9話 鳳凰杯への挑戦
エルの勝利を告げるコールを聞いて、エルをポッドから出して、オーナーブースから出る。
俺たちは、近くの休憩スペースで空いているテーブルを見つけて座った。
「使い心地はどうだ?」
未だ装備を着けたままのエルに訪ねる。
「ああ、軽く動くし違和感もない。最高だね」
「それはよかった」
エルが装備状態のままなのは、続けて試合があるからだ。
俺たちは、鳳凰カップという大きなイベントに来ている。
バトルイベントに参加したエルは、三試合が終わった。次の四戦目に勝てば、決勝に進める。
何かの運命か知らないが、予選グループLに決まったエルは、快調に勝ち進んでいた。
進行状況にもよるが、予選が終われば他も見て回れるなと思っていたら、声がした。
「おねえさまぁぁぁぁぁ!!」
そう叫びながら、飛んできてエルに抱きつくシルク。
「おい…おまえなぁ」
エルは何時ものとこと、半分あきらめているようだ。
「あ! おねえさまも買ったんですね」
シルクがエルの装備に気がついた。エルの装備は、フォルテストラーフになっている。
シルクのバトルスタイルと違うところは、素体の腕がノーマルのままというところだけ。
「よ!」
後から、そのマスターの章太郎が来て、空いているところに座る。
「来てたのか」
「ああ。バトルに参加してないのか?」
「今回はパス。ゆっくりみてまわってるよ」
「なるほどね」
章太郎と話していると、シルクがごそごそと包みをとりだした。
「はい、おねえさま。あ~~~ん」
包みからクッキーを取り出しエルに差し出す。
「なんだよ、それ」
「いいから、あ~~んです~♪」
「ったく……あ~ん…むぐむぐ」
「おいしいですか~?」
「まあまあだな」
エルとシルクのやり取りをみていたアールがシルクに訪ねた。
「それ、どうしたの?」
「シルクがつくったんだよぉ~ 半分は、しょうちゃんに~ もう半分は、おねえさまのために~」
「え?」
アールが不思議そうに首をかしげる。
「神姫用のキッチンのデモやっててさ、体験をかねてお菓子作りコンテストやってるのさ」
章太郎がそう答えると、えっ!という風にアールが章太郎の方を向き、そしてゆっくり俺のほうをみた。
「うふ、うふふ、マスタ~~」
にたぁと笑うアール。
「は、はい、なんでしょうアールさん」
(なんだか、いやな予感がするのは気のせいでしょうか)
「予選がおわったらぁ~ 行ってみたいんですけどぉ~~」
限りなく甘い声で俺をみるアール。
「わかった……行ってみるだけな…」
「はい! うふふふふ~」
なんか、妙なオーラだしてませんか?
俺たちは、近くの休憩スペースで空いているテーブルを見つけて座った。
「使い心地はどうだ?」
未だ装備を着けたままのエルに訪ねる。
「ああ、軽く動くし違和感もない。最高だね」
「それはよかった」
エルが装備状態のままなのは、続けて試合があるからだ。
俺たちは、鳳凰カップという大きなイベントに来ている。
バトルイベントに参加したエルは、三試合が終わった。次の四戦目に勝てば、決勝に進める。
何かの運命か知らないが、予選グループLに決まったエルは、快調に勝ち進んでいた。
進行状況にもよるが、予選が終われば他も見て回れるなと思っていたら、声がした。
「おねえさまぁぁぁぁぁ!!」
そう叫びながら、飛んできてエルに抱きつくシルク。
「おい…おまえなぁ」
エルは何時ものとこと、半分あきらめているようだ。
「あ! おねえさまも買ったんですね」
シルクがエルの装備に気がついた。エルの装備は、フォルテストラーフになっている。
シルクのバトルスタイルと違うところは、素体の腕がノーマルのままというところだけ。
「よ!」
後から、そのマスターの章太郎が来て、空いているところに座る。
「来てたのか」
「ああ。バトルに参加してないのか?」
「今回はパス。ゆっくりみてまわってるよ」
「なるほどね」
章太郎と話していると、シルクがごそごそと包みをとりだした。
「はい、おねえさま。あ~~~ん」
包みからクッキーを取り出しエルに差し出す。
「なんだよ、それ」
「いいから、あ~~んです~♪」
「ったく……あ~ん…むぐむぐ」
「おいしいですか~?」
「まあまあだな」
エルとシルクのやり取りをみていたアールがシルクに訪ねた。
「それ、どうしたの?」
「シルクがつくったんだよぉ~ 半分は、しょうちゃんに~ もう半分は、おねえさまのために~」
「え?」
アールが不思議そうに首をかしげる。
「神姫用のキッチンのデモやっててさ、体験をかねてお菓子作りコンテストやってるのさ」
章太郎がそう答えると、えっ!という風にアールが章太郎の方を向き、そしてゆっくり俺のほうをみた。
「うふ、うふふ、マスタ~~」
にたぁと笑うアール。
「は、はい、なんでしょうアールさん」
(なんだか、いやな予感がするのは気のせいでしょうか)
「予選がおわったらぁ~ 行ってみたいんですけどぉ~~」
限りなく甘い声で俺をみるアール。
「わかった……行ってみるだけな…」
「はい! うふふふふ~」
なんか、妙なオーラだしてませんか?
それからしばらくは、章太郎たちと話していたが、いよいよ予選最終戦の時間になった。
「がんばれよ、エル」
「おうよ」
エルをセットしながら声をかける。
エルの装備はいつものストラーフ装備で背中にアーンヴァルの翼、ブースター、ランディングギアの飛行ユニット。
さらにフォルテ装備を付けたスペシャル仕様だ。
そして試合が開始された。
「がんばれよ、エル」
「おうよ」
エルをセットしながら声をかける。
エルの装備はいつものストラーフ装備で背中にアーンヴァルの翼、ブースター、ランディングギアの飛行ユニット。
さらにフォルテ装備を付けたスペシャル仕様だ。
そして試合が開始された。
エルはいつものように、足でリズムを取りながら、両手でフルストゥ・グフロートゥの倍ほどあるフルストゥ・ジガントをくるくる回している。
突然ジガントをしっかりと握ったかと思うと、足を振り上げバク転をして綺麗に着地した。
すると、前方の空間が歪み、サイフォスが出現する。
「なかなかやるな」
サイフォスが胸の装甲をさすっている。そこにはしっかりと二本の傷が刻まれていた。
「ふ、光学迷彩は相手を選べよな」
エルがにやりと口元を歪めてジガントを構える。
「ならば、剣の真髄を教えてやる」
サイフォスもコルヌを抜き構える。
「お前のような、チャラチャラしたのは剣ではない!」
そう言い放ちサイフォスが襲い掛かる。
ジガントでコルヌを受け止め、ステップで流すエル。
「残念だが、アタイのこれはダンスなんだよ。しかも、無茶苦茶厳しいコーチから教わったな!」
今度はエルが打ち込む。サイフォスも連続で斬りかかるエルをコルヌ一本でよくしのいでいる。
両手のジガントを防いでいたら、さらに背後から伸びる触手がビームソードとなり、襲い掛かる。
サイフォスもコルヌを片手持ちにして、もう片手にクルニエールを持ち、八本のビームソードに立ち向かう。
「やるじゃねえか、これならどうだ!」
エルが膝の、倒していたフルストゥ・クレッセントを立てて、膝蹴りをしようとした。
「く!」
一瞬サイフォスが膝に気を取られた。
「あまい! こっちだ!」
エルの回し蹴りがサイフォスの横腹に決まり、サイフォスは吹っ飛んだ。
膝蹴りはフェイクで、回し蹴りが本命。
サイフォスも、膝蹴りの軸足が飛んでくるとは思っても見なかっただろう。
背中から伸びるボルトドライバーテールを支点にした攻撃だった。
「なんということだ……両手両足、サブアーム、触手、合計14の……」
サイフォスが立ち上がろうとすると、首元にジガントが触れる。
「チェックメイトだ」
「く………ギブアップ……」
サイフォスのギブアップによりエルの勝利が決まった。
『グループL決勝進出者は、エル選手に決まった!』
アナウンスを聞きながら、エルが華麗に舞い、足を二回鳴らしてポーズを取るいつものをやっていた。
突然ジガントをしっかりと握ったかと思うと、足を振り上げバク転をして綺麗に着地した。
すると、前方の空間が歪み、サイフォスが出現する。
「なかなかやるな」
サイフォスが胸の装甲をさすっている。そこにはしっかりと二本の傷が刻まれていた。
「ふ、光学迷彩は相手を選べよな」
エルがにやりと口元を歪めてジガントを構える。
「ならば、剣の真髄を教えてやる」
サイフォスもコルヌを抜き構える。
「お前のような、チャラチャラしたのは剣ではない!」
そう言い放ちサイフォスが襲い掛かる。
ジガントでコルヌを受け止め、ステップで流すエル。
「残念だが、アタイのこれはダンスなんだよ。しかも、無茶苦茶厳しいコーチから教わったな!」
今度はエルが打ち込む。サイフォスも連続で斬りかかるエルをコルヌ一本でよくしのいでいる。
両手のジガントを防いでいたら、さらに背後から伸びる触手がビームソードとなり、襲い掛かる。
サイフォスもコルヌを片手持ちにして、もう片手にクルニエールを持ち、八本のビームソードに立ち向かう。
「やるじゃねえか、これならどうだ!」
エルが膝の、倒していたフルストゥ・クレッセントを立てて、膝蹴りをしようとした。
「く!」
一瞬サイフォスが膝に気を取られた。
「あまい! こっちだ!」
エルの回し蹴りがサイフォスの横腹に決まり、サイフォスは吹っ飛んだ。
膝蹴りはフェイクで、回し蹴りが本命。
サイフォスも、膝蹴りの軸足が飛んでくるとは思っても見なかっただろう。
背中から伸びるボルトドライバーテールを支点にした攻撃だった。
「なんということだ……両手両足、サブアーム、触手、合計14の……」
サイフォスが立ち上がろうとすると、首元にジガントが触れる。
「チェックメイトだ」
「く………ギブアップ……」
サイフォスのギブアップによりエルの勝利が決まった。
『グループL決勝進出者は、エル選手に決まった!』
アナウンスを聞きながら、エルが華麗に舞い、足を二回鳴らしてポーズを取るいつものをやっていた。