弁慶の日課
人間用の扉の端に作られた扉を開く。神姫用に作られたとはいえ、結構重い。
「ぐ、ふんっ」
途中まで開いた所でめんどくさくなったので足で思い切り蹴飛ばした。
「ふ、日和」
この時期にしては珍しくさんさんと降り注ぐ太陽。この屋上からの景色は最高だ。ここは私立黒葉学園。千空が通っているやたらでかい学校だ。神姫同伴が可能で、有志によって神姫用の設備も整っている。時代はあの時、第一話?から半年ほど経過、千空はもうすぐ二年だ。
そして自分はここでいつもの日課をやっている。
「お、またきやがったなーじゃ、頼むぜ~」
「ん?またお前」
目の前にはツガルタイプの神姫が寝転んでいる。三学期が始まってしばらくたったある日からいつもここで寝ている奴だ。
こいつの名前?知るかそんなもの。
あ?じゃあお前は誰だって?弁慶だ。弁慶。分かったか?
「気分よく眠れる奴を頼むぜ」
「お前に聞かせるためじゃない」
「いいじゃねぇか別に」
「聴け」
「へいへい」
「ふん」
「あ、そーいやさー?」
「あ?」
「お前いつもここに来るけどさぁマスターがうるさいとかなのか?」
「何言ってる?」
「いや、べつにぃ~」
「…邪魔…悪い」
「へぇ!」
起き上がるツガルタイプ。
「なんだ」
「お前そんな気ぃとか使える奴だったのかよ?」
「殴る」
「おっと、バトルはセンターでだぜ?」
「寝ろ」
「へいへい」
「ふんっ!」
一気に飛び上がって屋上の更に上、貯水タンクの上まで行く。ここに来るとまるで飛んでいるような、そんな気分になる。街の景色も一望できるし、なにより…
「まだかぁ~い?」
く、この野郎。
「うるさい」
「はいよっ」
「ふぅ」
背負っていたケースから愛器を取り出す。こいつの元の名前とかそんなのは知らないが、とりあえずこいつは「ハウリングギグ」と名付けてやった。こいつも嬉しいだろう。そうに違いない。
さて…。
「♪~~」
さっそく弦を弾いて奏でる。ここでギターを弾く…それが趣味だ。
意外か?そうかもな…。だが笑ったら…どうなるか分かっているだろうな?
っと、いけない。こういうのは穏やかでなくてはな。
「そうそうこれこれ」
雲が動き、流れる。時も流れ、過ぎ行く。今頃京都は店で忙しく動き回っているだろうな。エルゴの店長は…まぁいつも通りか…。未来は義経と真面目にやっているはずだ。ハンゾーは寝てるな。美琴もか。ま、出来るから寝るのと出来ないから寝るのではまったく違うがな。
「ぐ、ふんっ」
途中まで開いた所でめんどくさくなったので足で思い切り蹴飛ばした。
「ふ、日和」
この時期にしては珍しくさんさんと降り注ぐ太陽。この屋上からの景色は最高だ。ここは私立黒葉学園。千空が通っているやたらでかい学校だ。神姫同伴が可能で、有志によって神姫用の設備も整っている。時代はあの時、第一話?から半年ほど経過、千空はもうすぐ二年だ。
そして自分はここでいつもの日課をやっている。
「お、またきやがったなーじゃ、頼むぜ~」
「ん?またお前」
目の前にはツガルタイプの神姫が寝転んでいる。三学期が始まってしばらくたったある日からいつもここで寝ている奴だ。
こいつの名前?知るかそんなもの。
あ?じゃあお前は誰だって?弁慶だ。弁慶。分かったか?
「気分よく眠れる奴を頼むぜ」
「お前に聞かせるためじゃない」
「いいじゃねぇか別に」
「聴け」
「へいへい」
「ふん」
「あ、そーいやさー?」
「あ?」
「お前いつもここに来るけどさぁマスターがうるさいとかなのか?」
「何言ってる?」
「いや、べつにぃ~」
「…邪魔…悪い」
「へぇ!」
起き上がるツガルタイプ。
「なんだ」
「お前そんな気ぃとか使える奴だったのかよ?」
「殴る」
「おっと、バトルはセンターでだぜ?」
「寝ろ」
「へいへい」
「ふんっ!」
一気に飛び上がって屋上の更に上、貯水タンクの上まで行く。ここに来るとまるで飛んでいるような、そんな気分になる。街の景色も一望できるし、なにより…
「まだかぁ~い?」
く、この野郎。
「うるさい」
「はいよっ」
「ふぅ」
背負っていたケースから愛器を取り出す。こいつの元の名前とかそんなのは知らないが、とりあえずこいつは「ハウリングギグ」と名付けてやった。こいつも嬉しいだろう。そうに違いない。
さて…。
「♪~~」
さっそく弦を弾いて奏でる。ここでギターを弾く…それが趣味だ。
意外か?そうかもな…。だが笑ったら…どうなるか分かっているだろうな?
っと、いけない。こういうのは穏やかでなくてはな。
「そうそうこれこれ」
雲が動き、流れる。時も流れ、過ぎ行く。今頃京都は店で忙しく動き回っているだろうな。エルゴの店長は…まぁいつも通りか…。未来は義経と真面目にやっているはずだ。ハンゾーは寝てるな。美琴もか。ま、出来るから寝るのと出来ないから寝るのではまったく違うがな。
「へっくし」
「ん?ハンゾー、どうした?」
「いや、なんでもねぇ」
「ん?ハンゾー、どうした?」
「いや、なんでもねぇ」
晴明はクオウを叩き起こして…いや、今はきっと体育の時間か。なんか歓声が聞こえる…。
ミーシャや十兵衛も色々頑張ったりしているんだろうな。
「く~」
「…」
奴はもう寝てしまったらしい。まぁ静かな方がいいさ。
しかし…それなりに形になったものだ。始めは左右逆に持っていたっけ。音が全然おかしいものだから「何だこれは?」と訊いたら「逆だよ弁慶?」と千空に言われた。まぁ恥ずかしかったさ。だがそれからはどんどん手に馴染んでいったし。これがきっかけの出会いもある。相変わらずなんだろうな…あいつも。
そうそう、もう少しでセカンドに昇格だ。長かった…やっと十兵衛に追いつけるかも。
というか…神姫部の奴らに追いつきたい。この弁慶が一番最後とはまったく千空は優しすぎるからこういうことに…。まぁいい。
「♪~」
その音は風の様に、その音は細波の様に、その音は陽だまりのように…。自分の体と周りの世界を包み込む。響け大空に、届けお前らに…。
ミーシャや十兵衛も色々頑張ったりしているんだろうな。
「く~」
「…」
奴はもう寝てしまったらしい。まぁ静かな方がいいさ。
しかし…それなりに形になったものだ。始めは左右逆に持っていたっけ。音が全然おかしいものだから「何だこれは?」と訊いたら「逆だよ弁慶?」と千空に言われた。まぁ恥ずかしかったさ。だがそれからはどんどん手に馴染んでいったし。これがきっかけの出会いもある。相変わらずなんだろうな…あいつも。
そうそう、もう少しでセカンドに昇格だ。長かった…やっと十兵衛に追いつけるかも。
というか…神姫部の奴らに追いつきたい。この弁慶が一番最後とはまったく千空は優しすぎるからこういうことに…。まぁいい。
「♪~」
その音は風の様に、その音は細波の様に、その音は陽だまりのように…。自分の体と周りの世界を包み込む。響け大空に、届けお前らに…。
キーンコーンカーンコーン…
学園中、そして町中に木霊ずる鐘の音色。
「戻るか」
身支度済ませ、降り立つ。
「…」
「く~」
「ちっ」
仕方ない、もう一仕事だ。
学園中、そして町中に木霊ずる鐘の音色。
「戻るか」
身支度済ませ、降り立つ。
「…」
「く~」
「ちっ」
仕方ない、もう一仕事だ。
「…おい、起きろ」