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  正月も明けてしばらくしないうちに急展開がやってきた
  忙しかった最近の騒動の中で忘れがちになっていたのだが、嫌でも思い出さなければならない状況になってしまったわけで…
  できることならこのまま何事もなく自然消滅してくれても良かったんだよ うん
  でもあいつらもそういうわけにはいかなかったのかも知れない
  悪役の意地ってもんなのかどうかはさておいて、今回はこんな話である


  「葉月様が攫われました!」
  「……はぁ?」
  のどかな昼下がりもちょっと過ぎたぐらいの時間帯、俺たちの部屋に飛び込んで来た香憐ねぇ第一声はなんとも突拍子のないものだった
  今回の事件はここから始まった
  始まっちゃった…
  「ちょっと待ってって! 攫われた? いったいどうして?」
  「身代金要求の人質でしょうか…」
  「そんなの後でいいよ! 葉月んは大丈夫なの!?」
  ユーナ、ノア、ミコが香憐ねぇの元に集まる
  「それが…」
  「あいつらだな、香憐ねぇ」
  俺は振りかえらずにソファーに腰掛けたままで背中越しの香憐ねぇに問いかけた
  「……はい、おそらくは…」
  しばらく何もないとこれだ…
  しかし…今回は直接俺を狙ってこなかった…あいつらしくない…
  あいつならガチで俺とのタイマンを望むはず
  そのために葉月を餌にしようなんて下衆なやり方はしてこないと思ったんだが…
  「葉月様が大学からの帰宅途中を狙ったものだと思われます。葉月様も年頃の女性なのですし鳳条院の者も四六時中葉月様を御守りしているわけにもいきません。その中でも一番監視の目が緩み易いタイミングをやられました…」
  「…随分と計画的だな。もしかして…また-フィドヘル-の入れ知恵か?」
  『ご明察ですわ、スケイス様…』
  俺が動かしていたノートパソコンのデスクトップにいきなり見覚えがある文字が浮かび上がった

  その文字とは……『L』
  …………なんで?

  「…………おまえ、ゴレだろ…」
  『ふふ、声だけで私と判断なされるのですか? 嬉しいですわね。私の声がスケイス様の記憶の中に生きているというのは…』
  いや、そういうストーカー発言は止めろ
  気分が悪くなる
  「どうでもいいけど…なんで『L』なんだよ。-ゴレ-なんだから『G』だろうが」
  『あえてですわ、あえて。『G』ではどこぞの正義の熱血ヒーロー店長になってしまいますので。私としましても職業柄、あの方々に目を付けられると仕事がやり辛くなるのであまり接点は持ちたくないと…』
  「…どうだか」
  『ですのでメジャーな『L』を…』
  「そんなことはどうでもいいです! 何の用ですかゴレ! 今私達は貴方にかまっている時間などないのです!一刻も早く葉月様をお助けせねばならないと言うのに…」
  『あら、せっかく-マハ-から伝言を持ってきてあげたのに…随分な言い草ね、イニス。それだからいつまでたっても彼の一人も出来ないのよ?』
  「なっ…なんですって!?」
  「お、落ち着いてよ香憐さん; どうどう…」
  「アンタらしくねぇぜ? どうどうどう…」
  二人がかりで香憐ねぇをおさえるミコとユーナ
  馬かなんかと間違ってますから、ソレ
  「…伝言だと?」
  『はい、『指定の時間にここに来い』と』
  言うなりパソコンに都内の地図が映し出され、ある場所に赤い丸印がされていた
  ここからの距離を考えると指定の時間まであまりないな…
  『この場所は廃ビル。おそらく彼女らの所有物件ですわね…』
  つまりは本拠地に乗り込まなきゃならねぇってことか…
  「……警察呼ぶ?」
  ミコが不安そうに俺の服の袖を引く
  コレも立派な誘拐事件だ
  普通ならそうした方がいいんだが…
  『やめておいた方がいいですわ。子猫ちゃん』
  「こ、子猫ちゃん…」
  『彼女はスケイス様を試しているのです。スケイス様がどう出てくるかということも彼女の気分を害する結果となろうことなら葉月様が危険にさらされますわ』
  「わかってるさ。これは俺の問題だ。誰にも迷惑かられん…」
  「明人様、私はお供しますよ」
  「……それもわかってる。ダメだって言っても来ちゃうだろ、香憐ねぇは」
  「無論です」
  「ならば手前も参る」
  いつの間にか孫市も香憐ねぇの横にいた
  「…孫市、気持ちは嬉しいがお前はノアたちと一緒に留守番…」
  「うむ、承知仕った。姉上達と共にいればよいのですな」
  なんだ? やけに聞き分けがいいな…
  まぁ、いいか
  「しかし、なんで彼女はご主人様を狙うんですか?」
  「そうだよねぇ~、大体どういう関係だったの?」
  「単純に元仲間って感じじゃないだろ、アニキ」
  ……痛いところを突いてくるなこいつらは
  「簡単ですわ。彼女はスケイス様の元…」
  プチッとノートパソコンの電源を切る
  うるさいやつは即刻、ご退場願おうか
  「あっ」
  「…切っちゃった」
  「アニキ~」
  「いらんことを聞かんでもいい!」
  「「「……………」」」
  な、なんだよ…そんな目で見なくてもいいじゃないか
  「明人様、そろそろお教えになられてもよろしいのではないですか?」
  香憐ねぇは少しおろおろしている
  葉月のこともあって精神的に不安定なのだろう
  「こいつらに教えると多分ろくな事がない。俺の勘がそう告げてい…」

  「明人の元カノだよ」

  またしても、いつの間にか現れていた昴は俺の『仮面の人』風な台詞を思いっきり無視しやがった
  「てめ、コラ、昴!!」
  何でお前が言っちゃうかな!!
  「どうせわかっちゃう事だろ? 大体なんで今まで隠してるかな…」
  「なんで自分の神姫に別れたヤツのことを話さなきゃならんのだ」
  「じゃあ俺から説明してやるよ。彼女はアメリカ人と日本人のハーフでさ。世界大会ではアメリカ代表。本名はアルティ・フォレストっていうんだ。ま、俺たちはアルって呼んでるけどな」
  「やめい! いらん事を言わんでいい!! というか何時からいたんだおまえ」
  「さっきだよ。葉月が攫われたんだってな……俺も行く」
  「では私も…」
  「ランはダメ。ノアたちと一緒に…」
  「解りました。ノア姉さま達と一緒にいます」
  ……ランも聞きわけがいい
  …なんかおかしいな
  …気のせいか?
  「よし、とりあえず時間がない。香憐ねぇ、車は?」
  「下に私のを止めています」
  香憐ねぇの車か…たしかBMWだったよな
  「それでいい。それじゃあノア、後は任せるから……って、あれ?」
  さっきまで俺の横にいたんだが…ノアがいない
  それでころかミコもユーナも忽然と姿を消していた
  「あいつらどこ行った?」
  「……はぁ、とりあえず急ぎましょう」
  「……あぁ、行くぞ明人」
  「あ、ちょ…」
  香憐ねぇと昴に引きずられて俺たちは指定された廃ビルへと向かった…



  「…………なんで?」
  廃ビルのエレベーターの中には俺、昴、香憐ねぇ…と
  ノア、ミコ、ユーナ、ランに孫市が何故か当然のように勢ぞろいしていた
  こいつら車のトランクに神姫素体で潜り込んでいたようで…
  うん、まぁ、確かにランと孫市はノアたちと一緒にいる
  こうなるってことを解ってやがったな…
  しかも神姫組全員フル装備…
  や、殺(や)る気満々ですNE!
  「「「……………」」」
  特にうちの三人娘はさっきからずーっと無言です
  ほ、ホントに殺(や)る気満々ですNE!



  ガシャンと音を立てて最上階に到着
  エレベーターから出て昼間なのに薄暗い部屋の中を少し歩くと突き当たりの一室についた
  「……いくぞ?」
  ユーナと孫市はそれぞれの獲物を構える
  緊張の一瞬
  全員が息を呑む
  俺の手がゆっくりと扉を押す
  扉を開けて中に入ると……



  「あ、兄さん。それにみんなも」
  「ご無沙汰してるね。アキース、香憐、それに昴も」
  「フン、来るのが遅い…」

  ……………………………はい?

  「そんな所にいると寒いでしょ?コタツに入りなよ~」
  「暖かいですよ御姉様方」
  「あ、ミカンもあるからね。ゆっくりしていきなってw」
  「…私はあいつとケリを付けるのだ。コタツは後にしろ」

  ………………いや、おい

  全員その場にフリーズしてしまった
  「……なにやってんだ、おまえら…」
  「なにって、兄さん達を待ってたんだよ? ね、レイア」
  と葉月
  「そうですけど…馴染み過ぎですよ、御主人様は」
  とレイア
  「言えてるな」
  とアルティ
  「なかなかこないからミカン食べ過ぎて手が黄色になっちゃったよ」
  と少し短めの髪を後ろで一まとめにしている金髪少女…
  声から推測するに…コイツが…
  「も、もしかしてフィ、フィドヘルか?」
  「ご名答♪ 僕の声、憶えててくれたんだね~」
  「いや、俺の憶えてるお前の声はもっとこう…悪女みたいな声だったんだが…」
  「あ~、アレね。仕方ないだろ?僕がこんな可憐な女の子ってわかったら対戦相手に舐められちゃうじゃん。僕としてもそんなの不本意だし、あえて声のイメージを変えてヒール(悪役)に徹することにしたんだよ」
  ニシシと白い歯を見せて屈託なく笑う少女
  な…何がどうなってんだか…



  とりあえず俺と昴とアルティを除く全員をコタツに押し込んで話を聞くことになった
  ちなみにコタツの上には武装神姫専用簡易クレイドル・「ぬくぬくこたつ」が設置してあり、ノアたちはその中に武装解除して入っている
  これって『ちっちゃい物研』の商品だよな?
  ご丁寧にコタツ敷布団まであるから多分、初回生産の特典つきのヤツだろう…
  つうか、コタツの上にちっさいコタツ………シュールだ
  あれ? でもこれって発売は三月だったんじゃ……なんでだ?
  「アレは一年前だったかな。アルが僕に相談してきたのは…」
  フィドヘルが話し出す
  「一年前?」
  「うん。君と昴、香憐の三人がレスティクラム界を去った後、アルは次のチャンピオンになったんだ。つまりは君の後釜を継ぐ形でね」
  それは俺も知っていた
  だからといってどうすることも出来なかったわけだが…
  「その試合の後に僕に直接コンタクトを取ってきて…相談に乗って欲しいって頼まれたんだ。君ともう一度…再戦したいから力を貸してくれないかってね」
  俺はアルティに目線を向ける
  「…お前等がいない大会など温すぎる。そんな王座など何の意味もない…」
  腕組みしながら壁にもたれ、両目を瞑ったままアルティはそう言った
  「すると何か。お前がアルをけし掛けたんじゃなくて逆に頼まれたって言うのか?」
  「そう」
  それは思いつかなかった
  アルティのやつは性格的に滅多なことで人の力を借りようとしなかったから俺たちがそう思い込むのも仕方がないんだが…
  「それで色々考えたんだよ? この前だってそうさ。彼女の力を借りてミコに勝負を挑んだり…」
  「彼女?」
  するとアルの胸ポケットからピョンと一体の神姫が出て来た
  「あ! あの時の…」
  あの時のストラーフだ
  「あの時はすまなかったな。ミコ」
  アルティが口を開く
  「え?え?」
  「君達を怒らせるためにワザとやったんだよ。少しはこっちは本気だって威嚇しとかないとアキースはログアウトして逃げちゃうだろ?」
  …見透かされてたってのか
  「あの時スタンモードを解除してたのもこっちが手段を選ばないってことを見せておくためだったんだ。勿論、ホントに危なくなったら止めるつもりだったけど…誰かさんが乱入してきたんだもんなぁ…」
  昴を流し目で見るフィドヘル
  昴は我知らぬと目線をそらし、ランは赤面しながら小さくなった
  「…もしかして、ゴレの奴もグルなのか?」
  「そう。彼女には色々と借りが出来ちゃった」
  あの女狐め…今頃高笑いしてるんだろうな…


  「フフフフフッ、なんだかゾクゾクしてきましたわ。スケイス様が私のことを仰っているのでしょうね…」
  「主、いつもに増して気味が悪いな。普通そういう事はクシャミでもしてから言うものだ」
  「あら、白雷。くしゃみなどエレガントではないでしょう?」
  「…どうでもよいが主よ、あまりエレガント、エレガントと言い過ぎると…どこかピザやバカと同等に見られるぞ」
  「…あなた、今日は連れて行ってあげなかったからって…やけに毒舌ね」


  「んで、何でこうなるんだよ」
  変な間が空いたが仕切りなおし
  「だから、悪役イメージで葉月を攫えば、君だって逃げないで来るだろうってことだよ」
  「…そんで? なんで今になって自白してるんだ? お前」
  「…自白もするよ。ちょと前まで葉月に散々お説教されてたんだから…」
  「こういうのはダメだよ! フィドヘルちゃん」
  めっ! っと人差し指をフィドヘルの前に立てて怒る仕草をとる葉月
  うちの妹はたくましかった…
  「だけどさぁ…ほとんど完璧だったろ? 僕のシナリオw」
  「………………」
  拳はグー
  ガツンと上から一発
  「痛っったぁ~!! なにすんだよ!」
  「言いたいことはそれだけか。この迷惑娘が! どんだけ周りを巻き込めば気がすむんだよ!!」
  「なんだよ!!僕は君たちのことを思って…」
  「やり過ぎだって言ってるんだ」
  「じゃあ君はアルが普通に会いに行ったら勝負してあげたって言うのかい!?」
  う……
  「いや、それは…」
  「ほら、そうなるだろ? 僕の言ってることは正しいじゃ…」
  「ソレはちょっと違うな」
  俺とフィドヘルに割って入ったのは昴だった
  「…何が違うって言うのさ」
  「コイツはただ自分勝手にアルやお前らから距離をおいたわけじゃねぇってことさ」
  「おい、昴!」
  「もういいだろ。いつまでカッコつけて一人で背負ってんだ馬鹿。悲劇のヒーロー気取ってんじゃねぇぞ? これはお前一人の問題じゃねぇって何回言わせる気だよ」
  「ソレは俺が決めることだ。大体今更…」
  「今更だからですよ。明人様…」
  「…香憐ねぇ」
  心配してくれているのか、悲しそうな顔で言われちゃ良心が傷む
  俺は仕方なく黙った
  「明人が王座から降りてレスティクラムを止めたのは…アル、お前のためだ」
  「え?」
  「………なんだと?」
  アルティが目を開ける
  「王座についてからの明人は裏社会の奴らに狙われてたんだよ。レスティクラムはマフィアの資金源や金持ち達の道楽目的のギャンブルの対象になってることぐらいお前らも知ってるだろ?」
  「それは…まぁ……」
  「……………」
  「明人自身が狙われてるときはそれでもよかった。こいつは腕っ節も立つし知恵も回るから自分一人の命は護れる。俺も、香憐ねぇもだ…。だけど…お前は別だ、アルティ…」
  「……………」
  「奴らは明人の恋人であるお前を狙ってくるだろうってことは明白だった。だからコイツはお前を護るため、王座を捨ててレスティクラムも止めた。馬鹿な選択だと俺たちも止めたんだ…だけどこいつは聞かなくて…」
  昴が一通り話し終えると部屋に暗い空気を感じて皆、沈黙する
  その中、アルが俺に向かって歩いてくる…
  アルは俺の前で止まると…俺の頬を引っ叩いた

  「なっ! 明人さん!」
  「あ、アニキ!」
  「ご主人様!!」
  ミコ、ユーナ、レイアが俺の元に来ようとしたが、ノアがそれを止めていた

  「……るな」
  小さな声でアルが呟く
  「なめるな!!」
  その後に大きな声で叫ばれて俺は自分の赤くなった頬を押さえながら目を丸くするしかなかった
  「貴様の…死の恐怖の恋人が! そんな奴らに怯えるとでも思ったか!! 見損なうな!!」
  「……そうだよアキース、君の恋人は-誘惑の恋人-、そんなに弱い人じゃない」
  フィドヘルが付け足す
  「そうだ、私はそんな弱い女じゃない…それを証明してやる。勝負だ明人!!」
  力強く、睨みつけるように俺の目を見つめてくるアル
  勝負か…部屋の奥にはレスティクラム用のバトルシステムがあった
  俺のコートのポケットの中にはゴレとの戦いのときに使ったオヤジのGタイプのメモリースティック…
  今ここで戦うことは出来る
  白黒はっきりつける事は出来る
  でも……それだけでいいのか?
  俺は………
  「………断る」
  「!!」
  「貴様…何故だ!! ここまできて逃げるのか!!」
  「阿呆、誰が逃げると言った。大体、五年のブランクがある俺相手に現王座にいるお前が勝負を挑むのが悪い」
  「なっ!!」
  「でも、いつかはどっちが上か白黒はっきりしなきゃならん。そこら辺は俺も異存はない。幸い、お前にもパートナーがいることだし…」
  俺はアルティのストラーフに指を近づける
  すると彼女はにっこり微笑み、小さな両手で俺の指を包んでくれた
  「なんて名前だ?」
  「………ミュリエル」
  「そか、いい名前だ…」
  ミュリエルの頭を撫でてやる
  くすぐったそうに恥らう彼女からは以前会った時の悲しそうな印象は窺えない
  ホントはアルティに大切にされていたんだろうな…
  屈めた背を正して再びアルティの真正面に立つ俺
  「悔しかったら俺のいるところまで来てみせろ。俺は今…」
  コタツに近づきノア達に手を差し出す
  ノアは俺の手を伝い左肩、ミコは胸ポケット、ユーナは頭の上へとそれぞれいつもの定位置につく

  「こいつらのマスターだ」

  そう言ってからポケットに入っていた親父のGタイプのデータ入りメモリースティックを取り出して真っ二つに割ってやった
  「……最初からそう言えばいいのだ」
  「……アル?」
  アルティは振り返り、俺に背を向けて言葉を続けた
  「私に何の断りも入れないで…いなくなるな。おまえがそちらで生きるというなら私もそっちへ行ってやる。お前は…私の目標なんだ。もう、勝手にいなくなるな…」
  照れてるのか? 相変わらず素直じゃねぇな…
  「……あぁ、わかった。こいつらと一緒に…待っててやるよ」
  こうして俺とアルティの周囲を巻き込んだ五年にも及ぶ痴話ゲンカ(?)は、ひとまず幕を閉じた…
  悪役の意地というか…女の意地は凄いという…そんな話

  追記
  「んで、お前らコレからどうするんだ?」
  とりあえず廃ビル前に止めておいた香憐ねぇのBMWのところまで移動する
  「さっきの所に住んでるんじゃないよな…」
  「まさか、あそこはただのアジト。僕達は父さんの研究所に住んでるんだよ」
  「………父さん? 研究所?」
  「てかさ、お前どう見ても日本人じゃないよな? どこ出身だっけ?」
  俺も疑問に思っていたことを昴がフィドヘルに聞く
  「僕? 生まれはイギリスだよ」
  「イギリス…」
  「イギリス…」
  「イギリス?」
  皆でジーッとフィドヘルの顔を見る
  「な、何?」
  ……髪は見事な金髪…瞳が……碧眼
  んでもって研究所にいるイギリス人……………!!
  「お、おい、フィドヘル。もしかして……お前の父さんって…ふぇ、フェ…」
  「うん。僕の父さんはフェレンツェ・カークランド。ちなみに僕はエリー。エリー・カークランド」

  …………ま、マジですか!!!!!

  「あ、あのオヤジ…知ってやがったんだな!!」
  「まあね。父さんも色々と協力してくれたんだよ? 空港でのスタンモード解除システムや離脱規制プログラムも父さんの発案。いくら僕でもそんなに簡単にバトルシステムの改竄は無理だからね」
  …今度、一発殴っておこう
  俺、ノア、ミコ、ユーナ
  全員の意思が一つになった瞬間だった……
                     続く

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