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第一話 それは始まり


「はっはぁ!どうしたどうした!逃げろ逃げろ!」
「…」
大地を蹴りつける鋼鉄の獣。名を弁慶と言う…その姿は非常にシンプルであり、両手にハンドガン「カロッテP12」背中にアーミーブレードを二本。ついでに左足にもう一本装備していた。それだけである。完全に近距離特化の構成。しかし対峙している敵は空にいた。
ハンドガンの弾丸は届かず、もちろん自身が跳んでも届かない。一方的に撃たれまくっていた。
「弁慶、大丈夫ですか?」
通信が入る。味方の「義経」だ。今回のバトルはタッグマッチ…相手は白き翼の天使型が二体。こちらは高機動型の悪魔型「義経」そして犬型の「弁慶」勝負は相手方が有利なまま進んでいく…。

「あたれあたれぇ!」
さっきからひっきりなしにありったけの砲弾の雨を降らす天使型。
「…なんだあいつ」
弁慶は思わず愚痴ってた。
「大丈夫?弁慶?」
ちょっと心配になって声をかけてみる。
「問題ない。当たらない」
「だね」
良かった。問題ないみたい。
「義経は?」
「うん、大丈夫だよ。ちーちゃん」
「異常なしです。勝機はあります」
「違う、勝つ」
「分かってますよ。弁慶」
「仕掛ける」
「了解」
ステージは高層ビル街。弁慶はさっきから後ろにピタリと取り付かれたまま一方的に撃たれてる。ちょっとまずいかな?
「千空」
「?なに?」
「任せろ」
心の中読んだのかな…?
「良いから任せろ」
「わかった」
「…いくぞ」
ドン!
舗装された道路に走る亀裂の大きさが増し、弁慶の速度が上がっていく。目指しているのは…多分目の前の超高層タワー。
「まてぇ!」
「待つか」
弁慶は降り注ぐ雨を軽々と掻い潜り、雨宿りをしつつ目的地に到着する。そして
「アイン!ツヴァイ!ドライ!」
装備していた三本のアーミーブレードを投擲。壁に等間隔に突き刺していく。
「は?何をしてる!」
「うるさい」
「なんだってぇぇ!!」
勢いを増す嵐。
「ふんっ!」
弁慶はその脚力で一気にジャンプする。
「僕に届くと思ってるのかい?ははは…は!?」
天使型は驚いていた。何に驚いたのかと言うと…ジャンプした先にある物の使い方だった。
あるはずの無い足場がそこにはあった。それはさっきまでアーミーブレードだったもの。
「はっふんっとぅ!」
三本のアーミーブレードを駆使して一気に駆け上がる弁慶。
「な、でも僕には勝てないよ!これで届かないさ!」
天使型は更に上昇していく。弁慶には三本分のブレードしか足場が無いからそこまでしか上れない。だからそれ以上上がってしまえばまったく脅威になることは無い。
はずだった。
「!?」
弁慶はすぐそこまで上ってきていた。あるはずの無いアーミーブレードがどんどん壁に突き刺さり、足場を形成していく。
「な、なんだ!」
「手が止まってる」
「ひ」
目の前に弁慶の姿。そして下から上がってくるアーミーブレード。なんだか分からなかった。
「墜ちろ」
「!」
天使型に強い衝撃。弁慶の踵落としが決まる。普通ならそのまま落下するはずの二人…。
でも落ちたのは天使型だけだった。
弁慶はと言うと…アーミーブレードにくくりつけていた首輪型アンカーで自らの体を支えていた。いつもは首につけているこのアンカーは戦闘時は右腕につけられて、弁慶の第三の手となる。このタワーを上がってきた時もそう、このアンカーで引き寄せては突き刺しを繰り返していたのだ。
「…仕上げ」
 壁からアーミーブレードを全て引き抜き、重力に身を任せる。
「右、左」
今度はアーミーブレードを真下に投下。杭となって、倒れている天使型の翼を地面に縛り付ける。
え?さっきから投げては引き戻してまた投げるの繰り返しじゃないかって?そうだよ?弁慶にとってアーミーブレードはほとんど剣として機能して無い。
弁慶の真価はこの「ブレード投げ」にある。
「なんとなくカッコイイ」と言う一言から極めだしたこの技も結構板についてきたかも。
「ぐ、う、うごけな…うあぁ!!」
そして止めの一つがこれ。二本のアーミーブレードで相手を固定。左足に装着しなおした三本目のアーミーブレードと共に全体重を乗せた技。
「ロンギヌスニーキック…!」
あたりにとどろく轟音。ガレキで上がった靄の中から跪いたままの弁慶が姿を現す。
埃を払いつついつもの一言。勝利の台詞
「決まった…」
「まったく、味方を心配に思う心は良いですが、余所見はいけませんね」
義経の声だ。
「ひ!」
『試合終了、勝者弁慶、義経組』
相手の悲鳴と共に試合が終了した。

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