイトの境遇等を知って大ファンになったらしい、リンの戦闘モーションにも確実に彼女の影響が現れている。
リン曰く、フェイトは己の師匠だそうだ。
今は戦闘モーションを気にせずに、フェイトの戦いを鑑賞するだけらしいが・・・
「後ろ、避けてぇ!!」
「特撮ヒーローモノの野外ショーで歓声をあげる子供か」と突っ込みたいほど童心に返っている(この表現が正しいかは分からない)


まあリンがリラックスできるなら問題は無い。
とりあえず歓声を上げ続けるリンをほっといてオレは最後の情報収集を行う。
PCを立ち上げて、ネットにアクセス。
あの『オタ』友人、倉本が教えてくれた非公式サイト「真夜中の舞踏会」
公式ランカーの細かな戦績や、時には裏バトルの結果さえも掲載される。
その情報の正確さは目を見張るものがある、ここで俺は今のリンの最大の障害となっている神姫の情報を集める。
その名は「ルクレツィア」。
アーンヴァルタイプでありながら基本的に白兵戦で勝負する神姫だ。
装備は様々、ライトセイバーはもちろん、エクスカリバー、アロンダイト、参式斬艦刀などと言った大剣を扱う。
大きなエモノの重量のため、普通の神姫ならばリンにその刃が届くことは無い。
だがアレの上腕部にはセカンドアームのパーツから制作したと思われる強化フレームが装備されている。
胸部も通常とは違った大きめのアーマーが覆い、その肩に強化フレームが接続されている。
このフレームの力は絶大で、燐はそのフレームの前に2回の敗北を喫している。
1回目はほぼ瞬殺、2回目は結構なダメージを与えられたが、1瞬の隙を突かれジエンド。

もちろんルクレツィアにも2つ名がある。「バスターソード」。
今回燐はコイツに勝たなければ、たとえ許可されてもセカンド昇格はしないと言っている。
それだけの強敵だった。
しかも今回の大会の決勝リーグはリアルバトルだ、場合によってはパーツを完全に破壊される可能性さえある。
もちろん頭部への攻撃はプログラムによって規制されているがそれ以外ははっきり言ってバーチャルバトルと変わりが無い。
正に死闘になることは分かりきっていた。


なんとか弱点を見つけるべく、膨大な記事に目を通す。
直接関係はないが、あるニュースを発見する。
「裏バイヤーの違法フレーム。」
見た目は公式のフレームと同じで重さも変わらない、しかし新しく開発された軍用の合金を使用し強度は比較にならない。
バトルでなんとしても勝ちたいランカーは結構な額のするパーツでも即決で買い取る場合が多いためか、そういったランカーをターゲットにこういった違法パーツがアジアルート経由で日本に入って来ているらしい。
コレはすこし気になるので詳細を表示した。
「このフレームを切断するにはフルストゥ・グフロートゥ等の実剣ではほぼ不可能、ライトセイバー以上の出力を持った非実体剣のみ」
これは良い情報を入手した。と思ったところに倉本からメールが届く。

「ルクレツィアには注意しろ。今回はいつもと違うぞとブログで公言してやがる」だそうだ。
OK、こっちは今まで2回もズタボロにされてるんだ、1度ぐらいはお返ししてやらないと俺も燐も気がすまない。
そうしてパーツの整備に入る。
いつもお世話になっているレッグパーツ、アームユニットは特に入念に手入れをする。
明日は決戦だ、そのため油圧シリンダーを特製のモノに交換する。
量産品だとどうしても精度が信用できないので友人の働いている工場(もちろん神姫様用パーツ製造の下請け、専門家だ)で職人と呼ばれる人が調整したモノだ。
これを卸売り価格で譲ってもらう。やはり持つべきものは友人なのかもしれない。
シリンダーに指す油の量も今までの経験を鑑み、燐のポテンシャルを最大限に引き出せるように調整してある。
1mℓの狂いでさえ許されない。いや自分が許さない。

そうして特に消耗の多い2つのパーツの次は刃物類だ、特製の研磨機(ウチの会社の工場で廃棄処分になるはずだったものを貰ってレストア、改造をした)にフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレイン、アングルブレードをセット。3分ほどで研磨は終わる。
ソレまでは所々に細かな傷があったが、今は新品同様、いやそれ以上の鋭さを誇る。
以前測ってみたら医療用メス並みの切れ味を示した。
それからというもの、俺は移動中は自作のケース(付属の樹脂製だと不安だったのでカバー内部にワイヤーの網をつけている。さらに刃を覆う特殊なフィルムを被せて圧着。本物のメスさながらの状態にしているうえにカバーを被せる)に刀剣類をしまうことにしている。

また、敵との間合いを計る重要なファクターである銃火器も手入れをする。がソレは燐に一任している。
さすがにあのサイズのコルト・パイソンをバラして組み立てるのは不安だった。
SRGRも同様だが、弾の判断は当日に俺自身が決定する(銃弾は基本的に樹脂製であり、大会のバトル前にのみ実弾が貸し出される)
今回は燃焼力を重視した弾を選択する。特定のランカー以外は眼中に無い。 早めに勝負を決めるべきだったからだ。


そうしてメンテナンスをすべて終え、部屋から出てくるとリンが言った。
「マスター、ひとつだけお願いできますか?」
「なんだ??」
俺は訳がわからず首をかしげる。
「あの・・・キスしてくれませんか?」
「っ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

魂消た。
「どうして?」冷静な思考を取り戻そうとしつつ聞き返した。
「いや、あの…そういうことをすれば勝てるってジンクスを耳にしまして/////」
リンの顔がほんのり桜色に染まる。
「いや、あの。 その…だな」
とても恥ずかしい。
家には2人だけとは言え、そういった行為はまったく予想していなかったため反応ができない。
なんとか切り抜ける手立てはないかと模索するが、すでにリンの表情には艶が宿っている。
これは逃げられない。そう核心した。
そうして俺はリンを手に乗せ、目線を合わせるようにリンを近づける。
「リンの方からやれよ」苦し紛れに言った。
次の瞬間リンの唇が重なる。触れている面積自体はとても小さい、でも熱が伝わってくる。
これでリンの想いを俺は理解した。

『やべえ、こりゃもしかしたら俺結婚できないかも……』と俺は思いつつ、その夜は更けていった。


そうして大会当日。
予選は……話すまでも無い。
基本的に30秒でKOを奪い、決勝トーナメントへ。
決勝トーナメントも基本1分以内で勝ち進んで現在は準決勝だ。

勝利は目前。
敵のマオチャオはもうプチマスィーンをすべて叩き落され、右腕のシールドもSRGRの直撃で吹き飛んでいる。
苦し紛れに唯一残されたドリルで特攻してくるが、宙返りでドリルを裁くこともなく回避。
着地してすぐに回し蹴りを食らわす。敵が体勢を崩した所をフルストゥ・グフロートゥで四肢を切り落として勝利。


そうして決勝まではすんなりとコマを進めることができた。

決勝の相手は・・・・・やはり「ルクレツィア」。
今日は予告どおりいつもと違う装備だった。
肩のフレームなどはそのままだが、強度・もしくはパワーが上がったのか、アロンダイトと参式斬艦刀を両手に持ち、背のバックパックにエクスカリバーを2本マウントしている。
今までは両手持ちだったのでその辺が「違う」みたいだ。
多分燐に対してはこの装備に加え、シュベルトゲベールを1対ほど、そしてアーンヴァルのデフォルト装備の翼とブースターを追加してくるだろう。
あちら側としてはなんとしても燐を分解するつもりらしい。

だがこっちも対策が無いわけではない。
今の燐の装備がソレを表している。
歓声が聞こえる。
西ゲートからルクレッィアが入場したのだろう。
決戦の時が来た。

燐が瞑っていた瞳を開くと同時にゲートが開いた。
決勝のステージへ入場すると、大きな歓声が上がる。
『東ゲートから入場するは「黒衣の戦乙女」燐!!!!今までのリベンジに燃える彼女の瞳は何を見ているのか!!』

会場のボルテージは今最高潮だ。
燐はその歓声を物ともせず、まっすぐにルクレッィアを見ている。
ふいにルクレッィアの顔が歪む、「今回もズタボロに刻んであげる」そう言いたいらしい。
燐が不意に右手を上げた、かと思うと親指を立てた拳を水平に首の位置に。そして横にゆっくりと動かした。
まさか燐が挑発するとは思っていなかったのだろう。
敵は顔をさらに歪ませている。

「燐、思う存分にやってこい!!」
「はい、マスター!!」
バトルフィールドに2体の神姫が脚を踏み入れる。

フィールドは観客席と透明な特殊樹脂製の壁に阻まれた1つのリング。デティールは正に闘技場だ。
障害物など無い。

「それでは、決勝戦。神姫ファイト、レディ……ゴウ!!」
審判が大きな声を張り上げると同時に白と黒のシルエットが動き出した。

先制はルクレツィア、まずはマシンガンを乱射してくる。
いくら接近専用とはいっても間合いの調整には火器を使う。
一方燐は背負っていた巨大なシールドを構え、ソレをやり過ごす。
そして向こうの火器が弾切れを起こす---即ち敵の間合いだ。
燐はシールドを正面に蹴飛ばすと同時にその反動で高く飛ぶ、そのまま宙返りをして敵のアロンダイトによる突撃を回避した。
がそのアロンダイトには先ほど蹴り飛ばしたシールドが刃の根元まで食い込んでいる。
ルクレツィアはそのままアロンダイトでシールドを真っ二つにした。

「姑息な手を使ってくれるじゃないの」
ルクレツィアが挑発してくるが燐は気にせずフルストゥ・グフロートゥとフルストゥ・クレインを連結して投擲した。
「こんなモノで私は捉えられないわよ」
そのバックパックの重武装からは考えられないほど軽やかなステップを踏んで回避された、はずだった。

急に連結刃が飛翔する方向を変え、ルクレツィアの翼の端を切り裂いていた。
ルクレツィアは激怒した。
「……ご主人様にいただいた大事な翼に傷を……許さない!!!」
そうしてアロンダイト、参式斬艦刀を両手に突進してきた。
「お望みどおりに切り刻んであげる」
今燐の手元にその2本の大剣に対抗できるエモノは存在しない。
しかしルクレツィアの剣が燐に届くことは無かった。
ルクレツィアが急に見えない腕に引っ張られるように静止したのだ。
「なっ」
次の瞬間、ルクレツィアの自慢の翼は無残にも切り落とされる。
そうしてやっとルクレツィアの目に宙を舞う銀色の糸が映る。

そう、燐は超極細のダイヤモンドコーティングされたワイヤーを使って連結刃の飛翔方向を変え、またそのまま唯一フィールドに在った大きな2本の石柱に連結刃を引っ掛けてバツの字の見えない刃を展開していたのだ。
それに引っかかったルクレツィアのボディで、ワイヤーの強度に負けたのが翼のみだったということだ。

だがここで疑問が残る。
アーンヴァルの翼は規制に準じつつも相当な硬度を持った材質で作られている、ソレを切り裂けるということはそのワイヤーは翼よりも先にルクレツィアの本体を切断しているはずだ、しかし決着は付いていない。


「やはり違法パーツでしたか」
燐は会場には聞こえない小さな声で告げた。
「私の秘密をどうやって知った!!」
ルクレツィアは半狂乱といった感じで己の秘密を暴いた神姫をにらむ。
「確証なんてありません、ただ、ネットで噂されていた違法フレームおよび装甲版。
いくら外部フレームが追加されているとは言え、方腕であの大剣を振り回すような尋常ならざるパワーに内部フレームが耐えられるはずが無いので、
もしやと思ってちょっと実験しただけです。」

ルクレツィアの雰囲気が変わった。
「……殺す、コロシテヤル。頭部ユニットをバラバラにしてコロシテヤル!!!」
即ち、禁止されている頭部への攻撃で燐を倒し、『不運な事故だった』ということで幕をおろす。という宣言だろう。

ルクレツィアが1度後退する。ソレを確認した燐はワイヤーを引き戻す。
そうして燐の両手には連結刃が2つ握られた。
ルクレツィアは無駄なパーツをイジェクトして大剣2刀のみで向かってくる。
一方燐は連結刃を構えたまま微動だにしない。
重武装を解除し、驚異的なスピードで距離を詰めたルクレツィアのアロンダイトが振り下ろされた。
セカンドアームが握っていたアングルブレードでソレを何とか受け止める。
がすぐに横薙ぎの斬艦刀が襲ってくる、ソレは連結刃2対で受け止める。
敵の攻撃を受け止めた、はずだった燐に戦慄が走る。
3本目の剣が襲ってきたのだ。
燐は身体のバランスをわざと崩して転倒、したかに思えたがそのままバックパックに唯一装備しているブースターを噴かせ、3本目の剣をやり過ごす。
ツインテールの片方を持っていかれたが本体は傷ひとつ無い。
「あら、しぶとい事。あのまま頭を真っ二つにしてあげようとおもったのに。」
背中から3本円の剣、シュゲルトゲベールをのぞかせたルクレツィアが歪んだ笑顔を作る。
この様子だともう1本隠し腕と同じ対艦刀が隠されているのだろう。
「まだ、負けてません!」
燐は再び連結刃を投擲。だがソレは2つの大剣によって防がれた、さらに今度は隠し腕が大腿部にあったブームブーメランを投擲してくる。
いつものように回避を選択しようした燐だが脳裏に前回の戦いの記憶が甦る。
左右に避ければソコを狙って大剣が飛んでくる。そしてそれに気を取られたうちにライトセイバーで腕を切り落とされたのだ。
その後の記憶は無い。

燐は思い切って隼を使う。そうしてビームブーメランを蹴り返し、そしてその回転力を使って地面に強烈な回し蹴りを見舞った。
その衝撃でフィールドを土煙が覆い、燐の姿を隠す。

土煙の中でルクレツィアは笑いながら、燐を探す。
「かくれんぼ?? 私は追うのはとっても得意よ。絶対に逃がさない!」
ルクレツィアはあるプログラムを起動する。
コレは今回のバトルでは使ってはいけない熱感知式のセンサーを起動させても気付かれないためのジャマープログラムだ。
しかもその精度は軍用に近い精度。
燐の居場所は簡単に割り出されてしまう。その時点でセンサーは役目を終え、ジャマープログラムも停止する。
余計なリソースを割り振っている余裕が無いのだ。
「ふふ、そこね!!!」
腕のアーマーからアンカーが射出される。アンカーの先は変形し、とても大きな『返し』が出現した、コレにつかまれば一巻の終わりだ。
ルクレツィアの腕に鉄のフレームを貫く小気味良い手ごたえが返って来た。
「つ・か・ま・え・た」
一気にアンカーを引っ張るルクレツィアだったがその腕に多大な装備をした神姫1体分の重量を引く感覚はなかった。
そして砂煙の中からアンカーに引っ張られて姿を現したのは燐のレッグユニットである。

しかもその脚にはSRGRがワイヤーで括りつけられている。
ルクレツィアがしまったと確信する前に砂煙の中から銃撃。
ばら撒かれた弾丸の1つがSRGRの弾層に着弾し、大爆発を引き起こす。

大きな爆発音が会場に響き、赤い炎がフィールドを蹂躙する。

そして炎の中からアームユニットをはずしフレームは配線がむき出しの左ももを晒しながら、右足1本でバランスを取る。
さながら「隻脚の悪魔」といった風体の燐が姿を現す。
反対側から、背の隠し腕を含めた全てのバックパックを失い、炎でラバースキンが焼かれて所処に銀色のフレームを露出したルクレツィアが出てくる。

そう、燐はアンカーに痛みに耐えつつ、貫かれた左足を自ら切断してSRGRを括りつけたのだ。
その後は見ての通り。
両者満身創痍で迎えるは、お互い最後になるであろう1撃。

燐が1本脚で大地を蹴る。
ルクレツィアが残されたバーニアを吹かせ、飛んだ。

両者の距離が詰まる。
ルクレツィアは大剣を十字に構えている。
燐は連結刃を両手に構えていた。
「死んじゃえ!!」
「私は……負けない!!」
2体の神姫が、交差する。

ルクレツィアはアロンダイトと斬艦刀を振り下ろす。
燐は連結刃でそれを迎え撃つ。
もちろん、アロンダイトのレーザー刃は連結刃で受け止められない。
なので燐は必ず連結刃で斬艦刀を狙う。
それをルクレツィアは分かりきっていた。斬艦刀を目前で手放してもう1本のアンカーを突き刺し、そうして身体の自由を奪ったら両手で握ったアロンダイトで頭から1直線に両断する。

これでこの戦いはルクレツィアの勝利で終わるはずだった、でもそれは成し得なかった。
なぜだ?それを考える時間も余裕もルクレツィアには与えられないまま彼女の意識は途切れる。
観衆からは土煙がまだ壁のすぐそばを漂っていたため、結果が分からない。
なので高精度カメラの写した決定的瞬間が巨大スクリーンにスロー再生で投影される。




ルクレツィアがアンカーを射出した、その瞬間はまだ燐の左手に連結刃があった。だがそれは斬艦刀を狙わずアンカーからその身を護る盾となって砕けっ散った。
それでも勢いは止まらずに、アンカーは燐のわき腹に刺さる。
なりふり構わずアロンダイトを振りかぶるルクレツィア。
脚をなくす痛み、そして腹に大きなくいを打ち付けられた痛みに顔を歪ませながら燐は腰から何かを取り出す。
ソレは刃の無い剣。黒い基部に銀色の持ち手で基部の中央に金色の宝石が装飾されていた。
燐がソレを振りかぶると瞬時に光の刃が出現、燐はその金色の刃を振り下ろす。

アロンダイトは綺麗に両断され、そのままルクレツィアの身体へと向かう。
1瞬光の刃を止めたかに見えたルクレツィアのフレームはすぐさま溶解し、次の瞬間に光の刃が袈裟切りにルクレツィアの身体を両断していた。



その映像の端に表示されるカウンターは2体が交差する瞬間からルクレツィアの首が飛ばされるまでの時間経過を教えてくれる。
その間0,5秒。
正に刹那の決着だった。

それを見た観客が今までで1番大きな歓声を上げた。
「……勝者、黒衣の戦乙女、燐!!!!!!!」
俺は硬質プラスチックの壁が開くと、なりふりかまわずフィールドに入って倒れそうな燐を支えてやった。
「燐、大丈夫か!!! 燐! 燐!!」
「マ…スター 私、勝てたんですよね?」
「……あぁ、 勝ったぞ、俺たちの勝ちだぞ。」
「良かった、 ご褒美くださいね。」
「ああ、お前は休んでろ。」

係員が燐をタンカに乗せていく。

そうして戦闘中の会話から、違法行為を知られたと分かっていたであろう、ルクレツィアのマスターが彼女をほって逃げようとするのをおれは捕まえた。
胸倉を掴んで俺は叫んでいた。
「おい、そんなことして勝って面白いのかよ!!」
「な、な、なんのことだ?」
あくまでシラをきるつもりらしい。
俺はフリーズしているルクレツィアを持ち上げるとそいつの前に突き出す。
「コイツはな、お前のためにあんな改造も承諾したんだ!
どうせ違法フレームの移植はユニットの擬似神経の接続も切らなかったんだろう。そのときのコイツの痛みが分からなかったって言うのか!!」

「そ、それは、移植は勝手にやってくれるからって」
試合前の威嚇するような声とは全く違う、弱弱しい声を吐く。
「くそ!」
思わず俺はそいつの顔を殴ってしまった。
そいつはうずくまって涙を浮かべて
「ごめんなさい、ごめんさいさい.....」
と壊れたラジオのように叫び続ける

「君!! せっかくの昇格を取り消されたいのかね!!」
警備員に止められた俺はそいつを見る。
ルクレツィアのためにもコイツには更生してもらわないと、と思った俺は冷酷かもしれないが、警備員にルクレツィアの違法改造の件を話した。
とりあえず表彰式を済ませ、トロフィーと賞金。そしてセカンドリーグへの参加許可証でもある新しいIDカードを貰った俺はステージの裏口に脚を運ぶ。
なんとか間に合ったみたいだ。

警察によって連行されて行くルクレツィアのマスターは俺を見ると立ち止まってこう言った。
「いまさらだけど…君の神姫に対する気持ちが良くわかったよ、僕みたいなのがマスターじゃルクレツィアは幸せになれない。
もし許されるなら、ルクレツィアを君の家族に加えてやってくれないか? そして彼女の笑顔を取り戻してやってほしいんだ」
「良いのか?それで。」
「かまわない、ボクみたいなマスターのことは忘れて、君みたいなマスターの元にいたほうが喜ぶだろう。」
「…わかった。この子は俺が引き取ってやる。だからお前はちゃんと罪を償って帰ってこい。
んで、そのときは友達になろうぜ」
「…ありがとう。」
警察官がそろそろっといったジェスチャーをするので彼、名も知らないルクレツィアのマスターはパトカー乗った。

そうして彼を見送った後、破損したパーツを交換された(もちろん神姫専門の医療(?)スタッフなので神経接続等もちゃんと麻酔をかけてくれる。)リンと素体を丸ごと交換され、スリープ状態のルクレツィアを受け取る。
そしてその場でまず彼女の復帰作業をおこなう。
「う…ん ご主人様? じゃない」
彼女は再起動したが目の前の人間が誰か認識していない。
俺は彼女にマスターが違法行為を行った結果捕まったこと、そして彼女のことをマスターから頼まれたことを説明する。
いつも戦闘時は自己暗示でもかけていたのか、あの残忍な気性がウソの様に素のルクレツィアは素直に話を聞いてくれた。
「そうですか、ご主人様が…」
しかしやっぱり寂しそうだ。
とつぜんルクレツィアが立ち上がって俺に目を向ける。
「お願いがあります。 私のメモリーをフォーマットしてほしいんです」
「なんでだ? マスターのことを忘れたいのか?」
「いえ、私が自分自身を許せまないのです。
私は今までに何対もの神姫を葬ってきました。そんな私がぬくぬくと生活するわけには行きません。」
「本当に、良いのか?」
「はい。悔いはありません。」
「…手続きをするためにスリープ状態にするぞ」
ルクレツィアをスリープ状態に移行させ、俺はマスター変更の手続きを行った。
そして神姫「ルクレツィア」は存在を抹消された。




スリープ状態から復帰し、ルクレツィアだった神姫が目を開ける。
「藤堂 亮輔だ。今後は俺が君のマスターになる。」
目を開けた瞬間に俺は名乗る。
「えっ、貴方は。」
「お前の名前は、ティアだ」
ルクレツィアだった神姫-ティアは目をぱちくりとさせている。
ティアという名は「ルクレツィア」のスペルから文字を抜き出し、考えた名前だ。
「もう君はルクレツィアじゃない。登録番号も全て彼女とは違う。"俺の神姫"だ」
ようやく、どういうことかを理解したティアは目に涙を浮かべながら
「ありがとう…ございます。 ご主人様」そう呟いた。
そう、ご主人様、、、、、、、ってご主人様!?
俺は慌てて彼女に聞いてみる。
「あのさ、そのご主人様っての直せないか?」
「うーん、こればかりは治しようがありません。プリセットされたものですので」
「そうか、しかたないな。
改めて紹介する、リンだ。ティアの姉になるのかな?」
「よろしくね」
リンはやわらかく、綺麗な笑顔で手を差し出す。
「…よろしくおねがいしますわ、お姉様」
「お、お姉様!?」
「そう、お姉様と呼ばせてください」
予期せぬ事態に混乱するリンにティアが抱き付いてそのままリンの寝床だったバスケットに転がりこんだ。
そうして初めてのスキンシップを交わす(一方的に見えないわけでもないが気にしない)二人を見る俺はティアの部屋も確保しないといけないことを思い出して作業に入った。
こうして、突然だったが俺の家族が一人増えた。





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