白鳥の乙女──あるいは予選その二(後編)
相手は精密砲撃のプロ、空に舞い上がるなんて愚考は考えられない。
それでもロッテお姉ちゃんは私の指示で、迷う事なく空を目指した。
一重に“SSS”の最後の機能、“アーマメント”による行為の為。
マントを格納して、肩アーマーになっていた翼を展開、空中に静止。
背部には、さっきまで盾だった白鳥の翼をブースターとしてセット。
同時にマスクを開いて、アンテナを立てる。これが、武装形態だよ。
それでもロッテお姉ちゃんは私の指示で、迷う事なく空を目指した。
一重に“SSS”の最後の機能、“アーマメント”による行為の為。
マントを格納して、肩アーマーになっていた翼を展開、空中に静止。
背部には、さっきまで盾だった白鳥の翼をブースターとしてセット。
同時にマスクを開いて、アンテナを立てる。これが、武装形態だよ。
「……“正気”なの?」
「はい、これは“勝機”ですの!」
「……ッ。なら、撃ってあげる」
「はい、これは“勝機”ですの!」
「……ッ。なら、撃ってあげる」
この時、プル軍曹は見落としていたけど……先程より僅かに相対距離を
詰めていたロッテお姉ちゃん。これが実は、お姉ちゃん用“SSS”の
必殺のレンジなんだもん。その理由こそ、前方に先端を向けた“盾”。
涙滴状のシールドが上下左右、四方に展開してその全容を現すんだよ。
まずは、展開基部から迫り出したミサイル……に見せかけた二挺の銃!
詰めていたロッテお姉ちゃん。これが実は、お姉ちゃん用“SSS”の
必殺のレンジなんだもん。その理由こそ、前方に先端を向けた“盾”。
涙滴状のシールドが上下左右、四方に展開してその全容を現すんだよ。
まずは、展開基部から迫り出したミサイル……に見せかけた二挺の銃!
「……ミサイル……にしては、小型すぎる?」
「違いますの……チャフショットガン、フォイエルッ!!」
「……なっ!?銀の、板が……!」
『しまった!精密計測を中止、目視で撃つんだ!!』
「……イェス、サー!」
「違いますの……チャフショットガン、フォイエルッ!!」
「……なっ!?銀の、板が……!」
『しまった!精密計測を中止、目視で撃つんだ!!』
「……イェス、サー!」
無数に舞うそれは、金属を蒸着させた六角形のプラスチック片なんだよ。
神姫用装備で使用するレーダー波を攪乱させ、精密砲撃やミサイル誘導を
妨害する。神姫にとっても、チャフは意外と重要なアイテムなんだもん。
でもロッテお姉ちゃんの“SSS”に仕込んだのは、それだけじゃない。
左右に伸びた“アーマメント・シールド・ブースター”のメイン部分が、
上下に開き、十基のレーザーガンポッドが弓なり状に展開するんだよッ!
神姫用装備で使用するレーダー波を攪乱させ、精密砲撃やミサイル誘導を
妨害する。神姫にとっても、チャフは意外と重要なアイテムなんだもん。
でもロッテお姉ちゃんの“SSS”に仕込んだのは、それだけじゃない。
左右に伸びた“アーマメント・シールド・ブースター”のメイン部分が、
上下に開き、十基のレーザーガンポッドが弓なり状に展開するんだよッ!
「サブジェネレータ起動。多次元測距用レーダーアーム、光学観測!」
「……レーザー砲?一体、何をする気なの」
『これって、天りゅ……いけない、後退するんだプル軍曹!?』
「……え?」
「遅い、ですのッ!」
「……レーザー砲?一体、何をする気なの」
『これって、天りゅ……いけない、後退するんだプル軍曹!?』
「……え?」
「遅い、ですのッ!」
“サンドワーム”のオーナーは思惑に気付いたみたいだけど、それより
レーザーガンポッドへのエネルギー充填が、僅かに速かったんだもん。
“鏡”の滞空角度は既に計測され尽くし、最適な発射軌道が見えるッ!
即ちそれは……“誰も予期しないランダム攻撃”体現の為、なんだよ!
レーザーガンポッドへのエネルギー充填が、僅かに速かったんだもん。
“鏡”の滞空角度は既に計測され尽くし、最適な発射軌道が見えるッ!
即ちそれは……“誰も予期しないランダム攻撃”体現の為、なんだよ!
「受けて下さい──────“光の舞い”ッ!!」
「……なっ!レーザーが乱反射……しまった、滑空砲が!?」
『やっぱりそういう事か!レーザーの乱数的反射で……!』
「……なっ!レーザーが乱反射……しまった、滑空砲が!?」
『やっぱりそういう事か!レーザーの乱数的反射で……!』
悔しそうな相手オーナーの声が聞こえるんだよ。そう、その通りだもん。
敢えて安い“アルミ箔”を使用していないのは、チャフを攻撃に使う為。
レーザーガンポッドから垂直に伸びている精密測距用レーダーアームを、
チャフの角度や位置計算に利用する事で、レーザー軌道を簡易的に計算。
これで不規則なレーザー攻撃を加える事が、即ち“光の舞い”なんだよ。
敢えて安い“アルミ箔”を使用していないのは、チャフを攻撃に使う為。
レーザーガンポッドから垂直に伸びている精密測距用レーダーアームを、
チャフの角度や位置計算に利用する事で、レーザー軌道を簡易的に計算。
これで不規則なレーザー攻撃を加える事が、即ち“光の舞い”なんだよ。
「……そんな、流石です。ですが、これで諦める事はない」
「そうでなくっちゃ困りますの、わたしも全力を尽くしますから」
「……では行きます……やぁーっ!!」
「そうでなくっちゃ困りますの、わたしも全力を尽くしますから」
「……では行きます……やぁーっ!!」
二挺の滑空砲はレーザーを浴び、バレルを切り落とされてしまう。故に
プル軍曹は迷わず“多脚戦車”を棄て、脚部を“FB-RP3b ピボット”に
換装。そしてアサルトライフルを構えて、砂漠を突撃してきたんだよ。
流石にフォートブラッグの脚だけあって砂地でも走破性が高いけど……
天空を飛んでいるロッテお姉ちゃんには、なかなかヒットしないもん。
プル軍曹は迷わず“多脚戦車”を棄て、脚部を“FB-RP3b ピボット”に
換装。そしてアサルトライフルを構えて、砂漠を突撃してきたんだよ。
流石にフォートブラッグの脚だけあって砂地でも走破性が高いけど……
天空を飛んでいるロッテお姉ちゃんには、なかなかヒットしないもん。
「それでは、こちらも行きますの……“アインホルン”ッ!」
「……銃を換装して槍に……いえ、レーザーキャノン!?」
「“フライアークライス”ジャイロ同調、力場固定開始……!」
「……銃を換装して槍に……いえ、レーザーキャノン!?」
「“フライアークライス”ジャイロ同調、力場固定開始……!」
一気に勝負を決めるべく、ロッテお姉ちゃんは“ミョルニル”を左手に
持ち替えて、右手に背中へと搭載していた“アインホルン”をセット。
天使の環“フライアークライス”を針路上に滞空させ、構えるんだよ。
程なく穂先から3本の光刃が発射され、それがリングを経由して屈折。
結線された段階で回転攪拌され、レーザードリルを形作るんだよ……!
持ち替えて、右手に背中へと搭載していた“アインホルン”をセット。
天使の環“フライアークライス”を針路上に滞空させ、構えるんだよ。
程なく穂先から3本の光刃が発射され、それがリングを経由して屈折。
結線された段階で回転攪拌され、レーザードリルを形作るんだよ……!
「さぁ、その身に刻め……神儀、ブリッツ・シュピッツェッ!!」
「……う、うぁぁ……!?きゃあぁぁぁっ!!!」
『おおっと、シメはドリル攻撃!Hブロック代表は、ロッテだーッ!』
『Woooooooooooooooooooo!!!!』
「……う、うぁぁ……!?きゃあぁぁぁっ!!!」
『おおっと、シメはドリル攻撃!Hブロック代表は、ロッテだーッ!』
『Woooooooooooooooooooo!!!!』
ドリルを構えて突撃してくるとは夢にも思わなかったのか、避けられず
煌槍にその躯を穿たれるプル軍曹。この瞬間、ボクらの勝ちなんだよ。
ギャラリーの歓声を受けてか、お姉ちゃんとプル軍曹は固く握手する。
そしてボクは、エントリーゲートを出てきたお姉ちゃんを抱き上げる。
それは労りの為でもあり、厳しい宣告の準備でもあるんだもんね……。
煌槍にその躯を穿たれるプル軍曹。この瞬間、ボクらの勝ちなんだよ。
ギャラリーの歓声を受けてか、お姉ちゃんとプル軍曹は固く握手する。
そしてボクは、エントリーゲートを出てきたお姉ちゃんを抱き上げる。
それは労りの為でもあり、厳しい宣告の準備でもあるんだもんね……。
「ロッテちゃん、おめでとう。でも……これで今度から」
「うん。新しい手の内は、殆ど晒け出しちゃいましたの」
「……ここからはもう勝てないかもしれない。大丈夫?」
「うん。新しい手の内は、殆ど晒け出しちゃいましたの」
「……ここからはもう勝てないかもしれない。大丈夫?」
でも、ボクの懸念に対してお姉ちゃんの答えは驚く程クリアで……。
「もちろん大丈夫ですの。何時かは負ける時も来ます♪」
「流石、ボクらのお姉ちゃん……頼もしいよ、うんッ!」
「流石、ボクらのお姉ちゃん……頼もしいよ、うんッ!」
──────さあ、決戦の舞台へ立つんだよ……悔いはないもん。