麗しき戦い──あるいは予選その一(後半)
マオチャオのミモザさんは、此処に至って漸くぷちマスィーンズ達を
指揮して、ロッテお姉ちゃんを射止めようと射撃を開始したんだよ。
その間に、腕の“研爪”をドリルの“旋牙”に換装するみたいだね。
ボクはそれを見て、咄嗟に指示を下すんだもん。このままは拙いし。
指揮して、ロッテお姉ちゃんを射止めようと射撃を開始したんだよ。
その間に、腕の“研爪”をドリルの“旋牙”に換装するみたいだね。
ボクはそれを見て、咄嗟に指示を下すんだもん。このままは拙いし。
「ロッテちゃん、ぷちを急いで迎撃して。“ターザン”だよ!」
「わかりましたの、梓ちゃん!なら、これを利用してッ!」
『ビビ?』
「わかりましたの、梓ちゃん!なら、これを利用してッ!」
『ビビ?』
ボクが“お姉ちゃん”と声に出さないのは、周囲に不審がられない為。
少々辛い事だけど、コレ位は我慢しなくちゃいけないもん。そして今、
そのロッテお姉ちゃんは、ホール脇にある大きなカーテンの奥に退避。
もちろん賢いAIを搭載したぷち達も、その隙を狙って集中砲火開始。
でも賢いなら、尚更ちゃんとした指揮をしてあげないとダメなんだよ?
少々辛い事だけど、コレ位は我慢しなくちゃいけないもん。そして今、
そのロッテお姉ちゃんは、ホール脇にある大きなカーテンの奥に退避。
もちろん賢いAIを搭載したぷち達も、その隙を狙って集中砲火開始。
でも賢いなら、尚更ちゃんとした指揮をしてあげないとダメなんだよ?
『ビビビ……?』
「……にゃ?どうしたの、片づいたにゃ?」
「──────わたしは、ここですの!それそれそれっ!!」
『ビー!?』
「あにゃー!?」
「……にゃ?どうしたの、片づいたにゃ?」
「──────わたしは、ここですの!それそれそれっ!!」
『ビー!?』
「あにゃー!?」
皆がカーテンに気を取られた隙に、ロッテお姉ちゃんはそれを留める
紐を利用して、ターザンの様に急速移動してきたんだよ。もちろん、
移動しながらぷちを迎撃するのは忘れない。そうしてあっという間に
四機が射撃不能。残るは背中で指令を出していた、一機のみだもん。
ここが勝負を決める瞬間、だからボクは素早く指示を出したんだよ。
紐を利用して、ターザンの様に急速移動してきたんだよ。もちろん、
移動しながらぷちを迎撃するのは忘れない。そうしてあっという間に
四機が射撃不能。残るは背中で指令を出していた、一機のみだもん。
ここが勝負を決める瞬間、だからボクは素早く指示を出したんだよ。
「ロッテちゃん、あれを使って決めちゃうんだよ!“マタドール”!」
「はいですの!……さ、そろそろ決めちゃいましょうミモザさんっ」
「うううぅ~……ロッテにゃんもあたしもサードなのに~!?」
「ここは階級の関係しないバトルですの。手加減はダメですっ!」
「はいですの!……さ、そろそろ決めちゃいましょうミモザさんっ」
「うううぅ~……ロッテにゃんもあたしもサードなのに~!?」
「ここは階級の関係しないバトルですの。手加減はダメですっ!」
戦いを否定せず、戦うとなれば誠意と全力を尽くすのがボクらだもん。
胸の前でクロスして拳銃を構えるロッテお姉ちゃんも、それを分かって
ミモザさんを挑発してるんだよ。全ては、全力をお互い尽くす為にっ!
彼女もそれを直感で悟ったか、真面目な顔で“旋牙”を構えたんだよ。
ロッテお姉ちゃんも“フェンリル”の弾薬を詰め替えて、準備OKっ。
胸の前でクロスして拳銃を構えるロッテお姉ちゃんも、それを分かって
ミモザさんを挑発してるんだよ。全ては、全力をお互い尽くす為にっ!
彼女もそれを直感で悟ったか、真面目な顔で“旋牙”を構えたんだよ。
ロッテお姉ちゃんも“フェンリル”の弾薬を詰め替えて、準備OKっ。
「それなら、あたしの全身全霊……受けてみるにゃぁ~っ!!」
「距離48sm、インパクトまで3.64秒!……一瞬が勝負だよ!」
「……3、2、1ッ!」
「うにゃああぁ~っ!!」
「距離48sm、インパクトまで3.64秒!……一瞬が勝負だよ!」
「……3、2、1ッ!」
「うにゃああぁ~っ!!」
そして、ドリルを前面に立てて特攻!徒歩移動とは言え、スピードでは
生半可なブースターの移動にも引けを取らない。アーンヴァルの脚とは
基本的な速度が全然違うんだよ……基本、ならね?ロッテお姉ちゃんは
それも見越して……突進するミモザさんを見据えて、一歩も動かない。
高らかに勝ち鬨の雄叫びをあげるミモザさん、笑うだけのお姉ちゃん。
普通なら誰もが、穿たれたお姉ちゃんの姿を思い浮かべる筈……でも!
生半可なブースターの移動にも引けを取らない。アーンヴァルの脚とは
基本的な速度が全然違うんだよ……基本、ならね?ロッテお姉ちゃんは
それも見越して……突進するミモザさんを見据えて、一歩も動かない。
高らかに勝ち鬨の雄叫びをあげるミモザさん、笑うだけのお姉ちゃん。
普通なら誰もが、穿たれたお姉ちゃんの姿を思い浮かべる筈……でも!
「……あ、にゃ?」
やっぱりそこに、ロッテお姉ちゃんの姿は無かったんだよ。厳密には
お姉ちゃんの躯は……ミモザさんの頭上を、身軽に飛び越えていく!
不安定な条件……クロスさせた両腕、拳銃を握った両手……なのに、
彼女の両肩を捉えて跳び箱の様にスルーする姿は、鮮やかだよッ!!
お姉ちゃんの躯は……ミモザさんの頭上を、身軽に飛び越えていく!
不安定な条件……クロスさせた両腕、拳銃を握った両手……なのに、
彼女の両肩を捉えて跳び箱の様にスルーする姿は、鮮やかだよッ!!
「後ろががら空きですの……せいっ!!」
『ビーッ!?』
「にゃううううっ!!?」
『ビーッ!?』
「にゃううううっ!!?」
そして着地する間も惜しむ様に、背中合わせのまま後退用ブースターを
起動。お姉ちゃんはその勢いを全身に乗せて、ローリングソバットっ!
ボクら三姉妹は重量級ランク参戦の為に、皆が特殊高剛性フレームへと
置換している。だから例えロッテお姉ちゃんでも、格闘は強いんだよ。
そんな予期しない一撃を受けて、ミモザさんは前方へと転んでしまう。
起動。お姉ちゃんはその勢いを全身に乗せて、ローリングソバットっ!
ボクら三姉妹は重量級ランク参戦の為に、皆が特殊高剛性フレームへと
置換している。だから例えロッテお姉ちゃんでも、格闘は強いんだよ。
そんな予期しない一撃を受けて、ミモザさんは前方へと転んでしまう。
「痛た……でも、こんなの大丈夫っ!……え!?」
「姿勢を崩した……それだけで、わたしには勝機ですの!」
「にゃ、にゃあああぁっ!?」
「姿勢を崩した……それだけで、わたしには勝機ですの!」
「にゃ、にゃあああぁっ!?」
流石猫型だけあってすぐに体勢を戻すけど、それは一瞬だけ遅いよ。
ずっと射撃姿勢だったロッテお姉ちゃんの上半身は、既にその狙いを
ミモザさんに付けていたんだもん……紅い火を噴く“フェンリル”!
連続で襲いかかるチタン弾の衝撃で、ミモザさんは斜め上の後方へと
跳ね上げられていって、十一発目で天井へと打ち上げられたんだよ。
ずっと射撃姿勢だったロッテお姉ちゃんの上半身は、既にその狙いを
ミモザさんに付けていたんだもん……紅い火を噴く“フェンリル”!
連続で襲いかかるチタン弾の衝撃で、ミモザさんは斜め上の後方へと
跳ね上げられていって、十一発目で天井へと打ち上げられたんだよ。
「これが、わたしと“フェンリル”の最高の技……!」
「にゃああっ、にゃあぁぁぁぁッ!?」
「奥義……“ギルティ・ブレイク”ッ!!!」
「にゃああっ、にゃあぁぁぁぁッ!?」
「奥義……“ギルティ・ブレイク”ッ!!!」
それを見計らい、サイレンサー風の薬莢を銃身にセットして……一発!
低くくぐもった爆裂音がダンスホールに響き、灼熱の弾丸が真っ直ぐに
ミモザさんを捕らえ……そして、轟と窓ガラスを割る勢いの大爆発ッ!
“シュラム・リボルビンググレネードランチャー”用の榴弾を、弾丸の
勢いをハンマー代わりにして高速度で射出するのが、この技なんだよ。
低くくぐもった爆裂音がダンスホールに響き、灼熱の弾丸が真っ直ぐに
ミモザさんを捕らえ……そして、轟と窓ガラスを割る勢いの大爆発ッ!
“シュラム・リボルビンググレネードランチャー”用の榴弾を、弾丸の
勢いをハンマー代わりにして高速度で射出するのが、この技なんだよ。
「にあああぁーっ!!?」
『そこまでっ!勝者、ロッテです!おめでとうーっ!!』
「……悪く、思わないでくださいですの♪」
『そこまでっ!勝者、ロッテです!おめでとうーっ!!』
「……悪く、思わないでくださいですの♪」
隙が大きいから何らかの形で相手を拘束しないと使い辛いんだけど、
“フェンリル”の衝撃を利用しちゃうのは、流石ロッテお姉ちゃん。
ジャッジが勝利を告げると同時に、落下したミモザさんに駆け寄って
彼女を抱き起こすのも、やっぱりロッテお姉ちゃんらしいもん……。
“フェンリル”の衝撃を利用しちゃうのは、流石ロッテお姉ちゃん。
ジャッジが勝利を告げると同時に、落下したミモザさんに駆け寄って
彼女を抱き起こすのも、やっぱりロッテお姉ちゃんらしいもん……。
「折角のリハビリだったのに、ごめんなさいですの。でも……ね?」
「いいにゃ。あたしにも目標が出来たし……必ずリベンジするにゃ」
「楽しみにしていますの~♪……ありがとうですの、梓ちゃんっ!」
「お礼は全部終わってからでいいもん。さ、ゲートから出てきてっ」
「いいにゃ。あたしにも目標が出来たし……必ずリベンジするにゃ」
「楽しみにしていますの~♪……ありがとうですの、梓ちゃんっ!」
「お礼は全部終わってからでいいもん。さ、ゲートから出てきてっ」
──────まだ戦いの宴は始まったばかり。気が抜けないんだよ?