姦し神姫──あるいはトレーニング
長女アルマと次女ロッテ、更に三女クララ。賑やかになった物だ。
だがこれ以上養い切れぬし、事実上私達はこの四人で生きるのだ。
そうと決まれば拘りたいのは……衣装だな。ツッコミは禁止だぞ?
だがこれ以上養い切れぬし、事実上私達はこの四人で生きるのだ。
そうと決まれば拘りたいのは……衣装だな。ツッコミは禁止だぞ?
「というわけで、今日はお前達の基本姿を整えようと思うッ!」
「はいですの~♪でもマイスター、これ脱いじゃうんですの?」
「機能性も十分だし、重ね着も出来て……勿体ないと思うけど」
「うんと。そ、そうですよっ。あたしは別にお下がりでも……」
「はいですの~♪でもマイスター、これ脱いじゃうんですの?」
「機能性も十分だし、重ね着も出来て……勿体ないと思うけど」
「うんと。そ、そうですよっ。あたしは別にお下がりでも……」
皆が不平を言うのも無理はない。私がロッテに元来与えていたのは
万能アンダースーツとしては勿論、夏場はジャケットとして使える
少々SF気味なデザインの、神姫専用アーマージャケットなのだ。
既存・自作を問わず大半の戦闘用アーマーと併用可能である上に、
MMS用共通ジョイントを20%程増やす効果もある、自信作だ。
万能アンダースーツとしては勿論、夏場はジャケットとして使える
少々SF気味なデザインの、神姫専用アーマージャケットなのだ。
既存・自作を問わず大半の戦闘用アーマーと併用可能である上に、
MMS用共通ジョイントを20%程増やす効果もある、自信作だ。
「有無。私としてもこれを廃棄してしまうのは少々惜しい、そこで!」
「そこで……?んっと、ただのお下がりじゃなくて、ひょっとして?」
「……皆の適性に応じてリビルド、ついでにリペイント……かなッ?」
「え、えええっ!?え、ええっと、あの。いいんですか、そんなの!」
「そこで……?んっと、ただのお下がりじゃなくて、ひょっとして?」
「……皆の適性に応じてリビルド、ついでにリペイント……かなッ?」
「え、えええっ!?え、ええっと、あの。いいんですか、そんなの!」
勿論構わぬ、とアルマを優しく撫でる私。青はロッテの色であるし、
クララは緑中心。継ぎ接ぎから生まれ変わったアルマは赤ベースだ。
この二人に、無理に蒼いジャケットを着せても浮いてしまうだろう。
それに、このジャケットに秘めた機能を考えれば……再調整は必須!
クララは緑中心。継ぎ接ぎから生まれ変わったアルマは赤ベースだ。
この二人に、無理に蒼いジャケットを着せても浮いてしまうだろう。
それに、このジャケットに秘めた機能を考えれば……再調整は必須!
「というわけで、早速ながらお前達三人の為にプレゼントしよう」
「わ、ぁ……桜色が綺麗。有り難うございます、マイスターっ!」
「マイスター。これひょっとして、ボク達三人とも機能が違う?」
「あ、クララは気付いたみたいですの。とっておきの秘密です♪」
「察しがいいな。ちなみにロッテの奴も、今までとは違う機能だ」
「わ、ぁ……桜色が綺麗。有り難うございます、マイスターっ!」
「マイスター。これひょっとして、ボク達三人とも機能が違う?」
「あ、クララは気付いたみたいですの。とっておきの秘密です♪」
「察しがいいな。ちなみにロッテの奴も、今までとは違う機能だ」
きゃいきゃい、と新しい衣装にはしゃぐ三人の神姫。こういう光景は
いつ見ても眩しくて良い。作ってよかったと自分で思うぞ、本当に!
ただ三人は気付いた様だが、このジャケットには仕掛けがあるのだ。
それを使いこなす特訓の為に、ウレタン製のトレーニングルームへと
三人を連れて行く。シングルベッドを増設したクレイドルの横だが。
ちなみに診察室や四人用の炬燵も増設した。無論、東杜田技研製だ。
いつ見ても眩しくて良い。作ってよかったと自分で思うぞ、本当に!
ただ三人は気付いた様だが、このジャケットには仕掛けがあるのだ。
それを使いこなす特訓の為に、ウレタン製のトレーニングルームへと
三人を連れて行く。シングルベッドを増設したクレイドルの横だが。
ちなみに診察室や四人用の炬燵も増設した。無論、東杜田技研製だ。
「え、えっと……うんと。マイスター、ここは一体……?」
「うむ、その服を試す為のブースだと思ってくれればいい」
「……アルマお姉ちゃん、コード:A-10-254をONにして?」
「え?う、うん……きゃあぁっ!?えと、これって……!」
「うむ、その服を試す為のブースだと思ってくれればいい」
「……アルマお姉ちゃん、コード:A-10-254をONにして?」
「え?う、うん……きゃあぁっ!?えと、これって……!」
クララの助言に従った刹那、背中から噴き出す圧縮ガスによって
前に突き飛ばされ、つんのめりそうになりながらも走るアルマ。
初回で転ばずに済むとは、流石はストラーフタイプの運動性能!
そう、この服には瞬発性の小型ブースターが仕込んであるのだ。
本来は危機回避や突撃の為に仕込んだギミックだが、画一的では
役に立たないと思ってな。今回バリエーションを増やしたのだ。
前に突き飛ばされ、つんのめりそうになりながらも走るアルマ。
初回で転ばずに済むとは、流石はストラーフタイプの運動性能!
そう、この服には瞬発性の小型ブースターが仕込んであるのだ。
本来は危機回避や突撃の為に仕込んだギミックだが、画一的では
役に立たないと思ってな。今回バリエーションを増やしたのだ。
「アルマのタイプは“急速前進”。以前のロッテ用だな、有無」
「ロッテちゃんの、ですか?……ダッシュには、都合良いかも」
「じゃあマイスター、わたしの機能は今度何になりましたの?」
「“急速後退”だ。射撃戦メインなら、これが都合良かろう?」
「じゃあ、さっそく使ってみますの……っととっ!?あうっ!」
「ロッテちゃんの、ですか?……ダッシュには、都合良いかも」
「じゃあマイスター、わたしの機能は今度何になりましたの?」
「“急速後退”だ。射撃戦メインなら、これが都合良かろう?」
「じゃあ、さっそく使ってみますの……っととっ!?あうっ!」
そう言うや否や、ロッテは肩口と腰から噴き出したガスで後ろへ。
バランスを必死に取るが、安定する前に壁にぶつかってしまった。
脚をちょっと浮かせ、地面に引っかからない様に動くのがコツだ!
バランスを必死に取るが、安定する前に壁にぶつかってしまった。
脚をちょっと浮かせ、地面に引っかからない様に動くのがコツだ!
「……マイスター、ボクのは横──“サイドスライド”かな?」
「有無、三人とも違うとなればこれだ。それにクララなら……」
「うん。この方が“魔術”には都合いいんだもん……っとッ!」
「有無、三人とも違うとなればこれだ。それにクララなら……」
「うん。この方が“魔術”には都合いいんだもん……っとッ!」
反復横飛びの様に、軽やかに飛び跳ねるクララ。飛距離は出ずとも
安定性は良いな。というより……着地点を計算しているのだろう。
クララの教習により、三姉妹でのブースター講習が始まった様だ。
安定性は良いな。というより……着地点を計算しているのだろう。
クララの教習により、三姉妹でのブースター講習が始まった様だ。
「アルマお姉ちゃんは、足運びに気を付けていれば大丈夫だよ」
「うんと。足運びってこう……っとと、こうかな?かな~っ?」
「そんな感じ……ロッテお姉ちゃんは、逆に脚を前に投げ出す」
「ブースターの勢いに任せる感じですの?こんな、風にッ……」
「うんと。足運びってこう……っとと、こうかな?かな~っ?」
「そんな感じ……ロッテお姉ちゃんは、逆に脚を前に投げ出す」
「ブースターの勢いに任せる感じですの?こんな、風にッ……」
こうして三人は圧縮ガスが尽きるまでの間、実践的に学びおった。
機能面では申し分がない様で、これなら販売も可能かもしれんな。
だが今は何よりも気になる事を、三人にぶつけてみる事にしたぞ?
機能面では申し分がない様で、これなら販売も可能かもしれんな。
だが今は何よりも気になる事を、三人にぶつけてみる事にしたぞ?
「アルマ、ロッテ、クララ……その服は、気に入ったかの?」
「はいですのっ♪マイスターのお洋服、大事にしますのッ!」
「あたしもです。マイスター、その。有り難うございます!」
「機能も意匠も満足。マイスター、ボク達の為に……嬉しい」
「はいですのっ♪マイスターのお洋服、大事にしますのッ!」
「あたしもです。マイスター、その。有り難うございます!」
「機能も意匠も満足。マイスター、ボク達の為に……嬉しい」
──────物作りは全て、誰かの喜びの為にあるんだしね?