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第3幕「同じ錯角が生じる位置」




 結城セツナが焔に対して海神の戦闘データを移植した理由は、やはり恐れからだったのだろう。
 海神に対して道具としてしか接していなかった彼女だから、焔と新たな関係を構築する為に何をどうしていいのか未だ分かっていなかった。
 だから――
だからデータの移植を行った。
 それは焔が強く望んだ事だし、その望みをはねつける事で焔との間に歪みを生みたくなかった。
 そうじゃなければこんな、あの不愉快な従兄殿のやり口を連想させる事など、やりはしない。
 神姫の個性までをも無視するあの行為には、さすがに以前のセツナも嫌悪感を覚えた。
 ましてや自分の心を自覚した今となっては……



「このバトルに勝利すれば、セカンド・リーグへの昇級資格を得ることができるわ」
「はい! 絶対に勝ってきます!!」
 セツナと焔はお互いにぎこちない笑顔で向き合った。
 実際にこの試合にかける意気込みは、両者の間で大きく食い違っている。
 意欲を見せる焔とは違い、セツナは未だ焔のセカンド・リーグ入りを熱望してはいない。
 マスターであるセツナとその神姫である焔の間にある温度差。
 その差異を感じる事は確かに出来るのに、その原因を感じ取る事が出来ないもどかしさ。
 そんな思いを抱えたまま、セツナは筐体に焔をセットする。
 焔の知覚の全てがその体より失われ、仮想空間に新たな心身を再構成させる。
 ステージは砂漠。
 焔に対峙する影はTYPE SANTA CLAUS ツガル。
 そしてその奥のオーナーブースにいるのは見知った顔だった。
『よーう、結城。どうしたよ、その神姫』
 一つ年下の、妙になれなれしい友人がそこにいた。
「式部君……なんでアナタが?」
『それはこっちのセリフだろ? セカンドランカーのオーナー様が何でサードリーグに顔出してんのさ?』
 式部のその言葉に、仮想空間にいる焔がかすかに震える。
「……アナタには関係ないでしょう?」
『かぁぁーっ…… 相変わらず友達甲斐のねー女だなぁ!』
「うるさい」
 なんとなく、焔の前で海神の事を話題に出してはいけない気がして、セツナは言葉を濁した。
『ま、いっか。お手柔らかに頼むぜ』
 この時ほど、式部のこだわらない性格に感謝した事はない。
「私も、余裕があるわけじゃないけど、ね」
 セツナは誰にも、焔にさえ聞こえないように呟いた。



 ここで本当に注視しなければならないのは式部敦詞(しきぶ・あつし)のおおらかな性格ではなく、察しのいい感性だろう。
 彼はすばやく己が神姫、きらりに海神の事は口にしないよう指示した。
 外見は二枚目半、中身はおもしろおかしく、根本では和を重んじ義に篤い。それがこの青年である。
 そんな敦詞だから、幾度も友人の藤原雪那を精神的に支え、そして同じく友人であるセツナの少ない言葉で何かを感じ取れたのだ。
 ただし、そんな彼だからこそ、異性から見て『お友達』または『いい人』止まりであることも記しておく。
「ほっとけ!」

 閑話休題

 何はともあれ、その仮想空間には焔ときらりの二つの神姫だけがいた。
 砂漠の上では地上戦は不利ときらりは空を翔る。
 見た目はデフォルトとまるで差異の無いそのツガルが、実際にはまるで別物だという事をセツナは良く知っていた。
「焔、油断しないで。あの娘はツガルとは別物よ」
『了解です』
 セツナも焔も、落ち着いた感で言葉を交わした。
 対する焔の装備は以下のものだ。
 他装甲と同色にリペイントされた頭甲・咆皇。
 胴には大鎧を意匠した蘇芳之胴と軽装の茜之草摺。
 胴より繋がる右肩は軽量の茜之肩当。左肩には重装の蘇芳之肩当。
 その先の前腕部には紅蓮之籠手を一揃え。
 右腿部のみに蘇芳之腿当つけ、両の足に朱雀之臑当を身につける。
 それに外套を身に付け、武器は右腕に握られた斬破刀“多々良”一振りのみ、という出で立ちである。
 なんともチグハグな武装だった。
 その焔も、マントの中より黒き翼をはためかせる。
 二体の神姫は砂漠の空へと舞った。
 お互いの距離は未だ遠く、通常より長いとはいえ刀の一振りしか持たない焔には攻撃のしようが無い。
 一方きらりは一定距離を保とうと飛行しながらも、両手にホーンスナイパーライフルを構えた。
「気をつけて。見た目は同じでも、あの娘の右の銃は別物よ!」
 そのセツナの言葉を裏付けるかのように、無数の弾丸が焔めがけて襲い掛かる。連射性に欠けるスナイパーライフルでそれはありえない。命中性能は下がるようだが、牽制としての使用ならば弾丸は散った方が効果的だ。
 焔は黒き翼を大きく羽ばたかせ更に上空へと自身の体を運ぶ。
 ライフルから撃ち出される弾丸の貫通力程度では、焔の身に着けた蘇芳之胴を貫く事は出来ない。が、だからといってわざわざ当たりに行く必要も無い。
 少なくとも、今はまだそんな無茶をする時ではない。
「左手の銃は貫通威力の高い弾が込められているスナイパーライフルだから気を付けて」
『分かりました』
 やはりここでも、セツナの言葉は正しかった。
 きらりは右腕のライフルで弾幕を張りながら、左手のライフルを器用に操作している。
 貫通効果が期待出来ない大量の弾丸の、何十発に一発でしかない割合ではあるが、当たれば即負け決定の威力がある弾丸が混じっているのだから弾幕ごと避けるしかない。
 だが逃げるだけでは相手との距離を縮める事は出来なかった。
『ご主人! このままでは……』
 焦れた様子で焔が言う。この状況を打開する方法が、現状のままでは見つからない。
 未だに「なんとしても勝たなければ」という気にはならないが、それでも手を残したまま負けるのは趣味ではない。
「仕方ない……か。焔、悪魔の翼を送るから、展開して」
『了解です』
 セツナはサイドボードに悪魔の翼をセットする。
すると、外套の中より更なる翼が姿を現す。悪魔の翼という名のその翼は、白き翼、黒き翼よりも鋭角的な動きを可能とさせる飛行用パーツだ。
 二種類の翼の効果か、焔の動きが機敏になる。
 弾幕を避け、そしてそれでも被我距離を縮める。
『さすがっ! セツナさんの神姫だけの事はっ!!』
『――関係無いっ!』
「…………」
 きらりの言葉に答えた焔のその言葉は、セツナの心にチクリと痛みを与える。
 そんなセツナの思いを置いて、戦いは続く。
 牽制を諦めたのか、きらりは二丁のライフルを腰部アーマーに増設した簡易ハードポイントに装着させる。
 そして新たに背部よりフォービドブレイドを二振り取り出す。
 次の瞬間、きらりは焔に突進した。
『自分のオーナーとの関わりを『関係ない』と言ってしまうような人は――好きじゃないわ!!』
『な……何を!?』
 とっさの事に焔の反応はわずかに遅れる。しかしその間も、焔は対処法を考えていた。
 実際自分が経験した事ではないが、それでも海神のデータは自身が経験したかのような確実さで焔を支えている。
 しかし――
「焔! 離れて!!」
 焔が導き出した行動と真逆の指示をセツナは出した。
 だがそのセツナの言葉を意識的に焔は無視する。
 その焔の心中がどうであったかなど、セツナに読み取る事は出来ない。
『……………………』
 きらりが何か言った気がした。が、その言葉はセツナにも、焔にも聞き取る事が出来ない。
 きらりは一振りのフォービドブレイドで焔の斬破刀“多々良”を受け止めると、剣の交わった点を支点とし、クルリと回転しながら焔の懐に入り込む。
 白兵距離以下の、こんな超々至近距離――まさに顔が触れ合んばかりの距離では“多々良”を振るう事も出来ない。でもそれはきらりも同じ条件なはずだ。この距離ではフォービドブレイドは有効に使えない。
 はずだった。
『次に戦うときは、なぜオーナーと一緒に戦うのかを考えてからにしてね』
 きらりはフォービドブレイドを二分割し、短刀部分を焔の鎧の隙間に差し込んだ。
 敦詞はフォービドブレイドにも手を加えていたのだった。



「……………………」
「……………………」
 お互いの間に、なんともいえない空気が流れる。
 しかしセツナは自分に負い目があるので何も口で出せずにいた。
 やはり自分はこの娘に、焔に信頼されてはいないのだろう。
 そう結論付けてしまうほどにしか、神姫との付き合い方を学んではいないのだ。
 そして自身が導いたその答えに、セツナは悲しくなる。
 でも……
 セツナは俯いて何も言わない焔を見て思う。
 たとえ焔に信頼されていなくても、それでも私は焔と友達になりたい。
 心からそう思った。

 今はまだ、お互い交わる事無い平行線上に立っていたとしても、いつか笑い合えると信じて。


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