終わりの始まり
この話は初恋の後の話となります
「まったく…ムツキったら、時間になっても帰ってこないで…」
「あら新道さん。またお迎え?」
「そうみたいです、主任…すいません、ちょっといってきます…」
あれ以来、香田瀬健四郎に懐いてしまった我が神姫、ムツキ
仕事が暇な時に技術1課へと行くようになってしまった
え?だったら許可しなければいいだろうって?
あの子にお願いされれば無視出来ないってもんよ!
でもヘンな事されてなければいいけど…
「こらー香田瀬健四郎ー!ムツキを返せー!ってあれ?」
技術1課に着きいつも通りにムツキを呼ぶ私。
しかしそこにはムツキも香田瀬のヤツも居なかった
「あれ…?」
「あ、皐月ちゃん」
「…貴方誰?」
「ヒドイなぁ…俺だよ、南山…」
「そんな事より、ムツキ知らない?まさか香田瀬のヤツが…」
「しくしく…まぁいいか。ムツキちゃんなら香田瀬達と第2実験場にいったよ。ムツキちゃんにもやって欲しい事があるんだって」
「な、な、な…なんですってぇーーーー!」
アイツ、とうとうムツキにまで手を出す気ね!
猛然とダッシュする私
「ムツキー!無事でいてねーーー!」
「あら新道さん。またお迎え?」
「そうみたいです、主任…すいません、ちょっといってきます…」
あれ以来、香田瀬健四郎に懐いてしまった我が神姫、ムツキ
仕事が暇な時に技術1課へと行くようになってしまった
え?だったら許可しなければいいだろうって?
あの子にお願いされれば無視出来ないってもんよ!
でもヘンな事されてなければいいけど…
「こらー香田瀬健四郎ー!ムツキを返せー!ってあれ?」
技術1課に着きいつも通りにムツキを呼ぶ私。
しかしそこにはムツキも香田瀬のヤツも居なかった
「あれ…?」
「あ、皐月ちゃん」
「…貴方誰?」
「ヒドイなぁ…俺だよ、南山…」
「そんな事より、ムツキ知らない?まさか香田瀬のヤツが…」
「しくしく…まぁいいか。ムツキちゃんなら香田瀬達と第2実験場にいったよ。ムツキちゃんにもやって欲しい事があるんだって」
「な、な、な…なんですってぇーーーー!」
アイツ、とうとうムツキにまで手を出す気ね!
猛然とダッシュする私
「ムツキー!無事でいてねーーー!」
…ドタドタドタ、ガラッ!
「くぉら香田瀬!とうとう本性を現したわね!ムツキに何をさせる気なの!」
「慌ただしいヤツだな新道。見れば解るだろ」
「だから、一体何をさせてるの…って…」
見ればムツキは可愛いエプロンを掛け、フライパン片手に料理をしていた
「きゃ~~可愛い~~!」
ん?よく見ると愛澤さんトコのマイちゃんと香田瀬のトコのユキちゃんも料理をしてるじゃない
「アンタ、ナニ人様の神姫にまで料理なんてさせてるのよ!」
「あ、すいません。頼んだのは私なんです」
「え?」
香田瀬の隣に居た女性が言った
「あ、私は技術2課の永守っていいます。すいません、なるべく多くのデータが欲しかったもので」
「…え?香田瀬が連れ出したんじゃないの?」
「いえ、私が香田瀬さんに頼んだんです。今作ってるキッチンの使い勝手を検証して貰おうと。そしたらムツキちゃんも手伝ってくれると言ってくれたもので…」
「あ…そうだったんですか…てへっ♪」
「てへっじゃないだろ、さんざん騒ぎまくっで…まぁいいか、コイツが騒がしいのはいつものことだしな」
「いちいち癪に触る言い方するヤツね。それならそうと早く言ってくれればいいじゃない!」
「そんなヒマがあったか?第一、ちゃんとメールを送ってあったはずだぞ?」
「え…?」
そういわれ携帯を見る
「あ…マナーモードにしたまんまだった…」
「またやったのか…」
どんなメールだったのか確認する
『ムツキを借りるぞ。お前も来い。場所は第2実験場』
なんつーか、相変わらずだった
「って、私も来いってどーいうことよ?」
「出来ました」
ユキちゃんが何かを持ってくる
「なんつーか、ナイスタイミングだなお前。コレが来て貰いたかった理由だ」
みんながテーブルに並べている物、それは料理だった
「『グレーテル』を使って料理を作り、それで実際に食える物が出来るかのテストだ」
「ぐれーてる?」
「お前ホントに広報か?ちゃんと資料を送ってあったはずだぞ?」
「ウルサイわねぇ…ちょっと忘れてただけよ」
「あの…ケンカしてないで、仲良くたべようよ~」
ムツキが仲裁に入る
「そうだな、仲良く食事にしようぜ」
今までセリフの無かった愛澤さんが言った
「そうね、そうしましょ!なんたって、ムツキの手料理が食べられるなんて…」
あれ?ムツキ、料理作った事なんてあったっけ…
「大丈夫ですよ、私がちゃんと教えながら作ってもらったから」
私の不安を察したのか、永守さんがそう言ってくれた
「永守さん、料理が凄くウマイんだぜ」
「そんなことないよ~。それより食べましょう、冷めちゃいますよ」
「そうね、いっただっきまーす!」
早速一口、といってもみんな一口サイズなんだけど
「う…」
「どうした新道?皿まで喰ったのか?」
失礼な、そんなに食いしん坊じゃないやい
「うまい!やるじゃないムツキー!」
「…それ作ったの、私」
マイちゃんが言った
「う…んじゃこっちかな…ぱくっ!美味しいよムツキー!」
「すいません、それ、私です」
ユキちゃんが言った
「…するとこっちのが…」
小さな皿に乗った物体Xを指しながら聞いてみた
「…うん」
ムツキが言った
う…でも可愛いムツキが一生懸命作ったんだし…
意を決して食べる
「ぱくっ!」
「をー食べた」
ん?
「あれ、美味しい…」
「マジか!?」
「見た目はアレだけど美味しいよムツキ!」
「そ、そうかな…」
「うん美味しいよ!もっとちょうだい!」
「…やっぱ問題はそこだよなぁ…」
「そうですね…」
あれ?なんか香田瀬と永守さんが悩んでる
「どうしたの永守さん?」
「もう無いぞ。お前が全部喰ったからな」
「ええ~~」
「神姫サイズで料理道具を揃えて作っても、人間にはまるで量が足りない。三体がかりで作ってもだ」
「じゃあなんでキッチンなんて作ったの?」
「…お前ホントに広報か?アンケート結果くらい把握しとけよ」
言って実験場にあるPCを操作する香田瀬。ディスプレイに映し出されたのは…
「…アンケート結果?」
「トップを見てみろ」
「えと…マスターに手料理を食べさせたい…」
「それは神姫達にアンケートを取った結果なの。ダントツよ」
「ふぇ~」
「ちなみに2位が「お手伝いがしたい」だそうだ。コイツらの考える事はワカラン…」
香田瀬がつまらなそうに言った
「まぁ需要が望めそうなら作るのが俺達の仕事さ。それで2課が考えたのが…」
「神姫用システムキッチンってわけね…」
「で、どうよ、お前の感想は」
「あ、量は少ないけど、やっぱり嬉しいわよ。自分の為に作ってくれるんだし」
「他人の分も喰ってたけどな」
「う…マイちゃん、ユキちゃんゴメン…」
「…別にいい」
「大丈夫です、問題ありません」
そう言ってくれる二人だったが、ちょっと寂しそうだった…
「あと具材も問題だな。それで作れる物が限られちまう」
「確かに魚一匹は焼けないもんねぇ」
「量もオヤツにしかならんし…」
「あ、だったらケーキとかのお菓子系にしたらいいんじゃない?」
「「「!!!」」」
「な、三人ともどうしたの…?」
「おい新道!今なんて言った!」
「いや…ケーキとか…お菓子…」
「それだ!お菓子だ!」
…は?
「そうね、全然気付かなかったわ…」
「だな、料理とばかり思ってたからな…」
「うーむ、新道さんに来て貰って正解だったな」
なんか三人で話し始めちゃった…
…つかアイツ、ちゃんと仕事してるのね
「でかした新道!お前のおかげで『グレーテル』の発売の目処が付いたぞ!」
「…はい?」
「『グレーテル』はお料理道具ではなく、パティシエセットとして売り出す事にします」
「スグ5課に連絡だ!専用のシェフ服とウェイトレス服の制作を発注するんだ!」
…なんかスゴイ事になってる…
「うーん、でもムツキのお菓子もいいけど、やっぱ手料理も食べたいなぁ…」
「まぁそっちは別方向からも検討中だ。まだデータ段階だがな」
「え?ホント?見せなさいよ香田瀬!」
「…ホントは無闇に見せちゃいけないんだがな。今回の功績に免じて見せてやるか」
「早く見せなさいよー!ドキドキ」
身を乗り出しモニターに食い入る私
「…なにこれ?」
「神姫用外骨格『ヘンデル』だ。人間サイズの道具をそのまま使える様にする為の物だ」
「可愛くない…」
「まぁ、まだ骨格モデルだけだからな。製品には安全面も考えてカバーを兼ねた装飾が付くぞ」
「なるほどね~。コレなら家事の手伝いも可能ってワケだ」
「まぁ実際、60㎝程度じゃ出来る事は限られそうだけどな。かといってコレ以上大きいと邪魔になるし」
「ふーん、色々考えてるのね」
「まぁこういうのを作って飯喰ってる訳だし」
ぐうぅぅぅ…
あ、飯なんて聞いたらお腹が…
「お前ホント解りやすいヤツだな。さっき一人で食べてたくせに」
「うっさいわねぇ。お腹空いたんだから、しょうがないじゃない…」
う、赤面してるよ私…
「んじゃどっか食べにいくか」
「勿論奢ってくれるんでしょうね?」
「割り勘に決まってるだろ。と思ったが、今日のお前の活躍に免じて奢ってやる」
「え?やったー!んじゃ駅前のイタリア料理店がいい!」
ここぞとばかりに憧れの店へ…
「なんだ、そんなトコでいいのか。無欲なヤツだな」
…ちっくしょー金持ちめ…
「んじゃいくか…て、あれ?愛澤さん達は?」
「いや、俺はさっき牛丼を注文しちまった」
「私はお弁当。だから4人でいってらっしゃい」
「そうか、それじゃいくぞ」
そう言ってユキちゃんを拾い上げ胸ポケットへとしまう香田瀬
「いこ、さつきちゃん」
私もムツキを抱え、駅前のイタリア料理店へと向かった
「くぉら香田瀬!とうとう本性を現したわね!ムツキに何をさせる気なの!」
「慌ただしいヤツだな新道。見れば解るだろ」
「だから、一体何をさせてるの…って…」
見ればムツキは可愛いエプロンを掛け、フライパン片手に料理をしていた
「きゃ~~可愛い~~!」
ん?よく見ると愛澤さんトコのマイちゃんと香田瀬のトコのユキちゃんも料理をしてるじゃない
「アンタ、ナニ人様の神姫にまで料理なんてさせてるのよ!」
「あ、すいません。頼んだのは私なんです」
「え?」
香田瀬の隣に居た女性が言った
「あ、私は技術2課の永守っていいます。すいません、なるべく多くのデータが欲しかったもので」
「…え?香田瀬が連れ出したんじゃないの?」
「いえ、私が香田瀬さんに頼んだんです。今作ってるキッチンの使い勝手を検証して貰おうと。そしたらムツキちゃんも手伝ってくれると言ってくれたもので…」
「あ…そうだったんですか…てへっ♪」
「てへっじゃないだろ、さんざん騒ぎまくっで…まぁいいか、コイツが騒がしいのはいつものことだしな」
「いちいち癪に触る言い方するヤツね。それならそうと早く言ってくれればいいじゃない!」
「そんなヒマがあったか?第一、ちゃんとメールを送ってあったはずだぞ?」
「え…?」
そういわれ携帯を見る
「あ…マナーモードにしたまんまだった…」
「またやったのか…」
どんなメールだったのか確認する
『ムツキを借りるぞ。お前も来い。場所は第2実験場』
なんつーか、相変わらずだった
「って、私も来いってどーいうことよ?」
「出来ました」
ユキちゃんが何かを持ってくる
「なんつーか、ナイスタイミングだなお前。コレが来て貰いたかった理由だ」
みんながテーブルに並べている物、それは料理だった
「『グレーテル』を使って料理を作り、それで実際に食える物が出来るかのテストだ」
「ぐれーてる?」
「お前ホントに広報か?ちゃんと資料を送ってあったはずだぞ?」
「ウルサイわねぇ…ちょっと忘れてただけよ」
「あの…ケンカしてないで、仲良くたべようよ~」
ムツキが仲裁に入る
「そうだな、仲良く食事にしようぜ」
今までセリフの無かった愛澤さんが言った
「そうね、そうしましょ!なんたって、ムツキの手料理が食べられるなんて…」
あれ?ムツキ、料理作った事なんてあったっけ…
「大丈夫ですよ、私がちゃんと教えながら作ってもらったから」
私の不安を察したのか、永守さんがそう言ってくれた
「永守さん、料理が凄くウマイんだぜ」
「そんなことないよ~。それより食べましょう、冷めちゃいますよ」
「そうね、いっただっきまーす!」
早速一口、といってもみんな一口サイズなんだけど
「う…」
「どうした新道?皿まで喰ったのか?」
失礼な、そんなに食いしん坊じゃないやい
「うまい!やるじゃないムツキー!」
「…それ作ったの、私」
マイちゃんが言った
「う…んじゃこっちかな…ぱくっ!美味しいよムツキー!」
「すいません、それ、私です」
ユキちゃんが言った
「…するとこっちのが…」
小さな皿に乗った物体Xを指しながら聞いてみた
「…うん」
ムツキが言った
う…でも可愛いムツキが一生懸命作ったんだし…
意を決して食べる
「ぱくっ!」
「をー食べた」
ん?
「あれ、美味しい…」
「マジか!?」
「見た目はアレだけど美味しいよムツキ!」
「そ、そうかな…」
「うん美味しいよ!もっとちょうだい!」
「…やっぱ問題はそこだよなぁ…」
「そうですね…」
あれ?なんか香田瀬と永守さんが悩んでる
「どうしたの永守さん?」
「もう無いぞ。お前が全部喰ったからな」
「ええ~~」
「神姫サイズで料理道具を揃えて作っても、人間にはまるで量が足りない。三体がかりで作ってもだ」
「じゃあなんでキッチンなんて作ったの?」
「…お前ホントに広報か?アンケート結果くらい把握しとけよ」
言って実験場にあるPCを操作する香田瀬。ディスプレイに映し出されたのは…
「…アンケート結果?」
「トップを見てみろ」
「えと…マスターに手料理を食べさせたい…」
「それは神姫達にアンケートを取った結果なの。ダントツよ」
「ふぇ~」
「ちなみに2位が「お手伝いがしたい」だそうだ。コイツらの考える事はワカラン…」
香田瀬がつまらなそうに言った
「まぁ需要が望めそうなら作るのが俺達の仕事さ。それで2課が考えたのが…」
「神姫用システムキッチンってわけね…」
「で、どうよ、お前の感想は」
「あ、量は少ないけど、やっぱり嬉しいわよ。自分の為に作ってくれるんだし」
「他人の分も喰ってたけどな」
「う…マイちゃん、ユキちゃんゴメン…」
「…別にいい」
「大丈夫です、問題ありません」
そう言ってくれる二人だったが、ちょっと寂しそうだった…
「あと具材も問題だな。それで作れる物が限られちまう」
「確かに魚一匹は焼けないもんねぇ」
「量もオヤツにしかならんし…」
「あ、だったらケーキとかのお菓子系にしたらいいんじゃない?」
「「「!!!」」」
「な、三人ともどうしたの…?」
「おい新道!今なんて言った!」
「いや…ケーキとか…お菓子…」
「それだ!お菓子だ!」
…は?
「そうね、全然気付かなかったわ…」
「だな、料理とばかり思ってたからな…」
「うーむ、新道さんに来て貰って正解だったな」
なんか三人で話し始めちゃった…
…つかアイツ、ちゃんと仕事してるのね
「でかした新道!お前のおかげで『グレーテル』の発売の目処が付いたぞ!」
「…はい?」
「『グレーテル』はお料理道具ではなく、パティシエセットとして売り出す事にします」
「スグ5課に連絡だ!専用のシェフ服とウェイトレス服の制作を発注するんだ!」
…なんかスゴイ事になってる…
「うーん、でもムツキのお菓子もいいけど、やっぱ手料理も食べたいなぁ…」
「まぁそっちは別方向からも検討中だ。まだデータ段階だがな」
「え?ホント?見せなさいよ香田瀬!」
「…ホントは無闇に見せちゃいけないんだがな。今回の功績に免じて見せてやるか」
「早く見せなさいよー!ドキドキ」
身を乗り出しモニターに食い入る私
「…なにこれ?」
「神姫用外骨格『ヘンデル』だ。人間サイズの道具をそのまま使える様にする為の物だ」
「可愛くない…」
「まぁ、まだ骨格モデルだけだからな。製品には安全面も考えてカバーを兼ねた装飾が付くぞ」
「なるほどね~。コレなら家事の手伝いも可能ってワケだ」
「まぁ実際、60㎝程度じゃ出来る事は限られそうだけどな。かといってコレ以上大きいと邪魔になるし」
「ふーん、色々考えてるのね」
「まぁこういうのを作って飯喰ってる訳だし」
ぐうぅぅぅ…
あ、飯なんて聞いたらお腹が…
「お前ホント解りやすいヤツだな。さっき一人で食べてたくせに」
「うっさいわねぇ。お腹空いたんだから、しょうがないじゃない…」
う、赤面してるよ私…
「んじゃどっか食べにいくか」
「勿論奢ってくれるんでしょうね?」
「割り勘に決まってるだろ。と思ったが、今日のお前の活躍に免じて奢ってやる」
「え?やったー!んじゃ駅前のイタリア料理店がいい!」
ここぞとばかりに憧れの店へ…
「なんだ、そんなトコでいいのか。無欲なヤツだな」
…ちっくしょー金持ちめ…
「んじゃいくか…て、あれ?愛澤さん達は?」
「いや、俺はさっき牛丼を注文しちまった」
「私はお弁当。だから4人でいってらっしゃい」
「そうか、それじゃいくぞ」
そう言ってユキちゃんを拾い上げ胸ポケットへとしまう香田瀬
「いこ、さつきちゃん」
私もムツキを抱え、駅前のイタリア料理店へと向かった
その夜…
「今日はホントに良かった…」
ムツキが言う
「そうねー、あの店の料理、凄く美味しかったわよね~」
「ううん、そうじゃなくて」
「ん?なにが?」
ムツキの言葉の意味がよく解らない私
「だって、今日の香田瀬さんとさつきちゃん、すごく仲が良かったんだもん」
…え?
そうだ、私とした事が、何アイツの術中にハマってるのよ…
「…そうよね、私としたことが…明日から気を付けないと…」
「はうう…さつきちゃんは、香田瀬さんの事が嫌いなの?」
「そりゃそうよ!なんであんなヤツ…」
「香田瀬さんのドコが嫌いなの?」
「え…そんなの決まってるじゃない…」
私はアイツが嫌いだ。でもなんで…?
「そうよ、アイツ、ユキちゃんにムリなテストをさせたり…」
「そんな事してた?」
「…う」
その通りだった
前にテストしてる所を何度か見たけど、アイツはユキちゃんにムリなテストをさせたりはしてない。むしろ頑張ろうとするユキちゃんを止めてたくらいだった
「ユキちゃんへの態度が冷たいじゃない」
「それだけ?」
「それだけって…」
「ユキちゃんは何とも思ってないよ、そんな事」
「う…でも、嫌いなものは嫌いなの!ほら、さっさと寝なさい!明日も早いんだから!」
「きっと、さつきちゃんも香田瀬さんの事が好きなんだよ」
「そ、そんなわけないでしょ!ヘンなこといってないで、サッサと寝なさい!」
「素直じゃないなぁ…二人とも」
「なんか言った?」
「ううん、おやすみ、さつきちゃん」
「今日はホントに良かった…」
ムツキが言う
「そうねー、あの店の料理、凄く美味しかったわよね~」
「ううん、そうじゃなくて」
「ん?なにが?」
ムツキの言葉の意味がよく解らない私
「だって、今日の香田瀬さんとさつきちゃん、すごく仲が良かったんだもん」
…え?
そうだ、私とした事が、何アイツの術中にハマってるのよ…
「…そうよね、私としたことが…明日から気を付けないと…」
「はうう…さつきちゃんは、香田瀬さんの事が嫌いなの?」
「そりゃそうよ!なんであんなヤツ…」
「香田瀬さんのドコが嫌いなの?」
「え…そんなの決まってるじゃない…」
私はアイツが嫌いだ。でもなんで…?
「そうよ、アイツ、ユキちゃんにムリなテストをさせたり…」
「そんな事してた?」
「…う」
その通りだった
前にテストしてる所を何度か見たけど、アイツはユキちゃんにムリなテストをさせたりはしてない。むしろ頑張ろうとするユキちゃんを止めてたくらいだった
「ユキちゃんへの態度が冷たいじゃない」
「それだけ?」
「それだけって…」
「ユキちゃんは何とも思ってないよ、そんな事」
「う…でも、嫌いなものは嫌いなの!ほら、さっさと寝なさい!明日も早いんだから!」
「きっと、さつきちゃんも香田瀬さんの事が好きなんだよ」
「そ、そんなわけないでしょ!ヘンなこといってないで、サッサと寝なさい!」
「素直じゃないなぁ…二人とも」
「なんか言った?」
「ううん、おやすみ、さつきちゃん」
「まったく…ムツキったら、時間になっても帰ってこないで…」
「あら新道さん。またお迎え?」
「そうみたいです、主任。すいません、ちょっといってきます」
「うふふ、なんだか嬉しそうね…」
「え?」
「ムツキちゃんを迎えにいくのが、よ」
「え、あ、その…いってきます!」
やっぱり私、アイツの事…
…そんなこと…ないってば…
私はアイツが…大嫌い…なんだから…
「あら新道さん。またお迎え?」
「そうみたいです、主任。すいません、ちょっといってきます」
「うふふ、なんだか嬉しそうね…」
「え?」
「ムツキちゃんを迎えにいくのが、よ」
「え、あ、その…いってきます!」
やっぱり私、アイツの事…
…そんなこと…ないってば…
私はアイツが…大嫌い…なんだから…
「え?実験?」
「そ、例の『ヘンデル』試作機の実験。新道さんも見に来ない?」
珍しく愛澤さんから呼ばれたと思ったら、前に見たヤツの試作品が出来たから見にこないか?というものだった
「え、でも私、仕事が…」
「いいわよ、いってらっしゃい。広報として、どんな商品を扱ってるのか見るのも仕事よ」
「ほら、主任もああいってくれてる事だし」
「はい!それでは見学させていただきます!」
「はは、そんな張り切らなくても…」
愛澤さんと一緒に第2実験室へと向かった
「ををー出来てる」
図面で見たのと同じ無骨な機械があった
「んじゃそこで見ててね」
「あれ?愛澤さんは?」
「アレを操作するのがマイなんでね。俺は指示を出さないと」
えーと香田瀬は…と、居た。ちょっと離れた所でPCをいじってる
「…彼は…あそこで…実験結果を…逐一…チェックして…進行を…してるんですよ…」
私の隣には、いつのまにか技術部長がいた
「…気になり…ますか?…」
「…え?」
「…実験…結果…」
「…あ、成功するといいですね」
「…そうですね…でも…なんか…嫌な…予感が…」
「予感、ですか?」
「…私の…予感は…当たるんです…何も…起こらなければ…いいんですが…」
「実験前に不吉な事いわないでください…」
「…ごめんなさい…」
しまった!上司を非難してどーする!
「ああでもでも、勝って兜の緒を締めよともいいますし、やっぱ気を付けないと、あははー!」
「あ、実験始まりますよ」
いつの間にか私の隣に見たこともない男がいた
「…貴方誰?」
「ガーーン!南山です!」
「まぁいいや、それより実験って何するの?」
「うう…今回のは能力実験だよ。重い物を持てるか、それでバランス崩したりしないかってね。あそこのコンクリートブロックを持ってテストするのさ」
「うわっ重そう!」
「大きいのは40㎏あるからね」
ガシッ、ウィーン
「を、上がった上がった」
「よーし、良い感じだマイ。そのまま左右にゆっくり振ってみて」
ウィーンウィーン
「…結構地味なのね…」
「まぁそんなモンさ。でもこういった地味な作業が、堅実な製品を作るのさ」
バランスを全く崩さずにあの重い塊を動かすのって、やっぱ大変なんだろうな
ピキ
「…ん?今なんか音しなかった?」
「え?そうか?」
「よしマイ、もうちょっと強く振って…」
「実験中止!振りをゆっくり止めて、ブロック下ろせ!」
香田瀬が叫んだ
「…え?」
異なる命令に戸惑うマイちゃん。本来なら中止命令が優先なのだろうが、マスターからの指示が出てる為に混乱し、その場で急停止させてしまう
ガキッ!
ブロックの取っ手が折れ、重いブロックが落下する
ドゴォン!ベキッ!
落ちたブロックが割れる。割れた破片が飛んでいく
香田瀬に向かって
「香田瀬!危ない!」
ペキ…
その破片は小さな音を立て、途中で不自然な止まり方をした
破片へと駆け寄る香田瀬
「なんで…」
香田瀬が破片に向かって呟く
「ます…た…ケガは…な…い…デス…カ…」
破片からユキちゃんの声が聞こえる
…なんで?なんでユキちゃんの声がそこから聞こえるの?
バン!
驚き振り向くと、技術部長が実験場から外へ飛び出していた
「バカ野郎!あんなのが人間に当たったってどうって事ないだろ!それよりお前!なんで俺なんかを壊れる危険を冒してまで助けようとする!」
香田瀬の絶叫が響く
そんな…まさか…ユキちゃん…
頭が真っ白になる
「優しい?俺が?そんな訳ないだろ!今まで俺はお前にどんな非道い事をしてきた!」
「ユキ…?ユキ!ユキ!目を覚ませ!これは命令だ!」
「うう…ユキ…ユキ…ううっ…」
香田瀬が…泣いている
バァン…ガラガラ…
技術部長が台車を押して帰ってきた
上には診断ツールと…アタッシュケース?
「落ち着いて下さい、香田瀬君。諦めるのはまだ早いです」
ユキちゃんの診断を始める二人。ここから見る限り、ユキちゃんの状態は…
モニターがほぼ真っ赤だった。赤い所は深刻なダメージを表す。つまり…
「保ってあと12分、それが過ぎれば彼女は死にます」
技術部長の声が響く
「香田瀬、私の体をユキに」
マイちゃんがとんでもないことを言い出す
「私が香田瀬の指示に従っていれば、こんなことにはならなかった」
「…お前のせいじゃない。これはチーフとしての俺の責任だ…それにお前がいなくなったら愛澤はどうなる?今の俺と同じ思いをさせる気か」
「でも素体が無い以上、他に手はない」
「お前を犠牲にしても、ユキは喜ばない…」
「…すまない」
「…そうだ、部長!アレを下さい!」
「…本気ですか香田瀬君。アレがどうい物か知って言ってるんですか?我が社の社運をかけたプロジェクトなのですよ?」
「解っています。途中からとはいえ関わってきましたから」
「それにアレを作るのに幾ら掛かったか解ってます?」
…周囲がざわめく。アレって何?
「アレって…まさか…本当にあったのか!」
隣で南山さんが興奮してる
「ねぇ、アレって何?」
「アレだよアレ!って、今年入った新道さんじゃ知らないか。以前ウチで研究してたんだけど、凍結してた計画があったんだ」
ピーッ、ガシュッ、ブシュー
音に驚き振り返る。あ、あれはさっき診断ケースと一緒にもってきてた…
「我が社の持てる技術の全てを投入して作った新素体「白雪姫」です」
「マジか!完成してたってのか!香田瀬のヤツがアレを完成させるためにスカウトされたって噂は本当だったんだ!」
「でも素体があっても組み替える時間なんて…」
「アイツなら出来るさ」
「スゴイ…」
素人目でみても解る。アイツの速さが尋常では無い事が
「嘘だろ…機体中枢の換装をたった4分で終わらせるなんて…」
愛澤さんでさえ驚いている
あれ、でもユキちゃんが動かない…
「…昔から…眠れるお姫様を…起こすのは…王子様の…キス…」
技術部長が飛んでもないことを言い出す
いくらなんでもあの香田瀬がする訳…
ちゅっ
…してるし
「う、う~ん」
あ、起きた!よかったぁ…
「ユキ、今まで済まなかった…俺が愚かだったばっかりに、お前に非道い事ばかりして…」
「香田瀬さんは、ようやく自分の気持ちに素直になれたのですね…」
「ムツキ…どういうこと?」
「前に愛澤さんから聞いた事があったんです。香田瀬さんほどの神姫好きもそう居ない、香田瀬さんが認めたがらないだけ、って」
「そっか、アイツ自身が「自分は神姫が嫌い」だって思い込んでただけなのね…」
「さつきちゃんも自分に素直になったら?」
「え?」
「好きなんでしょ、香田瀬さんの事。でも嫌いだって思い込もうとしてる」
「え…でも…今更…」
「さつきちゃんの良い所は、思い込んだら突き進む所じゃないの?」
「そうかな…」
私の…気持ち…
「そ、例の『ヘンデル』試作機の実験。新道さんも見に来ない?」
珍しく愛澤さんから呼ばれたと思ったら、前に見たヤツの試作品が出来たから見にこないか?というものだった
「え、でも私、仕事が…」
「いいわよ、いってらっしゃい。広報として、どんな商品を扱ってるのか見るのも仕事よ」
「ほら、主任もああいってくれてる事だし」
「はい!それでは見学させていただきます!」
「はは、そんな張り切らなくても…」
愛澤さんと一緒に第2実験室へと向かった
「ををー出来てる」
図面で見たのと同じ無骨な機械があった
「んじゃそこで見ててね」
「あれ?愛澤さんは?」
「アレを操作するのがマイなんでね。俺は指示を出さないと」
えーと香田瀬は…と、居た。ちょっと離れた所でPCをいじってる
「…彼は…あそこで…実験結果を…逐一…チェックして…進行を…してるんですよ…」
私の隣には、いつのまにか技術部長がいた
「…気になり…ますか?…」
「…え?」
「…実験…結果…」
「…あ、成功するといいですね」
「…そうですね…でも…なんか…嫌な…予感が…」
「予感、ですか?」
「…私の…予感は…当たるんです…何も…起こらなければ…いいんですが…」
「実験前に不吉な事いわないでください…」
「…ごめんなさい…」
しまった!上司を非難してどーする!
「ああでもでも、勝って兜の緒を締めよともいいますし、やっぱ気を付けないと、あははー!」
「あ、実験始まりますよ」
いつの間にか私の隣に見たこともない男がいた
「…貴方誰?」
「ガーーン!南山です!」
「まぁいいや、それより実験って何するの?」
「うう…今回のは能力実験だよ。重い物を持てるか、それでバランス崩したりしないかってね。あそこのコンクリートブロックを持ってテストするのさ」
「うわっ重そう!」
「大きいのは40㎏あるからね」
ガシッ、ウィーン
「を、上がった上がった」
「よーし、良い感じだマイ。そのまま左右にゆっくり振ってみて」
ウィーンウィーン
「…結構地味なのね…」
「まぁそんなモンさ。でもこういった地味な作業が、堅実な製品を作るのさ」
バランスを全く崩さずにあの重い塊を動かすのって、やっぱ大変なんだろうな
ピキ
「…ん?今なんか音しなかった?」
「え?そうか?」
「よしマイ、もうちょっと強く振って…」
「実験中止!振りをゆっくり止めて、ブロック下ろせ!」
香田瀬が叫んだ
「…え?」
異なる命令に戸惑うマイちゃん。本来なら中止命令が優先なのだろうが、マスターからの指示が出てる為に混乱し、その場で急停止させてしまう
ガキッ!
ブロックの取っ手が折れ、重いブロックが落下する
ドゴォン!ベキッ!
落ちたブロックが割れる。割れた破片が飛んでいく
香田瀬に向かって
「香田瀬!危ない!」
ペキ…
その破片は小さな音を立て、途中で不自然な止まり方をした
破片へと駆け寄る香田瀬
「なんで…」
香田瀬が破片に向かって呟く
「ます…た…ケガは…な…い…デス…カ…」
破片からユキちゃんの声が聞こえる
…なんで?なんでユキちゃんの声がそこから聞こえるの?
バン!
驚き振り向くと、技術部長が実験場から外へ飛び出していた
「バカ野郎!あんなのが人間に当たったってどうって事ないだろ!それよりお前!なんで俺なんかを壊れる危険を冒してまで助けようとする!」
香田瀬の絶叫が響く
そんな…まさか…ユキちゃん…
頭が真っ白になる
「優しい?俺が?そんな訳ないだろ!今まで俺はお前にどんな非道い事をしてきた!」
「ユキ…?ユキ!ユキ!目を覚ませ!これは命令だ!」
「うう…ユキ…ユキ…ううっ…」
香田瀬が…泣いている
バァン…ガラガラ…
技術部長が台車を押して帰ってきた
上には診断ツールと…アタッシュケース?
「落ち着いて下さい、香田瀬君。諦めるのはまだ早いです」
ユキちゃんの診断を始める二人。ここから見る限り、ユキちゃんの状態は…
モニターがほぼ真っ赤だった。赤い所は深刻なダメージを表す。つまり…
「保ってあと12分、それが過ぎれば彼女は死にます」
技術部長の声が響く
「香田瀬、私の体をユキに」
マイちゃんがとんでもないことを言い出す
「私が香田瀬の指示に従っていれば、こんなことにはならなかった」
「…お前のせいじゃない。これはチーフとしての俺の責任だ…それにお前がいなくなったら愛澤はどうなる?今の俺と同じ思いをさせる気か」
「でも素体が無い以上、他に手はない」
「お前を犠牲にしても、ユキは喜ばない…」
「…すまない」
「…そうだ、部長!アレを下さい!」
「…本気ですか香田瀬君。アレがどうい物か知って言ってるんですか?我が社の社運をかけたプロジェクトなのですよ?」
「解っています。途中からとはいえ関わってきましたから」
「それにアレを作るのに幾ら掛かったか解ってます?」
…周囲がざわめく。アレって何?
「アレって…まさか…本当にあったのか!」
隣で南山さんが興奮してる
「ねぇ、アレって何?」
「アレだよアレ!って、今年入った新道さんじゃ知らないか。以前ウチで研究してたんだけど、凍結してた計画があったんだ」
ピーッ、ガシュッ、ブシュー
音に驚き振り返る。あ、あれはさっき診断ケースと一緒にもってきてた…
「我が社の持てる技術の全てを投入して作った新素体「白雪姫」です」
「マジか!完成してたってのか!香田瀬のヤツがアレを完成させるためにスカウトされたって噂は本当だったんだ!」
「でも素体があっても組み替える時間なんて…」
「アイツなら出来るさ」
「スゴイ…」
素人目でみても解る。アイツの速さが尋常では無い事が
「嘘だろ…機体中枢の換装をたった4分で終わらせるなんて…」
愛澤さんでさえ驚いている
あれ、でもユキちゃんが動かない…
「…昔から…眠れるお姫様を…起こすのは…王子様の…キス…」
技術部長が飛んでもないことを言い出す
いくらなんでもあの香田瀬がする訳…
ちゅっ
…してるし
「う、う~ん」
あ、起きた!よかったぁ…
「ユキ、今まで済まなかった…俺が愚かだったばっかりに、お前に非道い事ばかりして…」
「香田瀬さんは、ようやく自分の気持ちに素直になれたのですね…」
「ムツキ…どういうこと?」
「前に愛澤さんから聞いた事があったんです。香田瀬さんほどの神姫好きもそう居ない、香田瀬さんが認めたがらないだけ、って」
「そっか、アイツ自身が「自分は神姫が嫌い」だって思い込んでただけなのね…」
「さつきちゃんも自分に素直になったら?」
「え?」
「好きなんでしょ、香田瀬さんの事。でも嫌いだって思い込もうとしてる」
「え…でも…今更…」
「さつきちゃんの良い所は、思い込んだら突き進む所じゃないの?」
「そうかな…」
私の…気持ち…
「どうした新道、こんなとこに呼び出して」
あれから数日後、私は香田瀬を呼び出した
「まずは謝らないとね。ごめんなさい。私、貴方という人を誤解してました。そして貴方にさんざん悪口を言いました、ごめんなさい」
「お…おい…」
私の懺悔に戸惑う香田瀬…いや、健四郎さん
「いままで先輩の貴方を呼び捨てにしててごめんなさい。ムツキを助けて貰ったのにお礼もいわないでごめんなさい。そしてありがとうございました」
「どうした?なんか悪いモンでも喰ったか?」
「そして健四郎さん、ここからが貴方を呼びだした本題です」
「…なんだ?」
身構える健四郎さん
「健四郎さん、私は貴方が大好きです。つき合ってください」
沈黙、そりゃそうだろう。今までさんざん罵られてきた相手から告白なんてされれば
「俺も…新道の事は嫌いじゃない…。でも、お前の気持ちには答えられない…すまん」
「…わかってます、ユキさんがいますもんね。ただ、私の気持ちを伝えたかったんです」
「新道…」
「でも最後に1つだけ、私の我が侭を聞いていただけませんか?」
「…俺に出来ることなら」
あれから数日後、私は香田瀬を呼び出した
「まずは謝らないとね。ごめんなさい。私、貴方という人を誤解してました。そして貴方にさんざん悪口を言いました、ごめんなさい」
「お…おい…」
私の懺悔に戸惑う香田瀬…いや、健四郎さん
「いままで先輩の貴方を呼び捨てにしててごめんなさい。ムツキを助けて貰ったのにお礼もいわないでごめんなさい。そしてありがとうございました」
「どうした?なんか悪いモンでも喰ったか?」
「そして健四郎さん、ここからが貴方を呼びだした本題です」
「…なんだ?」
身構える健四郎さん
「健四郎さん、私は貴方が大好きです。つき合ってください」
沈黙、そりゃそうだろう。今までさんざん罵られてきた相手から告白なんてされれば
「俺も…新道の事は嫌いじゃない…。でも、お前の気持ちには答えられない…すまん」
「…わかってます、ユキさんがいますもんね。ただ、私の気持ちを伝えたかったんです」
「新道…」
「でも最後に1つだけ、私の我が侭を聞いていただけませんか?」
「…俺に出来ることなら」
「今度の日曜日、私とデートしてください」
あとがき
続く!