それは、小さな少女と、大きな青年の、ちょっとした話。
偶然と運命と、そして―――ちょっとだけ、楽しい話
この予告はあくまでも予告であり本編と違う可能性がありますことをお許しください。
目を開く、状況を確認、蛍光灯の光、テレビから流れるニュース、ちょっとだけコーヒーの匂い。
頭に響くノイズが喧しく耳を打つ、少し耳を押さえて、音を聞こえないようにする。
頭を起こす、周囲の状況、パソコンのディスプレイのそばにいて、自己認識……うん、私は私。
自己を自分として認識、「わたしは、わたし」それが、AIとして、神姫に刻まれた「こころ」
「起きた?」
上から心配そうな声、若干小さめなのが私には、有難い……耳の良すぎるこの身には。
見上げる、短髪黒毛で銀縁の眼鏡を掛けた……そこそこの年齢の男性の顔……心配そうな顔が、覗いている。
「……問題ないです」
自己診断プログラムは正常、その結果を伝え、そして、疑問を口にする。
「……始めまして、私は犬型MMS、タイプハウリンです……ここは、どこですか?」
……怜悧な声で告げる、実際私に名は無い、与えられる前に捨てられた。
「あー、えっと、大丈夫か?」
事情を知っているらしい、その男性は温和な笑みを浮かべて答える、どこか間の抜けた、情け無い顔だが、声を絞ってくれている。
「……」
有難いとは思うのだが、それでも、耳に響いて、痛むが……悪くは無い……優しい声だ、私にはそれが、分かる。
分かる……そう分かるのだ……音の流れ、空気の響き、声質……そう、分かってしまう。
そのせいで、私は、中古ショップとやらに持ち込まれ、スリープ状態で放置された……
「緊張してる?」
勤めてか細い声で、気を使っている声だ……《彼》は私を買ったのだろうか……?
「ああ、えと、一応、僕がオーナー、かな、君の」
私の疑問に答えるように、その《彼》は答えをくれた。
「なんで、私みたいな……?」
ふと沸いた疑問を、口にする、だって私は。
頭に響くノイズが喧しく耳を打つ、少し耳を押さえて、音を聞こえないようにする。
頭を起こす、周囲の状況、パソコンのディスプレイのそばにいて、自己認識……うん、私は私。
自己を自分として認識、「わたしは、わたし」それが、AIとして、神姫に刻まれた「こころ」
「起きた?」
上から心配そうな声、若干小さめなのが私には、有難い……耳の良すぎるこの身には。
見上げる、短髪黒毛で銀縁の眼鏡を掛けた……そこそこの年齢の男性の顔……心配そうな顔が、覗いている。
「……問題ないです」
自己診断プログラムは正常、その結果を伝え、そして、疑問を口にする。
「……始めまして、私は犬型MMS、タイプハウリンです……ここは、どこですか?」
……怜悧な声で告げる、実際私に名は無い、与えられる前に捨てられた。
「あー、えっと、大丈夫か?」
事情を知っているらしい、その男性は温和な笑みを浮かべて答える、どこか間の抜けた、情け無い顔だが、声を絞ってくれている。
「……」
有難いとは思うのだが、それでも、耳に響いて、痛むが……悪くは無い……優しい声だ、私にはそれが、分かる。
分かる……そう分かるのだ……音の流れ、空気の響き、声質……そう、分かってしまう。
そのせいで、私は、中古ショップとやらに持ち込まれ、スリープ状態で放置された……
「緊張してる?」
勤めてか細い声で、気を使っている声だ……《彼》は私を買ったのだろうか……?
「ああ、えと、一応、僕がオーナー、かな、君の」
私の疑問に答えるように、その《彼》は答えをくれた。
「なんで、私みたいな……?」
ふと沸いた疑問を、口にする、だって私は。
後天性オーバーロード、症状、聴覚センサーの異常発達、代償としてその制御が出来ず。
初期起動時に、オーナー、いや、元オーナーの声に驚き、その上、停止した。
……その後の事は分からない、というか記憶していない、神姫センターは特に異常は見られないと言った。
ショップやメーカー持込みでも特に異常は見られず、めったに見られないケースなため、ありえないこと、にされた。
保障も交換も聞かないので、中古品ショップに私を、売ったらしい。
初期起動時に、オーナー、いや、元オーナーの声に驚き、その上、停止した。
……その後の事は分からない、というか記憶していない、神姫センターは特に異常は見られないと言った。
ショップやメーカー持込みでも特に異常は見られず、めったに見られないケースなため、ありえないこと、にされた。
保障も交換も聞かないので、中古品ショップに私を、売ったらしい。
「そりゃ、寂しいからだな」
その《彼》は微笑む……寂しい、私が、何故?
「……寂しいやつってのは寂しい連中が分かるもんだ……違う?」
ちょっと、はにかんだように微笑む、今のオーナーである《彼》
「私は、不良品ですよ、それでも、ですか?」
念押し、分かっている、自分がそうだってこと。
「……知らん、俺がお前を欲しいと思った、そしてお前が寂しそうにしていたからな、一致だ、俺らの利害の……」
「もの、扱いですか、結局?」
寂しく思った、結局一緒か、と。
「違うっ!……ん、むう、なんつーか、あれだ」
最初、大きな声で、びっくりしたが、へたり込んだ私のその耳、きっちり聞こえていた言葉。
その《彼》は微笑む……寂しい、私が、何故?
「……寂しいやつってのは寂しい連中が分かるもんだ……違う?」
ちょっと、はにかんだように微笑む、今のオーナーである《彼》
「私は、不良品ですよ、それでも、ですか?」
念押し、分かっている、自分がそうだってこと。
「……知らん、俺がお前を欲しいと思った、そしてお前が寂しそうにしていたからな、一致だ、俺らの利害の……」
「もの、扱いですか、結局?」
寂しく思った、結局一緒か、と。
「違うっ!……ん、むう、なんつーか、あれだ」
最初、大きな声で、びっくりしたが、へたり込んだ私のその耳、きっちり聞こえていた言葉。
「一目惚れ」みたいなもんだ、って……
私、私に、私が、私を……聞き違い?それこそありえない。
…………え、え、絵、ええええ、ひと、ひとひとひとめぼっ、れっ!?
私が、必要とされてる……私に?
「……私が……私に……私は……」
メモリーが一杯になりそうな情報量が溢れていく。
何故?/私が?/嬉しい/不良品なのに?/ええっと、恋人?/あと三分でデータ保存のため強制停止します。/一目惚れってことはそーよね?/でもえとわたし神姫ですしっ!/ありえないありえない/充電が切れそうです、あと二分三十秒。/ええとでも嬉しいしでも/人間と神姫は…?
「……あ、うを、あ、う、ええと、と」
うろたえている《彼》……私を見て?……何故?
《彼》の触れた指が、顔をなぞっていく……《私》に触れたのは、初めて。
ああ、私、泣いていたん、だな……と分かったのは《彼》の指が頬に触れて、濡れた感触がしたから。
「う、えっぐ、う」
ぼろぼろ泣いた、それから、ずっと、ずっと、泣いた。
「……」
《彼》の指は、ずっと顔をふいてくれて、触れた指の体温が、温かくて。
黙って、私が泣きやむまで、そうしてくれていて。
ややあって、落ち着き、そして彼が、出来るだけ小さな声で
…………え、え、絵、ええええ、ひと、ひとひとひとめぼっ、れっ!?
私が、必要とされてる……私に?
「……私が……私に……私は……」
メモリーが一杯になりそうな情報量が溢れていく。
何故?/私が?/嬉しい/不良品なのに?/ええっと、恋人?/あと三分でデータ保存のため強制停止します。/一目惚れってことはそーよね?/でもえとわたし神姫ですしっ!/ありえないありえない/充電が切れそうです、あと二分三十秒。/ええとでも嬉しいしでも/人間と神姫は…?
「……あ、うを、あ、う、ええと、と」
うろたえている《彼》……私を見て?……何故?
《彼》の触れた指が、顔をなぞっていく……《私》に触れたのは、初めて。
ああ、私、泣いていたん、だな……と分かったのは《彼》の指が頬に触れて、濡れた感触がしたから。
「う、えっぐ、う」
ぼろぼろ泣いた、それから、ずっと、ずっと、泣いた。
「……」
《彼》の指は、ずっと顔をふいてくれて、触れた指の体温が、温かくて。
黙って、私が泣きやむまで、そうしてくれていて。
ややあって、落ち着き、そして彼が、出来るだけ小さな声で
「ん、まあ、ようこそ、とはじめまして」
「……あ」
ふ、っと電力が切れ……その場に座り込んだ、そういえば充電してもらっていないのと警告メッセージが出てたのを言うのを、忘れてた。
「……おい、おーい、起きろ、起きろっ、起きろっ、碧鈴!」
がくがくゆさぶる彼。
大丈夫ですよ、充電が切れただけ、ですから、そんな顔、しないで。
――――碧鈴(へきすず)……固有名称登……録……完了。
「……あ」
ふ、っと電力が切れ……その場に座り込んだ、そういえば充電してもらっていないのと警告メッセージが出てたのを言うのを、忘れてた。
「……おい、おーい、起きろ、起きろっ、起きろっ、碧鈴!」
がくがくゆさぶる彼。
大丈夫ですよ、充電が切れただけ、ですから、そんな顔、しないで。
――――碧鈴(へきすず)……固有名称登……録……完了。
いいたかったなあ、わたしも、はじめましてって――――。
徒然続く、そんな話。 第一節
《君》と《僕》と小さな告白、節終。
《君》と《僕》と小さな告白、節終。