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えむえむえす ~My marriage story~

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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
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『よぅ。

 俺はクウガ。『一直線の』クウガ。
 アンタのハヤヒメを壊した、ハウリンだ。
 ……すまん。
 ハヤヒメのことで謝りたいのは山々なんだが、時間がないから最速かつスマートに言いたいことだけ言わせてもらう。
 何しろ、時間がなくてな。

 ……。
 えーっと。なんだ。こういうのを話すのは苦手でな。
 こういうのもダメだな。美しくない。
 決めた。
 言うぞ。

 ……アンタがこの映像を見てるって事は、姉ちゃんか宅急便か郵便か、とにかくそこにハウリンの素体が届いてると思う。
 そりゃ俺だ。
 記憶もCSCも全部取っ払って、出荷直後の状態にリセットしてある。俺も頭がおかしくなっちまってな。今はちょっと正気だが、じきに変に戻るらしい。
 時間を掛ければ治療できる可能性が見つかるかもしれんって話なんだが、遅いってのは何より気にくわない。だから、スマートにリセットしてもらうことにした。

 で、アンタに任せたいのは……そこの素体の処分だ。

 見たくもないってのなら捨ててもいいし、腹が立って許せないってんなら壊してもいい。もし神姫を続ける気があるなら、もう一度CSCを入れれば動くはずだ。もちろん、新しい人格としてな。
 俺はどうされても文句は言わねぇ。タケヨシも了解済みだ。アンタのハヤヒメには、それだけのことをしちまったからな。
 好きにしてくれ。

 それだけだ。
 じゃあな。

 色々世話になった、アンタの姉さんにもよろしくな』

 再生を終えたディスクが、あたしのノートPCから音もなく吐き出される。
「……本当に好き勝手に言ってくれるじゃない」
 あたしはそう呟いて、ハウリンの箱を放り捨てた。

 あと姫の本名は花姫だ。
 バカ犬。


魔女っ子神姫 マジカル☆アーンヴァル

~ドキドキハウリン外伝~

エピローグ



「はい。一万と三千八百円になります」
 代金を受け取ってお釣りを渡した後、オイルや小さなパーツ類を袋の中に詰め込んでいく。
 お客さんを送り出して、やっとひと息。
「……ふぅ」
 あたしがこのホビーショップ・エルゴのバイトを始めさせられてそろそろ半年になる。最初は神姫なんか見るのも嫌だったけど、最近はだいぶ慣れてきたと、思う。
 愛想がないとは良く言われるけど、アーンヴァルやストラーフならともかく、ハウリンに振りまける愛想はいまだに持ち合わせていない。正直、あのバカ犬だけは……今でも見るたびに、表情が引きつるのが自分で分かるほどだ。
「や、静香ちゃん」
 レジ周りを片付けていると、奥から店長さんが出て来た。エルゴは神姫の修理なんかも受け付けてるから、技術者兼店員兼店長の店長さんが表に出てこられない事も多い。
「お疲れさまです。店長」
 でも、今日は修理の依頼は入ってなかったと思うんだけど……。
「ねえ。ちょっと、これ見て欲しいんだけどさ」
 そう言って店長さんが見せてくれたのは、淡い紫のワンピースだった。
「……神姫用ですか?」
 人が着るにはちょっとクセのある色だ。けど、ボディカラーで既に一枚着ている神姫には、それなりの色の合わせ方が必要になる。
 例えばストラーフに黒いキャミソールを着せると、セクシーどころか全身真っ黒で大変だった……なんて笑い話もあるくらいだ。
「ウチで新しく置こうと思ってるんだけどさ。女の子から見て、こういうのってどうなのかなと思ってね」
 受け取って、軽く確かめさせてもらう。
 ワンピースっていうチョイスは悪くない。ヘタにセーラー服やメイド服に走らなかったのは、一般売りする上で良い判断だと思う。
 でも、それよりも……。
「なんだか、随分と縫製が甘いですね。サイズも微妙に合ってないし……」
「……そっちなんだ」
 はい。そっちです。
 そこらの女子高生みたく「かわいい~」って語尾を上げながらハートマーク付けるの、あたし嫌いですから。
「これでも、前は神姫の服作ってましたし」
 そこまで言ったところで、店長さんは気付いたらしい。
「あ……悪いこと言っちゃったね。忘れてた、ゴメン」
「いえ。気にしてませんから」
 うん。もう、その辺りは気にしてない。そろそろ一年経つし、気持ちの整理もついてきたし。
 あたしは今でも姫が大好き。あたしの神姫は姫しかいないって思ってるから。
 だから、ハウリンにだけは笑えない。
 ま、そのあたりを分かってくれてる店長さんだから、ハウリンに愛想が悪くてもあたしをクビにしないんだろうけど、さ。

 ……話がずれた。

「でも、これはちょっと酷すぎません?」
 今の問題はあたしじゃない。このワンピースだ。
「肩紐や胸元のサイズが合ってないから、きっとこれ、おっぱい見えちゃいますよ?」
「……むぅ。それはさすがにマズいな」
 パッケージには『神姫のおともだちシリーズ』なんて書いてあるけど、このクオリティでシリーズ化されたところで神姫達は喜ばないと思う。
 自分で調整できる人や、そういうプレイがご所望のマスターならいいんだろうけどさ。
「とは言え、神姫の服作ってるメーカーなんて、まだほとんど無いからなぁ……」
 いくつかのドールメーカーが神姫サイズの服を出しているのは知っていた。けど、大半は通販専門だったり、イベントや数量限定だったりで、一般のショップにはほとんど流通していないのが現状だ。
「んー」
 最初から着せ替え目的のユーザーは、あたしみたいに早々に自作の道に走っちゃうしなぁ……。
 そうだ。
「ないなら、自前で作っちゃえばいいんですよ」



 さて、困った。
 店長さんにああは言ったものの……。
 あたしは椅子に背中を預け、ぼんやり部屋の天井を見上げるだけ。
 さしあたり、週明けまでに見本と同じデザインのワンピースを一着仕立てることになったんだけど。
 ここで問題が一つ。
 ワンピ自体は姫にも何度か作ったことがあるから、作り方自体は問題ない。
 ツールも、材料もある。
 ただ、型紙だけがない。
 正確に言えば、型紙を作るために必要な神姫のボディがない。
 ジルはああいうの苦手だし、そもそも十貴達のことは高校に入ってずっと無視してたから行きづらいことこの上ない。あたしがいるのに気を使ってるのか、エルゴにも来ないしさ。
 にゃー子はお姉ちゃんの所だし、こっちもじっとしてるのはジル以上に苦手なタイプ。
 今更店長さんに「素体がなかったから素体貸して。てへ☆」なーんてカッコ悪いこと、言えるはずもなかった。
 そう考えると、ニコニコしたままじっとしてくれてた……そのぶん、良く喋ってたけど……姫が、どれだけ良い子だったか。今更ながら、良く分かる。
「…………」
 首を巡らせば、本棚の下に押し込まれている白い箱が見えた。
 …………。
 あー。
 一つだけ、方法があった。
 意識して忘れようとしてたら、ホントに忘れていたらしい。
 箱の中には、バカ犬のボディが入っている。第二期モデルは胴が若干短いけど、そのくらいなら調整の範囲内だ。
 あれを使えば、型紙は起こせる。
「……でも、アレはなぁ……」
 嫌だけど。
 嫌で嫌で仕方ないけど。
「うー」
 でも。
 背に腹は、替えられない。
 動かしさえしなければきっと大丈夫。
 どうしても我慢出来なければ、頭だけ外せばいい。そうすれば、ただの素体だ。

 うん。



 淡いパープルのワンピースに袖を通したのは、ダークグレーの細い腕だった。光の当たり具合によっては銀色にも見える薄青のショートヘアに、共布で作ったリボンを付けてやる。
 胸元の小さなリボンは、ワンポイントに明るい色を。
「どう……ですか?」
 ひと回りしてみれば、ワンピースの裾がふわりと広がって。慣れないその格好に、忍者型のその子はくすぐったそうにはにかんでみせる。
 サイズもぴったり。
 くるりと回っても、肩紐がずれたり、おっぱいがこぼれ落ちたりはしない。
「あら、よく似合っているわよ。可愛いわ、シヅ」
「あぅ……マスターまで……」
 シヅのマスターは、小柄なおばあさん。この辺りのみんなからマダムと呼ばれている彼女は、こう見えて十貴と並ぶ最古参の神姫オーナーだ。
「たまには、こういうのも悪くないわね」
 武装ルールが改定された今でも公式装備にこだわるマダムも、服に関しては別物らしい。
「これ、戴けるかしら?」
「あ、はい!」
 穏やかに笑いながら言ってくれたその言葉は唐突で、あたしの反応はちょっとだけ遅れた。
 お勘定をして、商品を包もうとして。シヅがワンピースを着たまま、脱ごうとする気配がない事に気付く。
 単に脱ぐのを忘れてるのか、それとも……。
「……っ!」
 気付かれた。
「~~~~~っ」
 あー。フブキも照れたりするんだ、可愛いなぁ。
「シヅ。どうする? 気に入ったなら、着て帰る?」
 耳まで真っ赤にしてうつむいているシヅに、マダムはにこにこと笑ったまま。これでこの辺りじゃ最強の一人なんだもんなぁ。
 世の中って広い。
「ぇ……ぁ……」
 あたしがそんな事を思ってる間も、ワンピースの彼女は裾を掴んだまま、もじもじとしたまま。
 やがてシヅは、蚊の鳴くような声で呟いた。
「……はぃ」
「だ、そうよ。着て帰るから、包まなくていいわ」
「ぁぅ……」
 シヅは相変わらず顔を伏せたまま。そんな彼女を肩に乗せたマダムに、あたしはレシートだけを手渡した。
「これを作った人、よっぽど神姫の事が好きなのね」
「……え?」
 マダムの言葉に、あたしの手が止まる。
「私は裁縫は素人だけれど、そのくらい見れば分かるわ」
「そう、ですか……」
 うん。それは否定しないけど……。
「モデルの神姫も、きっと可愛がられているんでしょうね。ハウリン? そんな感じがするわね」
 さすがにその言葉には、返す言葉を見つけられなかった。
 モデルに使ったハウリンは、起動さえしていない、ただの人形だなんて……言えなかったから。
「ありがとう。それじゃ、また来るわね」
 確か、マダムもあの会場にいたはずだ。だったら、あの事件も知っているはず。それがあたしと花姫に起こった事だって、知っているのかいないのか。
 穏やかに笑うマダムの心を知る術を、あたしはまだ、持っていない。


「お疲れさま」
 マダムを送り出したあたしに掛けられた声は、店長さんのものだった。
「静香ちゃんの服はアタリかな。バセットさんとシヅ、喜んでたみたいだし」
「……はい」
 けど、どこか落ち着かない。

『モデルの神姫も、きっと可愛がられているんでしょうね』

 マダムの言葉と、頬を染めてうつむくシヅの姿が、胸にちくりと刺さったまま。
 その棘の正体が、マダムに嘘をついている事そのものなのか、その嘘はとっくに気付かれているだろうと甘えている自分自身に対してなのか、そこまでは分からなかったけれど。
「服の制作費は、バイト代とは別で出すからね」
 そう言ってくれる店長さんの言葉さえ、今は心苦しくてたまらない。
「あ。店長さん」
 だから。
「ん?」
 だから……確かめてみよう。
「それなら、代わりに欲しいものがあるんですけど……」
 もう、一度だけ。



 切りっぱなしの布きれに、箱に入った裁縫セット。
 その全てを机の端に押しのけて、あたしは白い箱を机の上に置き直した。
 あたしは花姫が大好きだ。
 それは、今までも、これからも変わらない。
 けど、ハウリンは大嫌い。
 あたしから姫を奪ったそいつを許す気は、ない。

 出しっぱなしになっていたハウリンの素体を、ケースにちゃんと収め直す。

 だから、確かめてみよう。

 あたしが、もう一度神姫を好きになれるのか。

 店長さんから譲ってもらったもの。
 三つのCSCを、その子の胸にはめ込んでいく。

 花姫と一緒に過ごした二年間。
 あたしはこれから、同じだけの時間をこのハウリンと一緒に過ごす。

 胸のカバーを閉じれば、起動準備は完了する。

 そして、あの子と過ごしたのと、同じだけの時間が過ぎたとき。
 あたしが花姫を大好きで、目の前で動くハウリンを許せないままだったなら……。

 その時は、ハウリンを壊して、神姫もやめよう。
 エルゴのバイトも、ジル達との付き合いも、神姫との全てを断ち切って。

 あたしのこんな誓いを、花姫は喜ばないだろう。
 あの子はみんなを大好きになれる子だったから。
 けど、あたしはたぶん違う。
 花姫が大好きなのに、花姫以外の神姫を好きになるなんてしたくない。

 でも、あたしは神姫からは離れられない。
 小さくて優しくて勇ましいあの子達が、大好きだから。だから、お姉ちゃんに「エルゴで働け」と言われたときも、逆らわなかったんだ。
 本当に嫌なら、行かなければいいだけなのに。

 でも。
 でも……。

 起動スイッチをオン。

 分かってる。
 今やってることが、矛盾だらけの、ハチャメチャな行動だってことくらい。

 でも、こんなあやふやなままでいたくない。

 何となく姫を想い。
 何となくエルゴで過ごし。
 何となくみんなの神姫を眺めて。
 何となく。
 何となく。
 そんなのは、嫌だから。

 大嫌いなハウリンがゆっくりと瞳を開く。
 こちらを見上げる大きな瞳に、あたしのぎこちない笑みが映っている。

「おはよう。気分はいかが?」

 たった二年の付き合いだ。
 短い間だけど、よろしくね。



 そして、願わくば……。

 あたしを、あなたが大好きにさせて。ね?





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