戦乙女は、かく降臨せし(後半)
相手はサイフォスタイプ。但しその手には片手剣でも大型の槍でもなく、
専用にチューンしたであろう、厳ついツヴァイハンダーが握られている。
全身の装甲は重装型と軽装型の折衷。背部には……ツガルタイプの翼か。
ともあれ剣一本を極めようとしているようで、油断はできそうもないな。
専用にチューンしたであろう、厳ついツヴァイハンダーが握られている。
全身の装甲は重装型と軽装型の折衷。背部には……ツガルタイプの翼か。
ともあれ剣一本を極めようとしているようで、油断はできそうもないな。
「仕掛けぬのか?では、一本往くぞ……ハイヤァーッ!!」
「はいですの……畏れず突進ッ、いやぁああーっ!!」
「はいですの……畏れず突進ッ、いやぁああーっ!!」
白兵戦に強いとされている第三シリーズだけあり、一太刀の威力は重い。
私のロッテにもフレーム換装を施してあるとはいえ、地力では一歩譲る。
それでもロッテは懸命に、右に構えた長大な細身のランスで受けている。
ヴァーチャルとはいえ飛び散る火花に、私は興奮と期待を全く隠せない。
私のロッテにもフレーム換装を施してあるとはいえ、地力では一歩譲る。
それでもロッテは懸命に、右に構えた長大な細身のランスで受けている。
ヴァーチャルとはいえ飛び散る火花に、私は興奮と期待を全く隠せない。
「うっ、く……サイフォスタイプの剣技は、やっぱり凄いですの」
「そなたこそ、アーンヴァルタイプの細い躯でよくやる……ぬんっ!」
「え?……きゃうっ!?」
「ロッテっ!」
「そなたこそ、アーンヴァルタイプの細い躯でよくやる……ぬんっ!」
「え?……きゃうっ!?」
「ロッテっ!」
ロッテに装備させたランディングギアには、私が開発した接地用アームを
装甲類と共に取り付けている。アーンヴァルタイプの弱点である地面での
踏ん張りを可能としており、四本の可動爪によるグリップは相当な物だ。
それ故にサイフォスタイプとの斬り結びも可能なのだが、零距離ではまだ
経験であちらに分がある。現に今、蹴りを食らって突き飛ばされたしな。
装甲類と共に取り付けている。アーンヴァルタイプの弱点である地面での
踏ん張りを可能としており、四本の可動爪によるグリップは相当な物だ。
それ故にサイフォスタイプとの斬り結びも可能なのだが、零距離ではまだ
経験であちらに分がある。現に今、蹴りを食らって突き飛ばされたしな。
「斬り合いではまだ不利か。ロッテよ、一度距離を取るのだ!」
「Ja!(了解)……白き翼よ、開いてっ!」
「何?!……そうか、アーンヴァルタイプは“天使”であったな」
「いいえ、私は……“戦乙女”ですの♪」
「Ja!(了解)……白き翼よ、開いてっ!」
「何?!……そうか、アーンヴァルタイプは“天使”であったな」
「いいえ、私は……“戦乙女”ですの♪」
大いなる翼を以て、朱に染まる空へ舞う戦乙女。そう……これだ、これ!
“天使を越えて、戦乙女となれ”!これこそが、軽量級用装備に於ける、
私のコンセプトであり……戦闘指針でもある。本領は、空にこそあるッ!
“天使を越えて、戦乙女となれ”!これこそが、軽量級用装備に於ける、
私のコンセプトであり……戦闘指針でもある。本領は、空にこそあるッ!
「じゃあここからは……本気で、いきますの。フォイエル!」
「うっ!?レーザーキャノン?馬鹿な、そなた何処から!」
「えっと、この槍からですの。ほら、これ♪」
「槍だと……?く、あれは……銃口か!」
「うっ!?レーザーキャノン?馬鹿な、そなた何処から!」
「えっと、この槍からですの。ほら、これ♪」
「槍だと……?く、あれは……銃口か!」
フリッグとやら、不意に蒼い一撃を受けてやっと、事に気付いたらしい。
本来アーンヴァルタイプは、エネルギー兵器を得意とする“武装神姫”。
その特性を活かすべく、私のロッテにもレーザーキャノンは搭載済みだ。
その場所は──槍。そう、ロッテの槍はいわば“レーザーガンランス”!
本来アーンヴァルタイプは、エネルギー兵器を得意とする“武装神姫”。
その特性を活かすべく、私のロッテにもレーザーキャノンは搭載済みだ。
その場所は──槍。そう、ロッテの槍はいわば“レーザーガンランス”!
「撃ちまくれ!弾幕を張れ、チャンスを狙うのだ!」
「Ja!フリッグさん、いきますのっ……それそれっ!!」
「ぬっ、く!ううっ!?チャージは遅い筈、何故だ!」
「出力を搾れば、それだけチャージは速くなりますのっ!」
「それに重ねて、ハンドガンの制圧射撃か……くうっ!」
「Ja!フリッグさん、いきますのっ……それそれっ!!」
「ぬっ、く!ううっ!?チャージは遅い筈、何故だ!」
「出力を搾れば、それだけチャージは速くなりますのっ!」
「それに重ねて、ハンドガンの制圧射撃か……くうっ!」
流石熟練。弾幕自体は上手くいなしておりダメージの方は少ない様子だ。
だが、飛ぶ隙を与えぬこの作戦は奏功した……奴めの剣が下がったのだ!
すかさずロッテは動き出した。制限時間も少ない、これが唯一の好機!!
ハンドガンをホルスターに仕舞い、戦乙女が空から一気に舞い降りるッ!
だが、飛ぶ隙を与えぬこの作戦は奏功した……奴めの剣が下がったのだ!
すかさずロッテは動き出した。制限時間も少ない、これが唯一の好機!!
ハンドガンをホルスターに仕舞い、戦乙女が空から一気に舞い降りるッ!
「今ですの、せやぁああああっ!!」
「ッ!?しま、っ……うあっ!!?」
「これで決めさせて、もらいますのっ!」
「ッ!?しま、っ……うあっ!!?」
「これで決めさせて、もらいますのっ!」
弾幕の陰に隠れて、ロッテが超鋭角・高々度のミサイルキックを加えた。
接地用アームの爪を束ねれば、それは優秀な刺突用の白兵装備になるッ!
一撃で装甲を砕かれ狼狽したフリッグを、逆の脚部アームで掴みあげる。
そしてそのまま宙に投げ、左手で掴む!この瞬間、私は勝利を確信した!
接地用アームの爪を束ねれば、それは優秀な刺突用の白兵装備になるッ!
一撃で装甲を砕かれ狼狽したフリッグを、逆の脚部アームで掴みあげる。
そしてそのまま宙に投げ、左手で掴む!この瞬間、私は勝利を確信した!
「ぐ、あああっ!?ば、バッテリーが……第三種特殊攻撃、だと?!」
「あなたの“魂”を少し頂戴しますの……“アインホルン”充電!」
「ぬ、く!?は、離せ……力が、落ちる……!?」
「あなたの“魂”を少し頂戴しますの……“アインホルン”充電!」
「ぬ、く!?は、離せ……力が、落ちる……!?」
第三種特殊攻撃。有り体に言えば“エナジードレイン”という類の技か。
強力ではあるが公平を保つ為に、公式試合では射程が大幅に制限される。
そこで私は、接触距離でのみ相手の電力を吸い取れる義手を作ったのだ。
吸収した電力は、即座にロッテの槍“アインホルン”に還元されていく。
強力ではあるが公平を保つ為に、公式試合では射程が大幅に制限される。
そこで私は、接触距離でのみ相手の電力を吸い取れる義手を作ったのだ。
吸収した電力は、即座にロッテの槍“アインホルン”に還元されていく。
「これでお仕舞いですの。……零距離射撃、フォイエルッ!!」
「ぐぅっ!?う、うあああああっ!!……ま、負けだッ」
『テクニカルノックダウン!!勝者、ロッテ!!』
「ぐぅっ!?う、うあああああっ!!……ま、負けだッ」
『テクニカルノックダウン!!勝者、ロッテ!!』
そして自己の電力も上乗せした、最大出力のレーザーキャノンを見舞う。
しかも槍の穂先で盾代わりの大剣を貫いた、その先からの零距離攻撃だ。
たまらず相手は吹き飛び、審判システムが戦の終わりを高らかに告げる。
勝利の鐘が鳴り響く中、倒れ伏すフリッグを……ロッテが抱き起こした。
無論右手の槍はパージして。戦う意味は、今の2人にはないのだからな。
しかも槍の穂先で盾代わりの大剣を貫いた、その先からの零距離攻撃だ。
たまらず相手は吹き飛び、審判システムが戦の終わりを高らかに告げる。
勝利の鐘が鳴り響く中、倒れ伏すフリッグを……ロッテが抱き起こした。
無論右手の槍はパージして。戦う意味は、今の2人にはないのだからな。
「ロッテ……負けとはいえ良い試合だった。礼を言おう」
「わたしこそ、フリッグさんにはお礼を言いたいですの」
「ふふ、良い娘だ。これからも、気を引き締めてな……」
「わたしこそ、フリッグさんにはお礼を言いたいですの」
「ふふ、良い娘だ。これからも、気を引き締めてな……」
あの娘はこういう優しい……甘い所がある。だがだからこそ“妹”として
私も彼女、ロッテを誇りに思うわけである。本当に良い娘だ……有無ッ。
早速、ヴァーチャル空間から還ってきたロッテを抱きしめ、ねぎらおう。
私も彼女、ロッテを誇りに思うわけである。本当に良い娘だ……有無ッ。
早速、ヴァーチャル空間から還ってきたロッテを抱きしめ、ねぎらおう。
「マイスターっ!わたしの戦い、いかがでしたかっ!?」
「よくやったぞロッテ~!よし、今晩は祝勝会だっ!!」
「よくやったぞロッテ~!よし、今晩は祝勝会だっ!!」
──────今宵、“私達”はとかく上機嫌なのである。