特殊戦闘訓練──あるいは神姫無双(後半)
実際の“鳳凰カップ”では、予選リーグから一貫してクララが代理の
オーナーとして……HVIFを使い“梓”として……ロッテを導く。
とは言え今日は当番日ではない為、実際に“コレ”をサイドボードに
セットするのは、私の役目だ。その形状は……大きな“弾”だった。
厳密にはその上に、白鳥を模したぷちマスィーンズがセットされる。
オーナーとして……HVIFを使い“梓”として……ロッテを導く。
とは言え今日は当番日ではない為、実際に“コレ”をサイドボードに
セットするのは、私の役目だ。その形状は……大きな“弾”だった。
厳密にはその上に、白鳥を模したぷちマスィーンズがセットされる。
「サイドボード、クローズ。これから転送するんだよ……座標は?」
「東南東に5sm……ハイウェイの上にお願いしますの!」
「了解。カウント5で転送されるから、気を付けて……ゲーン(発進)」
「く……ッ!5……4……!」
『ギギィー!!!』
「東南東に5sm……ハイウェイの上にお願いしますの!」
「了解。カウント5で転送されるから、気を付けて……ゲーン(発進)」
「く……ッ!5……4……!」
『ギギィー!!!』
ロッテは落下する様に高度を下げ、ハイウェイを滑る様にして奔る。
飛行能力を備えているぷちマスィーンズがそれを追い掛け、飛べない
6機のネイキッドタイプは、全員が廃ビルを素早く駆け下りていく。
だがロッテは追われているのを承知の上で、ハイウェイ上に留まる!
飛行能力を備えているぷちマスィーンズがそれを追い掛け、飛べない
6機のネイキッドタイプは、全員が廃ビルを素早く駆け下りていく。
だがロッテは追われているのを承知の上で、ハイウェイ上に留まる!
「3……2……1……来てくださいの、“スヴェンW”!」
「クェェーッ!!」
『Grr……?!』
「クェェーッ!!」
『Grr……?!』
追い縋ってきた敵の脚が、一瞬止まる。自分達とは違う、何かの声を
感じ取ったからだ。その声の主は、空から急降下してきた“鳥”だ!
これこそ、追加武装投入ゲート……サイドボードにセットした武装、
“SSS”……即ち、“Strike Swan System”。ロッテだけでなく、
皆の為に私が開発を進めていた、“Valkyrja”用オプションパーツ。
その運搬係である白鳥型ぷちマスィーンズこそ、弾の上にいる奴だ。
感じ取ったからだ。その声の主は、空から急降下してきた“鳥”だ!
これこそ、追加武装投入ゲート……サイドボードにセットした武装、
“SSS”……即ち、“Strike Swan System”。ロッテだけでなく、
皆の為に私が開発を進めていた、“Valkyrja”用オプションパーツ。
その運搬係である白鳥型ぷちマスィーンズこそ、弾の上にいる奴だ。
「クェェェェーッ!!!」
『Gyaaaaaaaaaaaaaa!?』
『Gyaaaaaaaaaaaaaa!?』
両の脚に躯の二倍近くある弾をホールドしたまま、スヴェンWが
小型レーザー発振子から、散発的なビームを撃って相手のぷちを
破損させる。弾の後部にはブースターがあり、その速力によって
迎撃を振り切り、次々と敵の数を減らしていく!まずは上々だ。
小型レーザー発振子から、散発的なビームを撃って相手のぷちを
破損させる。弾の後部にはブースターがあり、その速力によって
迎撃を振り切り、次々と敵の数を減らしていく!まずは上々だ。
「それじゃ、そろそろ決めてみますの……スヴェンッ!」
「クェーッ!」
『ギギッ!?!』
「クェーッ!」
『ギギッ!?!』
思わぬ増援に、漸く追いついたネイキッドタイプが動揺している。
ロッテはチャンスを見逃さず、すかさず“SSS”に飛び乗った!
そう……これが“SSS”の第一機能、“サーフィン・ラム”だ。
“SSS”の分類名は“アーマメント・シールド・ブースター”。
盾の頑健さとブースターの推力を持つそれを、衝角として用いる。
さながらその様が、サーフィンに見えるのでな。機能名を変えた!
ロッテはチャンスを見逃さず、すかさず“SSS”に飛び乗った!
そう……これが“SSS”の第一機能、“サーフィン・ラム”だ。
“SSS”の分類名は“アーマメント・シールド・ブースター”。
盾の頑健さとブースターの推力を持つそれを、衝角として用いる。
さながらその様が、サーフィンに見えるのでな。機能名を変えた!
「光学加速システム、ジャイロ同調!レーザードリル、展開!!」
『ギ、ギァァアー!?!』
「神儀、ブリッツ・シュピッツェ・ツヴァイスツァーン!!」
『ギ、ギァァアー!?!』
「神儀、ブリッツ・シュピッツェ・ツヴァイスツァーン!!」
ロッテはそれのみならず、力場固定式のレーザーブレードを3本展開。
“フライアークライス”を用いて攪拌増幅し、レーザードリルを構築!
“SSS”と光の槍を“二本の牙”に見立て、敵に突撃したのだッ!!
ブースターとロッテ自身の推力により、凄まじい速度で敵が砕け散る。
ロッテは反撃の銃弾を受けても留まる事はなく、装甲を穿っていった。
“フライアークライス”を用いて攪拌増幅し、レーザードリルを構築!
“SSS”と光の槍を“二本の牙”に見立て、敵に突撃したのだッ!!
ブースターとロッテ自身の推力により、凄まじい速度で敵が砕け散る。
ロッテは反撃の銃弾を受けても留まる事はなく、装甲を穿っていった。
『グアアアァー!!!』
「痛……ふぅ。とりあえずこれで、全滅ですの?」
「うん。108機のネイキッドタイプ及びぷちマスィーンズ、沈黙だよ」
「痛……ふぅ。とりあえずこれで、全滅ですの?」
「うん。108機のネイキッドタイプ及びぷちマスィーンズ、沈黙だよ」
最後のネイキッドタイプは距離を活かして避けようとしたが、生憎と
ロッテの左手……“ゼーレイッシャー”に掴まり、電力を吸われた。
エネルギーを回復すると同時に、敵はポリゴンへと即時還元される。
雑兵相手とはいえ、ロッテは108機を6分弱で片付けてしまった。
ロッテの左手……“ゼーレイッシャー”に掴まり、電力を吸われた。
エネルギーを回復すると同時に、敵はポリゴンへと即時還元される。
雑兵相手とはいえ、ロッテは108機を6分弱で片付けてしまった。
「……うーん。もう1セットお願い出来ますの?マイスター?」
「何?少し休んでみたらどうだロッテ……いや、そうか成程な」
「うん。“SSS”のテストなのに、すぐ終わっちゃったもん」
「何?少し休んでみたらどうだロッテ……いや、そうか成程な」
「うん。“SSS”のテストなのに、すぐ終わっちゃったもん」
本懐を達成出来なかった以上、ロッテもクララも納得しなかった。
重量の大幅増加等、実証実験が必要な要素が“SSS”には多い。
だが投下して2分も掛からず、模擬戦闘が終了してしまったのだ。
これでは十分なデータが取れたとは、到底言えないのだな。有無。
重量の大幅増加等、実証実験が必要な要素が“SSS”には多い。
だが投下して2分も掛からず、模擬戦闘が終了してしまったのだ。
これでは十分なデータが取れたとは、到底言えないのだな。有無。
「うんと……それならロッテちゃん、あたしと一回戦ってみますか?」
「何?アルマや、いいのか?お前用の“SSS”はまだ無いのだぞ?」
「その方が都合いいですし、ロッテちゃんとは一回戦いましたからッ」
「何?アルマや、いいのか?お前用の“SSS”はまだ無いのだぞ?」
「その方が都合いいですし、ロッテちゃんとは一回戦いましたからッ」
ここで予想外の提案をしたのは、戦いを検分していたアルマだった。
既に自らの武装を収めたコンテナを、筐体の側まで引きずっている。
……実際まだサードリーグとは言えども、皆の才能は未知数だった。
希望するならば、模擬戦という事で戦わせるのも良い経験だろうな。
既に自らの武装を収めたコンテナを、筐体の側まで引きずっている。
……実際まだサードリーグとは言えども、皆の才能は未知数だった。
希望するならば、模擬戦という事で戦わせるのも良い経験だろうな。
「よし。ではアルマや、ロッテのスパーリングを手伝ってくれぬか?」
「喜んでお受けしますっ!……じゃあマイスター、装備のセットを!」
「ふぇ……?アルマお姉ちゃんがこっちに来るんですの、クララッ?」
「うん。ロッテお姉ちゃんが物足りなさそうだから、戦うみたいだよ」
「喜んでお受けしますっ!……じゃあマイスター、装備のセットを!」
「ふぇ……?アルマお姉ちゃんがこっちに来るんですの、クララッ?」
「うん。ロッテお姉ちゃんが物足りなさそうだから、戦うみたいだよ」
その言葉を聞いて、ロッテは嬉しそうに装備の再定義を申請した。
失われた疑似エネルギーが瞬時に補給され、ロッテの準備が整う。
それと並行して、私は素早くアルマをバトルスタイルに変更した。
……ここからは内緒だ。秘密の機能がまだまだあるからな、有無!
失われた疑似エネルギーが瞬時に補給され、ロッテの準備が整う。
それと並行して、私は素早くアルマをバトルスタイルに変更した。
……ここからは内緒だ。秘密の機能がまだまだあるからな、有無!
「買った方に今日のデザートを、多くくれてやろう」
「アルマお姉ちゃん……手加減は出来ませんのッ!」
「あたしだって頑張りますよ?じゃ、行ってきます」
「アルマお姉ちゃん……手加減は出来ませんのッ!」
「あたしだって頑張りますよ?じゃ、行ってきます」
──────今は刃を研ぎ、心身を鍛える時でもあるからね。