妖精コンビあらわる
「あ~あ、たいくつ…」
いずるのベッドの上で、ホーリーは寝そべっていた。学校が始まり、家を留守にしなければいけないいずるは、ホーリーに家の留守番を頼んで学校に行かなければならなかった。それでホーリーはご機嫌斜めになっているのだった。
「いずるってばどうしてホーリーを学校に連れて行かなかったんだろう?邪魔すると思ったからかな?」
話し相手がいないホーリーは、ゴロゴロと寝転んで暇を潰していた。しかしいつまでもこんな状態ではガマンの限界になってしまう。
「せめて、誰でもいいから遊び相手がいればな…」
そのとき、窓の外から誰かが覗いていた、そんな感じがした。
「くすくす、なあに、あの子」
「こら、そんなこと言っちゃだめじゃないの」
何か話し声まで聞こえる。確かに誰かが窓の外で話しているのだ。
『一体誰よ、あんな所で話してるなんて』
ホーリーは起き上がり、窓の外を覗き込んだ。しかし誰もいない。
「あれ…、確かに話し声が聞こえたんだけど」
窓の外を見回すホーリー。するとまた誰かの話し声が聞こえてきた。
「あら、立ち上がった」
「物好きなのかしらね」
今度ははっきりと聞こえた。ホーリーは再度外を見回した。でも誰もいない。
「そうだ、センサーを使ってみよう。使い方は覚えてるんだ」
さっそくセンサーを作動させ、耳を澄ましてみた。すると、木がある方向から話し声が聞こえた。
「あんなところにいるんだ…。でもどうして隠れてるんだろう?」
ホーリーはそっと窓を開けてベランダに出てみた。確かにこの近くに誰かいる。今度こそ誰が覗いてるのか確かめてやる。ホーリーは注意深く周りを見回した。
「あれ~、あんなことしても無駄なのに。どうせこちらからは見えっこないんだから」
「まって、どうやらあっちは私たちがここに居る事を気付いてるみたいよ」
「え、ウソ!?」
確かにホーリーの目線は彼女達の方を向いていた。そしてキッとした顔つきで叫んだ。
「あんた達!隠れてないで出てきなさい!!」
いきなり大声で言われてビックリしたのか、ふたりは消えている状態のまま木の上から落ちてしまった。
「も~、ビックリするじゃないの」
「ごめん、驚かすつもりじゃなかったのよ」
しばらくして落ちたところから小さい人がふよふよと飛んできた。彼女達の姿を見たホーリーは、自分と同じくらいの大きさであることに驚いていた。
「もしかしてあんた達は、神姫なの?」
青い翼をつけている神姫がそれに答えた。
「はい、私達は神姫です。私は凛花(りんか)、この子が來華(らいか)よ」
「ホーリーベルって言うの。ホーリーと呼んでね」
ホーリーが自己紹介をした時、ピンクのアーマーをつけた神姫=來華がふふんと鼻で笑った。
「ふうん、全然そんな感じに見えないけどねえ」
「こら、失礼よ來華。ごめんなさい、この子って人をからかう事が好きでしょうがないのよ」
ふたりは静かにホーリーの側まで下りてきた。
「凛花達はどこから来たの?どうして隠れていたの?」
凛花は來華のほっぺを引っ張りながら答えた。
「ちょっと気分転換に散歩してたんだけど、ちょうどこの子があなたを偶然見かけて、隠れて驚かしてみよう、って言い出して…。私は反対したんだけど…」
「それであんなことをしたんだ。本当だったら許さないところだけど、いいよ、許してあげる。でも、もうそんなことをしちゃだめだよ」
ホーリーはにっこりと微笑んだ。
「分かったわ、この子ももうやらないって言ってるし」
凛花はぎゅうっと來華のほっぺを引っ張り続けた。
「ごめ~ん、もうしないから放してぇ~」
來華が凛花に許しを請うと、凛花は彼女のほっぺからパッと手を放した。いきなり放された來華はバランスを崩して倒れてしまった。
「ひど~い、いきなり放すなんて…。もうちょっと考えて放してよ」
「あら、自業自得よ。そんなことしたら相手に失礼でしょ」
とんでもない神姫と知り合いになっちゃったな…。ホーリーは少し後悔していた。
いずるのベッドの上で、ホーリーは寝そべっていた。学校が始まり、家を留守にしなければいけないいずるは、ホーリーに家の留守番を頼んで学校に行かなければならなかった。それでホーリーはご機嫌斜めになっているのだった。
「いずるってばどうしてホーリーを学校に連れて行かなかったんだろう?邪魔すると思ったからかな?」
話し相手がいないホーリーは、ゴロゴロと寝転んで暇を潰していた。しかしいつまでもこんな状態ではガマンの限界になってしまう。
「せめて、誰でもいいから遊び相手がいればな…」
そのとき、窓の外から誰かが覗いていた、そんな感じがした。
「くすくす、なあに、あの子」
「こら、そんなこと言っちゃだめじゃないの」
何か話し声まで聞こえる。確かに誰かが窓の外で話しているのだ。
『一体誰よ、あんな所で話してるなんて』
ホーリーは起き上がり、窓の外を覗き込んだ。しかし誰もいない。
「あれ…、確かに話し声が聞こえたんだけど」
窓の外を見回すホーリー。するとまた誰かの話し声が聞こえてきた。
「あら、立ち上がった」
「物好きなのかしらね」
今度ははっきりと聞こえた。ホーリーは再度外を見回した。でも誰もいない。
「そうだ、センサーを使ってみよう。使い方は覚えてるんだ」
さっそくセンサーを作動させ、耳を澄ましてみた。すると、木がある方向から話し声が聞こえた。
「あんなところにいるんだ…。でもどうして隠れてるんだろう?」
ホーリーはそっと窓を開けてベランダに出てみた。確かにこの近くに誰かいる。今度こそ誰が覗いてるのか確かめてやる。ホーリーは注意深く周りを見回した。
「あれ~、あんなことしても無駄なのに。どうせこちらからは見えっこないんだから」
「まって、どうやらあっちは私たちがここに居る事を気付いてるみたいよ」
「え、ウソ!?」
確かにホーリーの目線は彼女達の方を向いていた。そしてキッとした顔つきで叫んだ。
「あんた達!隠れてないで出てきなさい!!」
いきなり大声で言われてビックリしたのか、ふたりは消えている状態のまま木の上から落ちてしまった。
「も~、ビックリするじゃないの」
「ごめん、驚かすつもりじゃなかったのよ」
しばらくして落ちたところから小さい人がふよふよと飛んできた。彼女達の姿を見たホーリーは、自分と同じくらいの大きさであることに驚いていた。
「もしかしてあんた達は、神姫なの?」
青い翼をつけている神姫がそれに答えた。
「はい、私達は神姫です。私は凛花(りんか)、この子が來華(らいか)よ」
「ホーリーベルって言うの。ホーリーと呼んでね」
ホーリーが自己紹介をした時、ピンクのアーマーをつけた神姫=來華がふふんと鼻で笑った。
「ふうん、全然そんな感じに見えないけどねえ」
「こら、失礼よ來華。ごめんなさい、この子って人をからかう事が好きでしょうがないのよ」
ふたりは静かにホーリーの側まで下りてきた。
「凛花達はどこから来たの?どうして隠れていたの?」
凛花は來華のほっぺを引っ張りながら答えた。
「ちょっと気分転換に散歩してたんだけど、ちょうどこの子があなたを偶然見かけて、隠れて驚かしてみよう、って言い出して…。私は反対したんだけど…」
「それであんなことをしたんだ。本当だったら許さないところだけど、いいよ、許してあげる。でも、もうそんなことをしちゃだめだよ」
ホーリーはにっこりと微笑んだ。
「分かったわ、この子ももうやらないって言ってるし」
凛花はぎゅうっと來華のほっぺを引っ張り続けた。
「ごめ~ん、もうしないから放してぇ~」
來華が凛花に許しを請うと、凛花は彼女のほっぺからパッと手を放した。いきなり放された來華はバランスを崩して倒れてしまった。
「ひど~い、いきなり放すなんて…。もうちょっと考えて放してよ」
「あら、自業自得よ。そんなことしたら相手に失礼でしょ」
とんでもない神姫と知り合いになっちゃったな…。ホーリーは少し後悔していた。
「お前よ、どうしてホーリーを留守番させたんだ?」
大学の帰り道、いずると恒一はホーリーのことを話しながら歩いていた。
「学校になんて連れて行けるわけないだろ?ただでさえうるさいのに。それに変な目で見られたりしたらどうするんだ」
「別にどうってことないさ。お前も見ただろ、うちの学校でもロボットを連れ歩いてる奴を」
「それは神姫じゃないからだろ。私は連れて行きたくないんだよ。授業中で何かされたりしたら大変なことになる」
頑なに断り続けるいずるを見て、恒一は少し呆れた顔で言った。
「授業中は学校内の広場などに放しておけばいいんだよ。迷子になるわけじゃないし、万が一居なくなっても発信レシーバーで見つけ出せるから大丈夫さ」
「そう言われても…。とにかくしばらくの間は留守番させることにする」
こんなことには頑固なんだな…。恒一は呆れ顔になった。
「そういえば恒一、お前はシュートレイを学校に持ち込んでるのか?」
いずるはシュートレイのことを聞いてみた。
「ああ、持ってきてるよ。でも今はバッグのなかで眠ってるけどな」
『やっぱりそうか…。聞くだけ無駄だったか』
いずるは疲れたようなため息をついた。
「ところでいずる、ホーリーのデビュー戦、どうするつもりだよ?早いうちにポイント稼いでおかないと大きな大会に出るのが遅くなるぞ」
恒一がホーリーのデビュー戦にについて話しかけてきた。しかしいずるはそのことについては何も話そうとしなかった。
「おい、大丈夫かよ?」
「ああ、で、どうやって出場するんだった?」
「お前な、俺の話聞いてなかっただろ?まあいいや、そのことは後で話すことにしよう」
十文字を右に曲がり、住宅地に入ったところで二人は分かれることにした。
「今日は用があるからこれで失礼するよ。じゃ、また明日な」
「またな」
恒一の姿が見えなくなるまで、いずるは手を振りながら見送った。
「ホーリーの奴、寂しがってるだろうから早く帰ってあげないとな」
いずるは急いで自分の家へ帰った。
大学の帰り道、いずると恒一はホーリーのことを話しながら歩いていた。
「学校になんて連れて行けるわけないだろ?ただでさえうるさいのに。それに変な目で見られたりしたらどうするんだ」
「別にどうってことないさ。お前も見ただろ、うちの学校でもロボットを連れ歩いてる奴を」
「それは神姫じゃないからだろ。私は連れて行きたくないんだよ。授業中で何かされたりしたら大変なことになる」
頑なに断り続けるいずるを見て、恒一は少し呆れた顔で言った。
「授業中は学校内の広場などに放しておけばいいんだよ。迷子になるわけじゃないし、万が一居なくなっても発信レシーバーで見つけ出せるから大丈夫さ」
「そう言われても…。とにかくしばらくの間は留守番させることにする」
こんなことには頑固なんだな…。恒一は呆れ顔になった。
「そういえば恒一、お前はシュートレイを学校に持ち込んでるのか?」
いずるはシュートレイのことを聞いてみた。
「ああ、持ってきてるよ。でも今はバッグのなかで眠ってるけどな」
『やっぱりそうか…。聞くだけ無駄だったか』
いずるは疲れたようなため息をついた。
「ところでいずる、ホーリーのデビュー戦、どうするつもりだよ?早いうちにポイント稼いでおかないと大きな大会に出るのが遅くなるぞ」
恒一がホーリーのデビュー戦にについて話しかけてきた。しかしいずるはそのことについては何も話そうとしなかった。
「おい、大丈夫かよ?」
「ああ、で、どうやって出場するんだった?」
「お前な、俺の話聞いてなかっただろ?まあいいや、そのことは後で話すことにしよう」
十文字を右に曲がり、住宅地に入ったところで二人は分かれることにした。
「今日は用があるからこれで失礼するよ。じゃ、また明日な」
「またな」
恒一の姿が見えなくなるまで、いずるは手を振りながら見送った。
「ホーリーの奴、寂しがってるだろうから早く帰ってあげないとな」
いずるは急いで自分の家へ帰った。
「へ~、凛花と來華はタッグで試合に出るんだ」
二人の話はいつの間にか神姫バトルの話題になり、それを聞いているホーリーは二人の試合の話に夢中になっていた。
「いつもじゃないけどね。あたしたちは一人でも十分強いんだから」
「あらあら、強気になっちゃって。そう、私達はひとりでも強いけど、本当の力を発揮できるのはお互い力を合わせたときなの。だから普段はタッグマッチで試合をするときが多いの」
その話を聞いてホーリーはすごくわくわくしてきた。
「ねえ、今度でいいから闘ってみたいんだけど、だめ?」
二人は少し悩んで答えた。
「別に私たちはいいけど、主人の許可がないとね…」
「ご主人は優しいから、むやみに私達を傷つけるようなことはしないの。だから許可が下りないと試合が出来ないんだよ」
そっか…。ホーリーは少し寂しげな顔になった。
「でも、こうして話したりするのは大丈夫よ」
「別に闘うわけじゃないしね」
そのとき、玄関の方から物音が聞こえてきた。いずるが帰ってきたのだ。
「あ、そうだ。二人にもいずるの事紹介するね…」
ホーリーが振り返ると、二人はそこにはいなかった。
「あ、あれ~、消えちゃったの~?」
慌てふためくホーリー。そこへいずるが部屋にやってきた。
「ただいま。ホーリー、ちゃんと留守番してたか?…っておい」
いずるはホーリーを見て青ざめていた。それもそのはず、彼女は鍵を開けてベランダに出ているのだから。
「こんな所で何やってるんだ?落ちても知らないからな」
ホーリーをひょいと引き揚げるいずる。そして部屋のベッドの上に乗せた。
「あ、あのねいずる、さっきまでホーリーの仲間としゃべってたの。それで」
「分かったよ、外に出てしゃべってたんだろ、鳥たちと」
全然分かってくれないいずるに、ホーリーは少し不機嫌になった。
「いいよ、分かってくれなくていいもん!」
そのまま寝転んで布団の中へ入ってしまった。
「…あれ、怒らせるようなこと言った覚えないんだけどな…」
不思議がるいずるはそのまま部屋を出て行ってしまった。
二人の話はいつの間にか神姫バトルの話題になり、それを聞いているホーリーは二人の試合の話に夢中になっていた。
「いつもじゃないけどね。あたしたちは一人でも十分強いんだから」
「あらあら、強気になっちゃって。そう、私達はひとりでも強いけど、本当の力を発揮できるのはお互い力を合わせたときなの。だから普段はタッグマッチで試合をするときが多いの」
その話を聞いてホーリーはすごくわくわくしてきた。
「ねえ、今度でいいから闘ってみたいんだけど、だめ?」
二人は少し悩んで答えた。
「別に私たちはいいけど、主人の許可がないとね…」
「ご主人は優しいから、むやみに私達を傷つけるようなことはしないの。だから許可が下りないと試合が出来ないんだよ」
そっか…。ホーリーは少し寂しげな顔になった。
「でも、こうして話したりするのは大丈夫よ」
「別に闘うわけじゃないしね」
そのとき、玄関の方から物音が聞こえてきた。いずるが帰ってきたのだ。
「あ、そうだ。二人にもいずるの事紹介するね…」
ホーリーが振り返ると、二人はそこにはいなかった。
「あ、あれ~、消えちゃったの~?」
慌てふためくホーリー。そこへいずるが部屋にやってきた。
「ただいま。ホーリー、ちゃんと留守番してたか?…っておい」
いずるはホーリーを見て青ざめていた。それもそのはず、彼女は鍵を開けてベランダに出ているのだから。
「こんな所で何やってるんだ?落ちても知らないからな」
ホーリーをひょいと引き揚げるいずる。そして部屋のベッドの上に乗せた。
「あ、あのねいずる、さっきまでホーリーの仲間としゃべってたの。それで」
「分かったよ、外に出てしゃべってたんだろ、鳥たちと」
全然分かってくれないいずるに、ホーリーは少し不機嫌になった。
「いいよ、分かってくれなくていいもん!」
そのまま寝転んで布団の中へ入ってしまった。
「…あれ、怒らせるようなこと言った覚えないんだけどな…」
不思議がるいずるはそのまま部屋を出て行ってしまった。
「…いずるってばどうして分かってくれないんだろう。せっかく新しいお友達紹介しようとしたのに…」
布団にうずくまって、ホーリーはふてくされていた。そこへ彼女のセンサーを通じてさっきの二人が声をかけてきた。
『ごめんね、さっきは』
『悪気があってやったわけじゃないの。次の機会があったらまたお話しましょう』
二人の声を聞いたとたん、不機嫌だったホーリーの顔が笑顔に戻った。
「うん、約束だよ。また会おうね」
そう答えると、二人はにっこりと笑った、そんな気がした。
『それじゃ、また会いましょう』
『それまであたし達の事、忘れないでよ』
そう言いながら二人の会話が切れた。
うん、また会えるよね…。ホーリーはそう重いながら布団に包まれて眠りに付いた。
布団にうずくまって、ホーリーはふてくされていた。そこへ彼女のセンサーを通じてさっきの二人が声をかけてきた。
『ごめんね、さっきは』
『悪気があってやったわけじゃないの。次の機会があったらまたお話しましょう』
二人の声を聞いたとたん、不機嫌だったホーリーの顔が笑顔に戻った。
「うん、約束だよ。また会おうね」
そう答えると、二人はにっこりと笑った、そんな気がした。
『それじゃ、また会いましょう』
『それまであたし達の事、忘れないでよ』
そう言いながら二人の会話が切れた。
うん、また会えるよね…。ホーリーはそう重いながら布団に包まれて眠りに付いた。