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クラブハンド・フォートブラッグ
ホワイトファング・ハウリングソウル
ハウリングソウル
ウサギのナミダ
アスカ・シンカロン
引きこもりと神姫
キズナのキセキ
魔女っ子神姫☆ドキドキハウリン
浸食機械
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えむえむえす ~My marriage story~

2014年

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悪魔に憑かれた微駄男
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えむえむえす ~My marriage story~

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深み填りと這上姫
キズナのキセキ
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浸食機械
引きこもりと神姫
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フツノミタマ
白濁!? 阪高神姫部
白い英雄を喰う黒い女神
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アスカ・シンカロン
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車輪の姫君
樫坂家の事情!
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おまかせ♪ホーリーベル
戦うことを忘れた武装神姫
Gene Less
The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
PRINCESS BRAVE
神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

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せつなの武装神姫
双子神姫
鋼の心 ~Eisen Herz~
犬子さんの土下座ライフ。
狛犬はうりん劇場
Memories of Not Forgetting
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武装神姫のリン
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戦う神姫は好きですか
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妄想神姫
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武装神姫~ストライカーズ・ソウル~
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ホワイトファング・ハウリングソウル
ハウリングソウル
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 ふわふわと、石鹸の泡が舞っている。
「静香は、こうなることが分かってたんですか?」
「何のこと?」
 私の頭にシャンプーの泡を乗せながら、静香は優しく問い返す。
「ファンホアンの事です」
 今だから言うが、大型装備の使い勝手は想像を絶するものだった。ジェニーやねここは、一体どれだけの努力をして使いこなせるようになったのか……。
 少なくとも、私が一朝一夕で使えるようなもので無いことだけは確かだった。
「ココは、自分で理解しないと納得しないでしょ?」
 静香はくすくすと笑いながら、私の頭を泡で包んでいく。擦り合わされる指先の感触が気持ち良くて、私はそっと瞳を閉じた。
「……はい」
 断じて、泡が目に入ると痛いからじゃない。
「ほらココ、腕出しな」
 目を閉じていると、右手をそっと取り上げられる感触が来た。
 言われるがままに腕の力を抜けば、神姫サイズに切り取られた小さなスポンジが優しく当てられる。
「そうだ。あの手の重武装、ジルは試したことがあるんですか?」
 神姫の体を洗うなら、神姫自身がするのが一番キレイで早い。今は私がジルに洗ってもらってるけど、さっきは私がジルを洗っていた。
「無いよ。やり合ったことは何度かあるけどね」
 ジルの洗い方は、荒っぽい物言いとは対照的な優しく丁寧なもの。壊れ物でも扱うかのように、私の体にスポンジを滑らせていく。
「……それでですか」
 腕から脚、そして胸元へ。
 仮想世界では私から快楽を引きずり出すだけだったジルの指も、今はただただ優しいだけ。私のバッテリー残量が残り少なく、うとうとしかけているのを気遣ってくれてるんだろう。
「んー?」
 怖くてエッチな所もあるけど、本当はとても優しいから、私はジルを嫌いになんかなれなかった。
「ファンホアンの弱点を、よく知っていたから」
 だから、静香は私のアイデアに難色を示したんだろう。ジルと十貴の戦いをずっと見ていた静香なら、自分の神姫を持っていなくても自然と経験が溜まっていくはずだ。
「まあ、長くやってりゃねぇ……」
 背中をごしごしとこすりながら、ジルは何か思い出したように呟いている。
 彼女の顔は見えないけれど、きっと笑っているんだろう。
「何がおかしいんですか、ジル」
「いや。お前と静香、ホントに似たもの同士だなって思ってな。ほら、静香がお湯かけるぞー」
 私はあんなに意地悪じゃないし、エッチでもないですよ。似てるなら、それはジルと静香のほうなんじゃ……。
 頭からたっぷりのお湯を浴びながら、私にはそうとしか思えなかった。


魔女っ子神姫ドキドキハウリン

その13



 それから、半月が過ぎた。
「静香、勝ちましたっ!」
 エルゴの二階。休憩コーナーにある椅子の一つに腰を下ろし、私は興奮冷めやらぬままでそう叫ぶ。
「ええ。おつかれさま」
 紙パックのストローから唇を離し、いつものトートバッグの中から小さな箱を取り出す静香。
「それじゃあこれ、ご褒美ね」
 エルゴに来る途中、コンビニで買ってきたお菓子だ。期間限定販売らしく、去年もこの時期にだけ売られていた記憶がある。
 静香は中の小袋から細い棒状のそれを一本取り出し、私の前へと差し出してくれた。
「あ。手で触ると汚れちゃうから、そのまま食べて」
「はぁ」
 棒状のこのお菓子、静香が持っている持ち手のところ以外はチョコレートに覆われている。途中で折って渡してくれればいいのにとも思ったけれど、途中で折ってもチョコレートの覆いで結局触れないのだった。
 仕方なく、差し出されたそれに直接口を付ける。
「ン……静香、ちょっとこれ、太いです……」
「じゃ、先のチョコレートだけ舐める?」
 この間のミカンといい、こんなのが楽しいのかな……?
「でも……ぺちゃ、静香の指示、やっぱり凄いです。ん、ちゅぷ、ミサイルランチャーひとつで……ぷは……あそこまで戦えるなんて……」
 今日の私に渡された武器は、ミサイルランチャーが一丁だけ。静香の指示を受けながら、私は四発の弾頭とミサイルコンテナを駆使し、三体の神姫を倒すことが出来たんだ。
 以前のような連敗はもうない。戦闘向きの武装に改善したせいだろう。勝率も少しずつ上向いている。
「なら、そろそろ次の段階かなぁ……」
 お菓子の先端を舐める私を頬杖をついて眺めながら、静香はぼんやりと呟く。
「次の段階……はむ……ですか?」
「ええ。これ」
 お菓子の紙箱の影から取り出したのは、ひと回り小さな箱だった。
「ぺちゃ……これは?」
 神姫の身長ほどある黒い箱。中央部に取っ手と、留め金らしい金属のパーツが付けられている。
 表面には装甲鈑が貼ってあるようで、鈍い輝きを放っていた。
「前に言ってたでしょ? 新兵器が欲しいって」
「いやまあ、ちゅぱ、それは言いましたけど」
 けれどそれは、どう見てもただのトランクだ。
 静香が持ち上げた様子から重さはそれ程ないみたいで、中に秘密兵器が入っている……というわけでもないようだった。
「行ける……んふ…そんな、奥まで突っ込まないでくださいよ、静香ぁ……ぁふ、行けるところまで、一つの武器を使い込むんじゃ……なかったんですか?」
 マシンガンに対物ライフル、槍にライトセイバー。このふた月ほど、一つの装備を限界まで使い込むような戦い方をずっとしてきたのだ。
 けれど私の言葉に、静香は不思議そうに首を傾げる。
「誰がそんな事言ったの?」
「だって、静香が……ひゃっ!」
 って、お菓子押し付けないでくださいよ。やだ、顔にチョコが付くじゃないですかー。
 やめてくださいってば。
「あたし、そんな事ひと言も言ってないけどー? うりうり」
 だから、うりうりしないでー。
 私が嫌がっているのが分かったのか、ようやく静香がお菓子を離してくれる。
 あぅ……溶けかけたチョコが付いて、なんかベトベトするんですけど……。
「だいたい、セイバーやミサイルランチャーひとつ抱たくらいで、セカンドの上位なんか狙えるわけないでしょ?」
 静香の話を聞きながら、トートバッグのサイドポケットからウェットティッシュを取り出して、顔を拭う。
 と。
「ひぁ……っ」
「ちょっとココ、人の話聞いてるの?」
 ちょっ! 静香、どこに先っぽ当ててるんですかっ!
「ぁぅ、聞いて、ますから……っ!」
 やだ、そこ、気持ちい……っ!
「ここ、いいかい?」
 っ!!!!


 エルゴの自販機スペースは決して狭いワケじゃない。でも、利用者が多い時は、相席になる事は珍しくもなかった。
 それが顔見知りならなおのこと。
「どうぞ。空いてますよ、凪さん」
 静香の前の席に腰を下ろしたのは、凪千晶さん。肩に乗っていた眼帯を付けたストラーフも、テーブルの上へ音もなく舞い降りる。
 もちろん、彼女とも見知った仲……
「お久しぶりです、十兵衛ちゃん」
「……」
 のはずだけど、返事がない。
 いつもの十兵衛ちゃんなら、ちゃんと答えてくれるハズなんだけど……まさか。
「射撃の銃兵衛さんですか?」
 恐る恐るそう聞いてみると、十兵衛ちゃん……いや、銃兵衛さんは静かに笑ってくれた。
「ええ、お久しぶり。夏以来かしらね? 魔法使いさん」
 十兵衛ちゃんはちょくちょく顔を合わせるけど、銃兵衛さんは夏のHoS騒動で一緒に戦って以来、顔を見た覚えがない。
「魔法使いはやめてくださいよぅ……」
 もちろんあの時は戦闘で手一杯だったから、まともに話すのはこれが初めてになる気もする。
「まあ、十兵衛とは会っているようだから、久しぶりという感じでもないだろうけど」
「そうですねー」
 神姫の仕様上、同タイプの神姫と顔を合わせる事は珍しくない。でも私達のコアユニットは個体識別用の信号を常時出しているから、同じ顔の神姫でも識別はちゃんと出来る。
 例えば私と雪乃ちゃんを素体状態で並べても、静香が見間違うことはあっても、ねここちゃんならちゃんと判別できるわけだ。……そのはずなんだけど、十兵衛ちゃんのように肝心の識別信号まで同じだと、私達神姫同士でもさすがに見分けが付けられない。
 話が逸れた。
「悪いね。秘密の作戦会議とかだった?」
「ふふっ。秘密です」
 静香はにこにこと笑いながら、千晶さんに何事もなかったように答えてる。
「まったく、静香ったら……」
 その間に私はウェットティッシュをもう一枚取り出して、チョコの付いた所をこっそりと拭き取っておく。
 さすがの静香も、これ以上人前であんなことはしないだろう……と信じたい。
 どうせやるなら、家で……じゃなかった。
「そうだ。これから一戦どうです? ココはいいよね?」
 ああ、なんか話がまともになってる。
「えっと……はい、大丈夫です」
 銃兵衛さんの射撃能力は桁外れだ。勝てるとは思えなかったけど、勉強にはなるはず。
 それに、新装備のテストもしてみたい。
「うーん。俺も少しバトルしに来たし……どうする? 銃姉」
 千晶さんは乗り気だ。
「……やめておきましょう」
 でも、肝心の銃兵衛さんは静かにそう呟いて、こちらをじっと見つめたまま。
 片方だけの瞳は、私の表情だけではない。AIの奥底までを覗き込むような、深い輝きを湛えている。
 たっぷりの時間を置いて、銃兵衛さんは口を開いた。
「私とでは勝負になりませんから」
「お、おい、銃兵衛!」
 恐らく千晶さんは、銃兵衛さんが二つ返事で応じてくれるものと思ったんだろう。予想外の返事に、かなり慌てた様子だ。
「貴女は分かっているでしょう? ココ」
「……はい」
 でも、私には分かっていた。
 私と十兵衛ちゃんの関係を知っていてなお、どうして銃兵衛さんがそんな挑発的なことを言ったのかが。
「すまんな、いつもはあんな奴じゃないんだが」
 さすがに気まずくなったのか、千晶さんは席を立つ。なんだか悪い思いさせちゃったな……。
「気にしてないわ。多分、外れてないし」
 穏やかに笑う静香を見上げていると、銃兵衛さんから声が聞こえてきた。人間には聞こえない、神姫だけが聞き取れる可聴領域外の声だ。
『迷いが晴れたらいらっしゃい。その時は、正々堂々相手してあげる』


「……さすが銃兵衛ちゃん。何でもお見通しねぇ」
 結局、例の新装備を試すことなく、私達は家へと帰ることにした。
「静香」
 指定位置のトートバッグの中から、私は自転車をこぐ静香を見上げる。
「なぁに?」
 春が近いとはいえまだ寒い。ときおり白い息を吐きながら、静香はゆっくりとペダルを踏んでいる。
「静香は、私に何をさせたいんですか?」
 静香が作戦や装備のことを何も言わないのはいつものことだ。最近になっては戦闘指示だけはくれるようになったけど、それだって戦闘に入ってからアドリブでやっているだけ。事前の打ち合わせなんて何一つ無い。
 適当に戦っているだけの頃はそれでも良かった。
 けど、強くなることを目標にしている今、それだけではどうにもならない。
「……分からない?」
「分からないから聞いてるんです!」
 思わず声が強くなる。
「ドキドキハウリンの格好をさせたいのは分かりますけど、こんなやり方って……あんまりです!」
 恐らく静香は、私が強くなるのを諦めて、今まで通りのドキドキハウリンに戻る事を望んでいるんだろう。
 でも、私が望んでいるのはあんなおちゃらけた戦いではない。もっと真剣に、静香と共に戦える本気の戦場だ。
「……じゃあ、分かるまでこのままね。銃兵衛ちゃんは相手してくれないわよ?」
 迷いを取り去れば、銃兵衛さんは戦ってくれると言ってくれた。けど、静香の答えを聞かないと、迷いなんか取り去れるはずがない!
「静香っ!」
 答えを下さい、静香!
「あ。そうだ、ココ」
「……何ですか?」
 いきなりの話題転換に、荒げた私の調子がくじかれる。
 まったく、いつもこうなんだから……。
「前に、どんな武器が欲しいって言ってたっけ?」
 ……完全にはぐらかしたわけでも、ないのかな。
「それは……」
 それだけはちゃんと理解していた。
 今の私に足りないのは、決定力だ。
 他の神姫には得意な間合……紅緒やサイフォスの近接戦や、アーンヴァルの空中射撃戦などだ……を持っているが、私達ハウリンタイプには得意な戦場がない。良く言えばオールラウンドな万能型とも言えるが、言い換えれば単なる器用貧乏だ。
 大半のハウリンはその弱点をカバーすべく、遠近のどちらかに主力を絞る。近接戦型神姫の多い現状では、対空性能も兼ね備えた射撃装備を中心とした中~遠距離に特化する事が多い。
 その一つの形として、私は遠近空中の全てに対応できるファンホアンを提案したのだけれど……結果は見てのとおりだ。
「貴女の理想通りの装備は用意してあげる」
「……さっきのトランクですか?」
 トゲのある私の言葉に、静香はくすくすと笑う。
「もっと良いものよ」
 静香はいつも通り。怒るわけでもなく、困るわけでもなく。いつもの速さで、自転車をこいでいるだけ。
「でも、さっきの答えが出るまでは、お預けよ?」
「静香っ!」





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