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えむえむえす ~My marriage story~

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キズナのキセキ
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戦うことを忘れた武装神姫
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The Armed Princess―武装神姫―
ウサギのナミダ
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神姫☆こみゅにけ~しょん
アルトアイネス奮闘姫
ロンド・ロンド

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双子神姫
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武装神姫のリン
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戦う神姫は好きですか
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武装神姫~ストライカーズ・ソウル~
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  鋼の軋む、ぎぃ、という音が耳を打つ。
 連なるのは、くぅん、という力ない声。
 メンテナンスプログラムの駆動音チェックを使うまでもない。明らかな、異常動作音だ。
「困ったな」
 静香の部屋の机の上で、私は小さく言葉を紡ぐ。
「どうしたの? ココ」
 濡れ髪の水気を大きめのバスタオルに吸わせながら。パジャマ姿の静香が、そう声を掛けてくる。
「何だか、獣王の調子が悪いみたいです」
 私の前で膝を折るのは、狼を模した支援戦闘メカ、バスターウルフこと『獣王』。
 本来は今の狼形態から高機動型のバイクモードに変形するのだけれど、内部でトラブルが起きているらしく、変形の途中で止まってしまうのだ。
「んー? 見せてみて」
 静香はバスターウルフの頭部にはめ込まれた『獣王』の中枢ユニットを傍らのタチコマへ退避させると、意志を失った狼メカをひょいと取り上げる。
 しばらく関節部分を回したり、可変部分をいじったりしていたものの……
「……ああ、こりゃダメだわ。今日中には無理」
 そう呟いて、狼型に戻したマシンを机に戻す。
「この時間だと、もうエルゴも開いてませんね」
 時計の針は既に十一時を回っている。こんな時間に開いているのはコンビニくらいのものだ。
 もちろんコンビニで神姫の修理は、出来ない。
「明日の大会に出すのは無理ね。厳しいけど、ウルフ無しで行きましょう」
 バスターウルフの整備は、明日のエルゴの大会に備えたものだったのだけれど……静香にも直せないならどうにもならない。朝イチでエルゴに持っていっても、大会の準備でそれどころではないだろう。
「……十貴に頼んでみますか?」
 近場で静香並みの技術を持つと言えば、彼くらいしか思い浮かばなかった。
 こんな時間に頼むのは迷惑だとは思ったけれど……背に腹は代えられない。
「うーん」


魔女っ子神姫ドキドキハウリン

番外編 その2



 バスターウルフの動きをチェックして。
「これを明日の大会にってのは、ちょっと無理だなぁ」
 十貴の出した結論も、静香と同じそれだった。
「ほらね」
 パジャマにカーディガンを羽織った静香が、軽く肩をすくめている。
「ウルフは変形するぶん、構造が複雑なんだよね。ここの一番奥にあるユニットを一つ交換すれば良いんだけど、僕らじゃ分解しないと手が届かないんだよ」
 メンテナンスパネルを開いたウルフの腹を、十貴はポケットライトで照らしてくれた。中で組み合わさった電子機構の一つが異常を起こしている……のは分かったけれど、どれがおかしいのかとなるとサッパリ分からない。
「二人がかりでも、徹夜して終わるか終わらないか、ってとこでしょうね」
 分解して修理、組み直した後に微調整。確かに、二時間やそこらで終わるような内容ではなさそうだ。
「それでギリギリかなぁ」
 徹夜で精密作業をした後に大会というのは、いくら何でも無茶が過ぎる。静香なら何とかしてしまいそうな気もしたけれど、そんな負担を掛けるくらいならウルフ無しで戦う方がマシだった。
「私が整備出来ればいいんですが……」
 要は、静香達だと故障箇所に手が届かないから、オーバーホールなんて事態に陥っているのだ。
 ただ、私では修理すべき箇所が分からない上に、メンテナンスの技術もないわけで……。
「それはちょっと無茶ね。マイティちゃんならともかくとして」
 そういえば以前、マイティは自分のバイクのメンテは自分でするって言っていたっけ。
「流石に、この時間に他所様のお宅にお邪魔するのは……いくらなんでも非常識だしね」
 静香の呟きに、十貴が何か言いたそうな顔をしていたけれど……私は見ないことにした。
「……ああ、そうだ」
「どうしたんですか? 十貴」
 その十貴が、思いだしたように言葉を紡ぐ。
「バイクの整備が出来る神姫はいないけど、バイクの整備が出来るMMSなら居るよ」
 ?
 この家の住人は、十貴と十貴のお父様、神姫のジルの三人だったはず。十貴のお母様は、離婚したそうでこの家には住んでいない……と聞いていたのだけれど。
「え? 帰ってきてるの?」
「うん。夕飯の時、父さんと一緒にいるの見たから。ちょっと呼んでくるよ」
 そのまま十貴は部屋を出ていく。
 扉の向こうで、階段を下りるテンポの良い音がした。


「ジル。貴女が整備してくれる……わけではないんですよね?」
「あたしにそんなこと出来ると思う?」
 無理だと思った。
 でもそれを口にすると、殴られそうな気がした。
「……」
 仕方なく沈黙を守っておくと、十貴が戻ってくる。
「すぐ来てくれるって」
 少しすると、ドアを叩く小さな音がした。
 十貴が扉を開くと、そこにいたのは……。
「あ。悪いね、ゴルドさん」
 十八センチほどだろうか。私達神姫より頭一つ分大きな、男性型素体の姿だった。
 大きめのベスト型コートにズボン。口元以外の頭部と両腕は装甲らしい金属質のパーツに覆われている。
「ノープロブレム」
 髭に覆われた口元がもごもごと動いて、短い言葉を発した。
 低い声だ。神姫のものとは全く違う。
「これなんだけど……直せそう?」
 大きめの体躯に似合わない身軽な動作で十貴の机の上に飛び乗ると、早速バスターウルフの前にしゃがみ込む。
「オーケー十貴」
 既に故障箇所の把握はしたらしい。以降は無言で、カチャカチャと作業を開始する。
「あの方は……ゴルドさんっていうんですか?」
 その神姫サイズからすれば大きな背中を眺めつつ、私はジルに問い掛けた。
「ああ。十貴の親父さんのAHPさ。いつもは親父さんの仕事場にいるんだけど、今日は帰ってきてたんだねぇ」
 AHP……アクションヒーロープロ。
 確か、私達神姫に近い構造を持つ、自律稼働素体シリーズだったはず。素体のみで、外装は完全にオプションとなると聞いていたけれど……ゴルドさんも、何かのアニメか特撮のキャラがベースになっているのだろうか。
「ゴルドさんは特注だか、イベントだかの限定品だそうだよ。親父さんがツテで貰ってきたんだそうだ」
「なるほど」
 だから、見たこともない姿をしたゴルドさんのような機体も多いわけか。
「ちなみにバーチャルで戦ったことあるけど、あたしより強いよ。神姫の公式バトルにAHPが参戦できなくて、ホント良かったと思うね」
 無言でバスターウルフを整備している背中は、とてもそんな風には見えない。体格が大きい分力は強そうだけど。
「ゴルドさん。バスターウルフ、直りそう?」
「ノープロブレム」
 ゴルドさんはもともと口数が少ないらしく、静香の問いにも単語一つ二つで答えるだけだ。
「さすがゴルドさん」
 十貴からいくつかの部品を受け取り、セットする。工具はどうしているのかと思ったけど、例の腕の装甲の中に色々とツールが入っているらしかった。
 メンテナンスハッチを閉じて、
「ミッションコンプリート」
 一言。
「ココ、調子を見てみて」
「はい」
 連れてきていたタチコマからマスィーンズの頭部を外し、バスターウルフにセットする。
「獣王、チェンジ」
 控えめな咆吼と共にバスターウルフの機体が構成を変え、バイク形態へと変形完了。
 ハンドルを握り、軽くアクセルを噴かせば、心地よい振動が腕に伝わってくる。
「……問題ないみたいです」
 再びウルフは狼形態へ変形。その動きも、前よりスムーズになったくらいだ。
 AIが抜けて動作の止まったタチコマを口にくわえ、ひょいと背中に放り上げる。
「ありがとね、ゴルドさん」
「ありがとうございます。ゴルドさん」
「オーケー静香……」
 そこまで言って、ゴルドさんは言葉を止めた。
 ゴーグルに覆われた視線の先は分からなかったけど、どうやら私の方を見ているらしい。
「ああ、こっちはココ。私の神姫よ」
「ココと言います。本当に助かりました」
 静香の紹介や私の挨拶にもゴルドさんは言葉を止めたまま。
「……オーケーココ。ノープロブレム」
 少しの時間をおいて、ようやく軽く右手を挙げてくれた。
「無口なかたなんですね……」


 しばらくすると、部屋のドアが再びノックされる。
「あ、父さん。どしたの?」
 姿を見せたのは、十貴のお父様だった。
「十貴。ゴルドさん、来てないか?」
「艦長」
 片手を上げて答えるゴルドさんを回収すべく、おじさまも部屋に入ってくる。
「お邪魔してます、おじさま」
「ああ、いらっしゃい」
 静香の挨拶と一緒に、私もぺこりと頭を下げる。
 この時間の来訪もいつものことだから、別段怒られたりはしない。
「ココのバイクの整備でちょっと詰まったから、ゴルドさんに手伝って貰ったんだ」
「おぅ、そうか。大丈夫だったか?」
「オーケー艦長。ノープロブレム」
 艦長……ね。
 まあ、オーナーとかマスターとか色々呼び方はあるから、艦長っていうのも特におかしくはないけど……。原作の設定なんだろうか。
 それよりも。
「……おじさま」
「なんだい? ココ」
 ゴルドさんを腕に乗せたおじさまに、私は気になったことを聞いてみた。
「どうしてゴルドさんだけ、さん付けなんですか?」
 私達が、ゴルドさんをさん付けで呼ぶのは分かる。ジルは自分より目上の相手には敬意を払うタイプだし、私も呼び捨てにするのは静香と十貴、顔馴染みの神姫くらいだからだ。
 けど、おじさまはゴルドさんのオーナーだ。
 私達どころか十貴さえ呼び捨てにするのに、どうしてゴルドさんだけさん付けなんだろう。
 私がその質問をした瞬間。
「あ……バカ……っ!」
 三人の顔が青ざめ。
「そんなの簡単さ」
 おじさまの顔が輝いた気がした。
「ゴルドさんは、俺が子供の頃に初めて会った本物のヒーローだったからな!」
「……なるほど」
 おじさまの趣味の根本に関わるかただったんですね。それならさん付けも納得です。
「ゴルドさんが活躍した2006年、俺は8歳のガキンチョだった……」
 ……。
「けど葛飾のヒーローショーで俺は生ゴルドさんと握手を……」
 ……。
 ……あれ? なんかおじさま、遠い目を……。



 窓から、朝の光が差し込んでいる。
「静姉。平気……?」
 ベッドに力なく横たわったまま、十貴が弱々しく呟く。
 早朝取材があるからと、おじさまがようやく話を切り上げたのは、ほんの五分ほど前のこと。
 ゴルドさんが整備を終えて、今の今まで、私達はおじさまの語りに付き合わされていたのだった。
「平気じゃないわよ……」
 静香もそう呟くと、十貴の隣にごろりと横になる。
「ちょっと隣で寝せて」
 静香は細身、十貴は小柄とはいえ、一人用のベッドに二人入れば当然狭い。静香は身を押し付けるようにして、ベッドにもぐり込んでいる。
「家に帰りなよー」
 抱き付いてくる静香を引き剥がすように、十貴。
「そんな元気ないわよ……」
 眠気が限界に来ているのか、抵抗にもまともな力が入っていないようだ。
「変なトコ触ったら、たたくからね」
「そんな元気ないよ……」
 自分から抱き付いておいて言う台詞じゃないと思ったけど、私も視界の隅でバッテリーアラートが電圧低下の注意を促している。注意する元気もないのは、こちらも同じだった。
「ジル。クレードル、借りていいですか?」
 データ転送はしないようにロックを掛けて、ジルが転がっているクレードルの隅に腰を下ろさせて貰う。
「変なとこ触られても良いならね」
「……元気ですね、ジル」
 ジルも私も、バッテリー容量は同じはずなんだけどな……。
 ゴルドさんは体格が大きいぶんバッテリー容量にも余裕があるんだろう。充電もしないまま、おじさまと出掛けていた。
 でも、私はもう限界。
 静香も十貴も死んだように眠っているし、今日の大会は無理だろう。
「おやすみなさい……」
 クレードルの隅にころりと横になり、私もスリープモードへと移行した。





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